様々な実験
James H. Kuklinski et al., "Misinformation and the Currency of Democratic Citizenship," Journal of Politics 62, no.3 (August 2000),
(ダウンロードできなかった)
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この実験は、「正確な情報」によって「意見」が変わる、という結果が出た。
テーマは生活保護で、連邦予算について被験者に質問。(全員、あまり知識が無かったのだが、知識が少ない者ほど自信をもっていた。→ダニング・クルーガー効果)
知識・意見としては「連邦予算の5%くらいが生活保護に使われている。もっと生活保護費を下げるべきだ」というのが多かった(現在の生活保護を支持しない)。
しかし、「実は生活保護に使われているのは連邦予算の1%」という正しい情報を伝えると「現在の生活保護を支持する」という意見が有意に大きくなった。
つまり、情報の不足を補えば、意見が変わる、ということだけど、テーマによってはそうでないものがどんどん出てくる。
2010 ナイハンとフレイラーの実験
Brendan Nyhan and Jason Reifler, "When Corrections Fail: The Persistence of Political Misperceptions," Political Behavior (preprint), 2010,
これは政党支持によって「知らないこと」と「誤解していること」について、意見を変えるかどうかの実験。テーマとしては以下の間違った信念について( )内の事実を伝えた。
1.イラクに大量破壊兵器があった(そんなもの無かった)
2.税制改革と税収(ブッシュ・ジュニアの減税によって税収が増えたというのは誤解)
3.幹細胞研究は全面的に禁止された(公的資金のみ禁止で民間は禁止されていない)
2.税制改革と税収(ブッシュ・ジュニアの減税によって税収が増えたというのは誤解)
3.幹細胞研究は全面的に禁止された(公的資金のみ禁止で民間は禁止されていない)
ところが保守支持の人の誤信念は余計に高まった(バックファイヤー効果)
で、この結果が多くの人にショックを与えたのだけれど、このバックファイヤー効果は他の実験では再現されなかった。
2017 ポーターとウッドの実験
Thomas Wood and Ethan Porter, "The Elusive Backfire Effect: Mass Attitudes' Steadfast Factual Adherence," Political Behavior, January 6. 2018.
この実験ではバックファイヤー効果は再現できなかった。
ナイハンとフレイラーも同調し、限定的な状況(非常に党派性が強い被験者)でしか起こらないとした。
でも、4人とも情報提供では意見は変えることはほとんど無い、ということで一致。
ナイハンとフレイラーも同調し、限定的な状況(非常に党派性が強い被験者)でしか起こらないとした。
でも、4人とも情報提供では意見は変えることはほとんど無い、ということで一致。
と、ここまで読んで来ると絶望的な気持ちになる。
2018 ナイハンとフレイラーの実験
Brendan Nyhan and Jason Reifler, "The Role of Information Deficits and Identity Threat in the Prevalence of Misperceptions," Journal of Elections, Public Opinions and Parties, May 6, 2018,
しかし、この実験では意見の変更には「テキスト」より「図(グラフ)」のほうが有効であることがわかった、ということだから、変えられる場合もあるってこと。
そしてグラフ(もちろん正しいグラフ)は大事ってことだな。
で、結局は見出しに「大切なのは常識」とあって、この「常識」というのは、
「相手を1人の人間として扱う」
ということだと。
そりゃまそうだろうな。
ところで、例として、アフリカ系アメリカ人のブルーズ・ミュージシャンであるダリル・デイヴィスのことが紹介されている。
黒人として差別されてきた経験があり、「白人至上主義者はどんなふうに考えているのだろう」と KKK のリーダーに話を聞きに行き、かつずっとつきあい続け、友達になっちゃった、という方。
TED にたくさん話している様子がありました。
(最初は無音声モードになっているので、動画左下のスピーカーアイコンをクリックして音声が出るモードにしたほうがいいかも。また動画右下の設定(歯車)アイコンから日本語字幕も出せます)
で、そのリーダーさんはついに KKK から脱退してしまいます。
とことん、話を聞いた(10年単位?)後でのことでしょう。
なお、「自閉症はワクチンを接種した結果」という誤情報を修正しようとすることについては
Vanessa Milne et al., "Seven Ways to Talk to Anti-vaxxers (That Actually Might Change
(healthydebate の記事。無料で読める)
(healthydebate の記事。無料で読める)
が紹介されていました。
また、ワクチンについて意見を変えた人について母親たちが
「誰かがワクチン接種に対する自分の立場を尊重してくれたり、こんなふうに話をしてくれた初めてのことだと言っていた」
というのも書かれてます。
やはり、絶望することなく、対面していくことが大事、という話になるんだろうな。

