さて、いよいよ
についてです。
もうすでに
に、あらかた書いているのですが、今回、新しい発見がありました。
行動的QOLの3つのレベル(再掲)
@まず「(選択性はないが)正の強化を受ける行動」を成立させる段階
(PECSRのフェーズ1やね)
A選択肢があり選択できる段階
B既存の選択肢を本人が否定できたり、本人が新たな選択肢を要求できる段階
(PECSRのフェーズ1やね)
A選択肢があり選択できる段階
B既存の選択肢を本人が否定できたり、本人が新たな選択肢を要求できる段階
としたうえで
2) 筆者らのケーススタディの
a. 最重度の知的障害を持つ個人における既存選択肢の否定の設定(QOL 第三ステップ)
対象者の様子(様子のみ再掲 ※はkingstoneの感想)
・成人女性
・重度知的障害
・雑誌のページめくりなど触覚を楽しむ
・周囲で音を出したり、名前を呼んでも反応せず、聴覚障害と思われていた
・本人にとって特に不快とも思えない課題の指示でも急に泣き出す
※拒否の方法がわからないのだろう
・重度知的障害
・雑誌のページめくりなど触覚を楽しむ
・周囲で音を出したり、名前を呼んでも反応せず、聴覚障害と思われていた
・本人にとって特に不快とも思えない課題の指示でも急に泣き出す
※拒否の方法がわからないのだろう
約1年かけて「ドライブなら車のキー、散歩なら帽子を机に置き、離れた場所から接近して1点を選択」という方法で選択できることが確認できた(シェイピングできた)。対象者は机から離れたところからその机に接近し、それらの中から1点を選択して、当該の活動に従事するという方法で、安定した選択行動を示すことができた。
ここまでがQOLレベルAの段階
そこで「否定」を教えようとされます。
いろいろやった結果、音楽が好きだ(聴覚障害で聞こえないと思われていたのに!)ということがわかり次のような選択肢のあるセッションを組みます。
・童謡カセット
・ビッグバンドカセット
・ウーロン茶
・ビッグバンドカセット
・ウーロン茶
そしてこの3つに加えて「選択場面自体から逃れることができる」ための「選択否定」の選択肢、「1冊のノート」を試しはります。最初は支援者(論文では実験者)がこのノートを選択することを直接指示し、それを手に取った場合は「セッションを終了」します。
つまり、この「ノート」そのものは「否定」というよりも「セッション終了」なわけですね。論文をちゃんと読めばそこはわかるのですが、私はわかっていませんでした。
セッションのグラフを引用します。論文の Fig.1 です。
(図はクリックすると大きくなります)
4つの選択肢が上から「童謡」「ビッグバンド」「ウーロン茶」「ノート」となっています。
「ノート」のところに論文では「↓」と書かれていますが、私には「ひし形」に見えるところがあります。これが支援者が「終了」を促したところ。
第2セッション、第3セッションでは促すと即「ノート」を手に取り終了となっています。
しかし第5セッションから「促してもノートを取らない(拒否:もっとセッションを続けるぞ)」が出てきてます。
たぶん、この「促してもノートを取らない」という行動を周囲が認める、これが「否定」しても良いということを御本人が知るポイントなのだろうな、と強く感じました。
そして、それをスタッフに伝えていく。そして「こういう時はこうするに決まってること」としてスタッフが無理にでもやらそうとする必要が無くなり、「ご本人も楽」「スタッフも楽」というようになっていくだろうと考えられます。
b)強度行動障害の30歳男性(こちらは全て再掲)
・知的障害(とは書かれていないが、12歳から知的障害児施設に入所しているので)
・破衣
・裸で過ごす
・破壊
・放尿便
・異食
・破衣
・裸で過ごす
・破壊
・放尿便
・異食
このような方への対処の問題点。
・行動問題により個室管理(要するに閉じ込められていた?そして記録を見ると放尿便はこのために必然になったよう)
・マンツーマン(責任を負わされた職員はリスクを犯したくなくなる。そして全面受容(やりたいほうだい)か強制(虐待)に陥りやすい)
・他の利用者の選択機会を増やすためにも、この人は閉じ込められがち
・マンツーマン(責任を負わされた職員はリスクを犯したくなくなる。そして全面受容(やりたいほうだい)か強制(虐待)に陥りやすい)
・他の利用者の選択機会を増やすためにも、この人は閉じ込められがち
対応
・部屋の施錠を解く(本人の自発的行為の機会を保障する)
・個室外で(たぶん他の方とも一緒の)「コーヒータイム」への参加
・「選択箱」を用意し、様々な活動に関連する物品を選択し、活動できる
・個室外で(たぶん他の方とも一緒の)「コーヒータイム」への参加
・「選択箱」を用意し、様々な活動に関連する物品を選択し、活動できる
結果
・排尿失敗数の減少
・着衣時間の伸び
・破衣の日常選択場面での消失
・着衣時間の伸び
・破衣の日常選択場面での消失
ある意味、当たり前のノーマライゼーション(社会参加)ができることによって行動が落ち着いた。(勉強させたり、SST で教えたりしたわけじゃない!)
さて、ここから新な引用です。
| QOL改善のための介入:こうした社会的悪循環に陥っている場合、まずこうした事態を生んでいる人間関係について関係者が自覚的になる必要がある。このケースでは、施設職員と研究所職員とがチームを組む。“collaboraliveconsultation model” 28)として活動がスタートした。そしてまず、既に述べてきたような悪循環的な「行動問題」に対する認識の共有のための議論が行われ、問題の解決のためには従来のリアクティブな療育方針を転換し、本人の「行動の選択肢の拡大」(行動的QOLの拡大)が何よりも優先すべきミッションであること、その実現のためのプロアクティブな療育内容を開始することが確認された。 |
まず、最優先すべきミッションの確認を、職員間で共通理解した、と。
ここが事業所などではキモになると思います。
| この施設においても、QOLの概念やその拡大の必要性に対する認識が皆無であったわけではない。しかし、行動障害を示す重度の障害を持つ個人については、その対象として念頭に入れられていなかった。むしろ他の多くの施設利用者のQOLの拡大作業を妨害しかねない存在として認識され、それゆえ個室管理といった極めてリアクティブな対処方法が採られてきたと言ってもよいだろう。そこでは、QOLとは、一定の水準の「能力」と「健康」を持つもののみに期待できるという枠組みが存在し、その事が逆に、(個体的にも環境的にも)重度の「障害」を持ち、他より切実に生活状態の改善が求められる個人のQOL改善を阻害する作用を持ってしまったといえる。障害の軽重に関わらず導入が可能な、選択肢拡大を中心とした行動的QOLの概念とプロアクティブな作業方針の導入は、そうした屈折した対応の正当化を避ける上でもメリットを持つものと考えられる。 |
「個室管理」と言うと聞こえはいいですが、「個室に閉じ込める」ことですね。
「トラブルの回数を減らそう」という「◯◯を減らそう」という発想だと逆に「トラブルが増加」する。「選択機会を増やそう」という発想をしていくと「トラブルが減少」する。何が最優先のミッションかをはっきりさせると、職員みんなも楽になる。
まだ個室に閉じ込めていたのがあきらかになったのが「中井やまゆり園」ですね。
例えば古い記事はリンクが途切れていますが、私のツイート(RT 含む)を twilog を使って「中井やまゆり園」で検索すると、まずい具体例がどんどん出てきます。スタッフもしんどい、利用者さんもしんどい。
中井やまゆり園は独立行政法人として再出発するとのことなので、何とか改善していって頂きたいです。
それから、あと、望月先生の両ケースとも「視覚的支援」を選択の場面で利用している、というところでが非常に重要だと思います。
で、これは再掲になりますが、結語の部分です。
| 行動的QOLという枠組みは、障害を持つ個人の「障害性」(impairments や disablities)を改善し、その結果として「生活の質」を高めるという「能力のボトムアップ」の展開を想定したものではない。現状の障害性のままに、その障害の軽重にかかわらず、行動の選択、つまり環境あるいは社会的参加の決定権を本人に委ねるというものである。その意味では、個人における個別の行動の成立としての「権利のボトムアップ」をはかるものであると表現することもできよう。 |
で、現場の職員さんとも協働し、その成果としての論文が
また、私がポスター発表を聞いた不動学さんの
になるわけです。

