※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2025年07月26日

QR コードの作成について



 私は、今まで QR コードの作成はネットにある無料サイトを使っていました。

 そこでは、特に問題があったとは聞いていません。

 しかし、先日 QR コードがらみの事件がいろいろ起こりました。


 この事件は、「QR コードを読み取った場合」です。

 しかし、今後、私が QR コードを作っていた無料サイトが、何らかの理由でフィッシング用あるいは他のサイトへ誘導する QR コードを吐き出して、使ってしまったり、そもそもそのサイトが無くなり、別のサイトを使ってみたら、やはり不適切な QR コードを吐き出す可能性もあります。

 そんなの使ってしまったら、信用が無くなってしまう。

 そこで、こちらのまとめを見て、Chrome に機能拡張を入れることにしました。

 一応、Google が認めてるんだから、少しは安心かな、と。



 機能拡張





posted by kingstone at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ネット・パソコン・携帯など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月18日

「幼稚園規模における園規模介入の検討」を読む



松崎吉洋・岡村庄司(2022)『特殊教育学研究』60(1),45-57

 SWPBS(School Wide Positive Behavior Support)と同じような取り組みを幼稚園でやってみたもの。

 なお、アメリカでは幼稚園の場合、Program Wide Positive Behavior Support と呼ばれてるんだって。

 Kindergarten Wide とは言わないんだな・・・


 具体的には、1〜30分の支援会議を週1くらいのペースで5回やってはるけど、これはたぶん 10〜30分だろうな。

 それから介入2期には、「支援だより」も発行してはる。

 対象クラスは4クラス。

 基本的には、個人で取り組まれていた良い実践を、支援会議で共有し、良い取り組みを褒める、というやり方。

 ただ読んでいて、スケジュール提示って、やっぱり面倒なんだな、とわかるのは、BL期に1クラスでスケジュール提示が取り組まれ、介入2期には4クラスにまで広がっているのだけど、介入3期及びフォローアップ期にはまた 2クラスに減っている。

 まあ、幼稚園だし、それほど先生方にも「困った感」が無かったからかな。


 やはり、保護者が必要だな、と思う場合にはよくお願いしないといけないんだろうな。


 なお、2018年の「文部科学省特別支援教育他姿勢整備状況調査」で、全国の公立幼稚園では、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの配置が9割を越えている、というので、一番新しい「令和5(2023)年度特別支援教育他姿勢整備状況調査」を見てみました。
(図はクリックすると大きくなります)

スクリーンショット 2025-07-18 21.52.59.png

 う〜〜ん、認定こども園にしろ、幼稚園にしろ、特別支援教育コーディネーターは指名しているのだけど、公立の場合は専任が少ないですね。私立は指名している所は公立より少ないけれど、専任は多い。

 片手間では難しいのではないかなあ。

 また著者は先行研究を調べておられるのですが、

「しかし大久保ら(2020)以外の先行研究の多くは、行動問題に焦点を当てる傾向が高く、行動問題が生じた後に介入を行った事後的な対応であり、予防的見地に立つ支援であるとはいいがたい。

と言及されています。

 ってことは・・・私の周囲におられる ABA の研究者のみなさんって、全体から見るとかなり少数派なのかな。

 私は、事業所なども「良い」と思えるところとお付き合いさせて頂いてきているけど、「私の考え方」が固まっているので、そちらに近い方とばかりおつきあいさせて来て頂いているのかもしれないな、「日本の全体」「それぞれの平均値」からかなり外れているのかもしれない。

 まあ、だからいごこちが良いのですが。



posted by kingstone at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月15日

ASD 児・者に対するスケジュール提示は、ABA ではどのように説明されるか



 Chat GPT で、 deepseek に以下のプロンプトを入れました。

「自閉スペクトラム症の人に対するスケジュール提示、カレンダー提示は、応用行動分析からはどのように説明されるでしょうか? 時間的に後でできること、日時的に後でできること、その時間的見通しを三項随伴性でどう説明するでしょうか?」

 するとチャッピー側からの質問。

「自閉スペクトラム症の人へのスケジュールやカレンダー提示について、応用行動分析(ABA)の観点からの説明をお調べしますが、以下についてもう少し詳しく教えていただけますか?

1. 対象は子どもでしょうか?大人でしょうか?(支援の方法が変わることがあります)
2. スケジュール提示の具体的な形態(例:絵カード、文章、デジタルカレンダーなど)に希望はありますか?
3. 目的は何でしょうか?(例:行動の予測性を高める、不安を減らす、課題への取り組みを促すなど)

これらの情報をいただけると、より的確にABAの三項随伴性に基づいて解説できます。」

 それに対しこう返答しました。

「子供の場合、大人の場合、両方お願いします。 スケジュールそのものは、絵カード、文章、デジタルカレンダーなど、1人の人の中で変化していったり、併用したりします。すべてを考慮に入れてください。 自閉スペクトラム症の人が穏やかに暮らせることを目的としています。」

 先に書いておくと、カレンダーについて書かれたものはまったく無し(?ページ検索入れりゃ良かったな)

 また、三項随伴性って、先行刺激→行動→直後の結果、に対して言うと思うのですが、もう少し長いスパンのことをうまく説明してくれるとは、ちょっと思えないかなあ・・・でも、もちろん「役に立つ」「必要」だから取り入れてくださるのは大歓迎ですが。

 で、そこで参考としてあがったサイトは、1つを除いて全て ABA 療育の事業所のサイトでしたが、「他人をコントロールする」方向(特に「教育」の場合、コントロールが皆無というわけにはいかない)よりも、「本人参加」「自己管理」の方向をきちんと示し、結構まともなことを書いていると思えました。

 参考にあげられたページ

CORNERS STONE のサイト。

"可能な限り、生徒を視覚的なスケジュール作成プロセスに参加させましょう"

"視覚的なスケジュールは、自閉症の生徒にとって大きなメリットをもたらします。環境をよりコントロールできているという実感が得られ、不安が軽減され、自立した学習を促します。"

Ensora Health のサイト

1. 環境の変化
2. 選択肢を提供する
3. 視覚的な補助具
4. 高確率リクエストシーケンス
5. 機能的コミュニケーショントレーニング

3.は「視覚的教材」と訳してたけど、原文を見ると aids 。これは補助具と訳したほうがいいでしょう。中で説明されているのは、

"スケジュール、視覚タイマー、キューカードなどの視覚的な補助手段は、期待やルーチンを効果的に伝えるのに役立ちます。 視覚的なサポート学習者は自分に何が期待されているかをよりよく理解できるため、不安が軽減され、スムーズな移行が可能になります。"

ですし。

Cross River Therapy のサイト


CST アカデミーのサイト

 私も実践では、スケジュール未導入のお子さんに、「次の活動のみ」を試し、次に「次の活動、その次の活動」の2つの絵カードや物を示したりして理解してもらおうとするな。


Level Ahead のサイト

 このページの最後が面白いし、その通りと思う。

費用対効果の高いソリューション
 特別なものを作るのに、大金を使う必要があるなんて、誰が言ったのでしょう? 家にあるものなら何でも使えます。色紙を用意したり、シンボルをいくつか描いたり、印刷したりするだけで、特別な道具は必要ありません。
 地元の団体やコミュニティサービスでは、無料または安価な特典を提供している場合がありますので、ぜひチェックしてみてください。そして、シェアは思いやりです!他の家族やグループとリソースを交換して、お得に活用しましょう。
 これらのカスタマイズされた、個人的な、そして予算に優しい方法に焦点を当てることで、介護者や専門家は自閉症の成人に対するコミュニケーション支援を実際に強化することができ、物事をより簡単にするだけでなく、有意義なものにすることができます。


 ただし、その利用方法を教えてくれて、カスタマイズのヒントをくださる専門家の人件費は高いのだろうな、と思う。(いろいろな制度で、個別家族の財布からは出ていかないとしても)

インディアナ自閉症リソースセンター(インディアナ大学ブルーミントン校)のサイト

 こちらは唯一民間事業所でなく、大学の組織のサイト。

 「ToDo」と書いてますが、手順書を含めワークシステムについても、書かれています。

 またここは TEACCH を前面に出しています。

 それから、1本、論文の紹介がありました。

Melissa B Waters , Dorothea C Lerman, Alyson N Hovanetz(2009)
「視覚スケジュールと消去および他行動分化強化は、行動切り替え時の問題行動に影響を及ぼす」

 視覚スケジュールだけではうまくいかなかったけれど、消去と他行動分化強化を併用すると、問題行動が減った、というもの。

(これ、言い方を変えれば、分化強化された行動が増えた(だから問題行動をする必要が無くなった)、ってことじゃないかな)

 なお、これらの結果をツイートした時に料金の話など出たのですが、


にも少しまとめてあります。

 また、国防総省もセラピスト派遣サービスをやっているようで、その 2020年の報告書がこちら。


この中では

治療効果の評価
使用指標
 • Vineland-3(適応行動)
 • SRS-2(社会的障害)
 • PDDBI(ASD関連行動)
主な結果
 • 症状改善は非常に小さく、臨床的に有意とは言えない
 • ABAサービスの提供時間(週35-40時間)と効果の相関はみられない
 • 小児の成長や他サービスの影響を排除できないため、ABAの効果そのものが不明確

などと述べられています。

 う〜〜ん、サービス提供者が何を期待させているのか、保護者が何を期待しているのか、そういう尺度で QOL 増加が測れるものなのか、という問題はありそうです。

 しかし、週 35〜40 時間って・・・これ、学校や園でやってるのか?

 ちょっと要約じゃなく、全文翻訳して読んでみようっと。

 なお、その中で、不正請求の返還金の報告もあり、2012年から2020年で、108件、約 $19.7M (ってことは現在のレートだと約 29 億円!!1件あたり、2600 万円・・・人件費だとそうなるな)ってことです。


 あと、探し出してくれたページは、なかなかいいこと書いてある。

 でも、私は、現場でやってる人たちが本当にそんなふうにやってるか?と強く疑う心のある嫌な大人になってしまってるな。

 悪い例を見て来すぎているので。

posted by kingstone at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月14日

『特殊教育学研究』に載った論文にどれだけ「スケジュール」や「視覚的支援」があるか



 Gemini は論文を読み込ませた場合、ハルシネーションを起こしにくい、ということを聞き、ならレビューの下調べ的なことができるのではないか、と課金の上やってみました。


 なんと、こういうのが得意なのは、gemini ではなく、notebookLM だそうです。
 ってことで、この記事はかなり不正確かも。
 引用した論文の中の単語は、PDF 内を検索した結果なので確かです。



 『特殊教育学研究』2021年から2024年に公開された論文を読み込ませました。ところが一気には読み込ますことができず(Google ドライブに専用フォルダを作ったのに読んでくれず)、10本ずつアップロードして読み込ませました。

 しかし、計77本読ませたのに、68本にしか認識しない・・・

 まあ、だからすごくいいかげんと思ったほうが良いかとは思いましたが、結構ショッキングというか、それでええんかい、という結果が出たので、とりあえず共有。

 Gemini が認識した 68 本中、検索語のいずれかが入っている論文の数と論文名を挙げてもらいました。

検索語論文数
自閉症・自閉スペクトラム・ASD・発達障害
49
視覚支援・視覚的支援・構造化5
スケジュール・手順書9
カレンダー0


 そして、「視覚支援・視覚的支援・構造化」「スケジュール・手順書」の単語があったという論文をひとつひとつ見ていくと、障害のあるご本人に対して、それらを適用して支援した、あるはしていた、というタイプのものは5本。(4本かもしれない・・・)



知的障害者の就労における目標志向性と自己調整方略および職務満足感の関連
鳥雲畢力格・柘植雅義(2021)
「スケジュール」が1か所。


通常の学級担任による行動問題を示す自閉スペクトラム症児の保護者との問題解決プロセスの検討
岡村章司(2021)
「スケジュール」2か所。「視覚化」1か所。


保育所における発達支援ニーズのある児の早期支援の効果に関する検討
荻野昌秀(2022)
「視覚的提示」が1か所。「手順表」が1か所。


幼稚園における園規模介入の検討ー教員間での既存の支援の共有を通して一
松ア 吉洋・岡村章司(2022)
「スケジュール」が13か所。「視覚的」のみ2か所。「視覚的支援」が1か所。


 またカレンダーについては 0 本。


 もう、視覚的支援は当たり前になりすぎて、論文に取り上げられることが少ない?

 肌感覚として、全然そんなことないけどなあ・・・

 カレンダーについては、先行研究が無いから、どなたか研究されたら狙い目ちゃいますかねえ・・・
(もう、私は論文を書く気力・視力が無い・・・)






posted by kingstone at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月07日

『鼠』城山三郎著に見る鈴木商店焼き打ちと現在の相似




『鼠』は副題にもある通り、神戸に本店のあった鈴木商店の焼き打ち事件の真相を、著者城山三郎が足を使って丹念に当時の事件周囲の生存者に聞き取りをし、最初の方は完全にドキュメンタリー、途中から小説(それもやはり丁寧な聞き取りのうえ)部分が出てくる、といったていのものです。

 1964年から1966年にかけて『文學界』に連載。書籍として出版されたのは1966年。

 1918年の米騒動で焼き打ちされていますから、その46年後から執筆を始め、かろうじて直接体験した人が残っている時代。

 調べるまでは、城山さんの鈴木商店に関する知識は

 主人は鈴木ヨネなる女。金子直吉というやりての番頭が実際の大将株で、対戦景気でまたたく間に財産を作り上げたが、買い占めをしていると噂されて米騒動で焼き打ちされ、ついで昭和2年(1927年)の金融恐慌であえなく潰れたーー」
という程度だった

 私の知識だと、「なんか大きな商社であちこち手をだして潰れた。ただし、そのあちこちの会社は現在も頑張ってるところが多いらしい」くらいか。

 焼き打ちされたことも、はっきりとは意識していませんでした。

 焼き打ちについては世評としては悪どいことをやっていたから、みたいな説が庶民の間に定着していたそう。

 しかし、城山さんは既に経済小説で有名になっていたので、企業家などと会うこともよくあり、鈴木商店を直接知る人からは「悪い噂」は聞いたことが無い。それで疑問に思い、調べはります。

 1964年8月に、神戸三ノ宮 KCC ホールで開かれた米騒動 46周年記念講演会に参加。

 米騒動に続く川崎三菱大争議の記録映画の上映。当時の世相を振り返るためでしょう。終映後拍手で終わったそう。

 最初の講師。統計数字をあげて、米騒動前夜の生活の窮迫ぶりを丹念に説明。

 地主を基盤にした内閣、三井・鈴木などの独占資本の商業部門に踊らされた中小米屋、こういったものが全勤労人民を決起させたのです

 また当時としてはしかたなかったのでしょうが、毛沢東をあがめている言説も。

 聴衆には受けなかった様子。

 そして次の講師が「鈴木は鈴木だが社会党の輝ける元委員長」(輝ける、というのにはちょっと皮肉が入っていると思う)というふうに紹介されているのですが、私には誰だかわからない。

 検索してみて鈴木茂三郎とわかりました。1964年頃の方だったらぱっとわかったのでしょうね。


 で、やはり演説はお上手なようで、めちゃめちゃ受けていたようです。そして

「鈴木の建物の中へ火持って入って行くから、よくわかる。石油缶持って来て、まく。パァーッと燃え上がる。ワ、ワァーッと群衆が声を上げる。いやぁ新聞記者として見とるだけでも仲々痛快」
 どっとホールいっぱいに爆笑。

 うーー、なんか嫌だな。

 この放火では幸いなことに死者は出なかったようですが、私の世代で言えば、三菱重工爆破事件を見て「痛快」と言っているようなもんじゃないか・・・

 しかしまあ時代ということもあるでしょう。

 この本の中にも、仕込み杖を持っているだろう会社ゴロが訪問してきたり、新卒大学生がピストルを持たされたり、闇夜にまぎれて日本刀が使われているようだった様子とかが出てきますし。

 まんま『リボルバー・リリー』の世界かよ、と思えてしまう。


 米騒動研究の決定版とされているのが『米騒動の研究』井上清・渡部徹編全4巻(今、アマゾンで見ると全5巻)

そこで指摘されているのが鈴木が

@71満俵の国外輸出
A買い占めを続行して値段を釣り上げているのではないかと疑われた
B憲政会の横山勝太郎に製粉類と小麦の買い占めをやっている
C外米・朝鮮米を取り扱って莫大な利益を上げていた

というもの。しかし城山さんが調べてみると

@大正元年に28円までいった米価が、一時は12円まで落ち、農村が疲弊しているので、農民救済として鈴木直吉が政府に進言し、国外輸出した。16円から17円までに回復した。 
 そしてこの措置は米騒動の1年余り前で終わっている。

A米価が上がってくると、鈴木商店は朝鮮米の移入に廻った。これは政府の米価抑制政策への協力。しかし公共事業のため手数料は安かった。(前年までの輸出と同じようにある意味義侠心でやっていた)

B米では無い。また憲政会は政府打倒のためなら何でもやる、というふうだった。
 米騒動の被検挙者の中で唯一「アジ演説」をして群衆を煽ったのも憲政会の弁士だった。

Aの「疑われた」という部分は法政大学社会学部歴史学研究会の「神戸に於ける米騒動」 (1954年) (『新史流』〈創刊号〉)からの引用

その中で「鈴木が買い占めていた」と断定している証人が3人。城山さんは全員を探し出し、会って証言を聞きます。

1人目。

「新聞にそう書いていたから」「鈴木が儲けてたから」「鈴木の悪い噂は聞いたことが無い。米の時だけ」

2人目。

米屋さん。「メリケン粉は買い占めとった。米は買い占めてなかった」(しかし、メリケン粉については「いつも買いに来る人とは違う人が来た」というのが根拠)。また米については(鈴木ではなく)顧客やヤクザが買い占め(強買い)ているのを見ている。しかし「噂では米の買い占めに鈴木が金を出していた」とも。そして米の先物相場が上がったことも言うが、鈴木は米相場には手を出していない。
 自分も会社を大きくしたかったのに、そうできず、鈴木は大きくできた無念の気持ちもあるのでは、と城山さんは思う。

3人目。

『新史流』には「鈴木商店の買い占めは事実であり、一貫して買いに廻っていた」神戸証券取引所理事長の肩書(信用として大きい)とともに載っている。しかしそのことを聞くとびっくりされ「そんなになってますか」「まあ学生さんのことですからね」とのこと。よくわからないから、と学生に断っていたのだと。
 なお、この方の場合、証券取引所のせいもある、と少人数が押し寄せたこともあり、夜は宿直職員を増やした。するとある種の人が抜刀してやってきた。
 建物の前を、男が1人走って行ったら、白刃がひらめいて、男の下駄が転がっていたそう。


 つまり『新史流』の記述は根拠が無い、というか、「こんな本にしたいから、証言者の言うことを都合よく解釈、あるいはねじまげた」と考えられます。

 そして、主として「根拠なく」「噂」で「鈴木が悪い」と激しく煽ったのが、大阪朝日新聞。その例が次々と出てきます。

 つまり、状況証拠も、実際の動きも、鈴木商店は噂とは逆に、1918年段階では米価を下げるほうに努力していたわけです。

 ただし、他で大きく儲けていて、大きなやっかみをかっていた。

 そして憲政会推しで時の政府を倒したかった大阪朝日新聞は、鈴木商店と政権内の後藤新平とのつながりを攻撃したかった、というのもあると。

 もちろん、新聞というものは力ある者にも媚びることなく、事実を報道して欲しいけど、噂で罪も無い者に罪をなすりつけてはいかんやろう、とは強く思いますね。

 そして、この人々を煽る役割を、今は様々な SNS がやっているようです。

 米価高騰の原因は別としても(いや、別なのか?)、何か今の世相に似たものを感じます。

 なお、当時の三井に入ったばかりの大卒生が沖に止めた、米を買い占め満載した貨物船の護衛にあたっていた、という、これも伝聞にはなりますが「鈴木が買い占めていた」という噂より確度は高い話も出てきます。

 三井などの財閥系は「うまかった」?

 また売りと買いの交錯する相場の世界の匂いも時代ですね。(って、大商社は今も同じかな?)

 なお、私は裏を取りたいと思って、いろいろ論文を読んでみようと思いましたが、当時の政府の経済政策など、あまり資料を探し出せなかったです。軍事支出などについてはあるのですが。

 また城山三郎さんの小説をいくつか読んでみたいと思いました。

posted by kingstone at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする