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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2017年12月12日

英国の障害児保育(2009年の話)



「子どもたちの階級闘争」
ブロークン・ブリテンの無料託児所から
ブレイディ・みかこ著

から

2009年の障害児保育の様子。

なお、原文にもあたれます。


 英国では、障害児を障害児だけが通う教育施設に閉じ込めるのではなく、健常児と同じ場所で教育を受けさせましょうという法律が90年代に制定されている。

が、現実問題としてそれはいまだ難しく、特にこうした地区にある貧しい保育園には障害児受け入れが出来る場所は数少ない。


 建前と現実が違うわけね。

 で、著者が行ったのは障害のあるお子さんばかり集めてる保育所みたいだけど、そこに

SENCO(Special Educational Needs Co-ordinator。障害児保育担当者)

 というのがいはるわけね。
 これは全ての保育園にいるわけではなさそうやな。

 しかし、「閉じ込める」ということではなく、こういう場が必要な場合もあるかも、というのは感じることがある。

 う〜〜ん、もちろん日本の各保育園に担当者がいて、どう他の保育士さんが関わればいいか考えてくれて、とかやればできるかもしれないけれど・・・



 上記に書いた基準のままで「やれ」っていうのは無茶っぽい。

 なお、みかこさんが

「ここまで見ていてわかったのは、彼女は保育士によくありがちな「怖がらなくてもいいのよー、よちよち、ぎゅーっ」だとか「拾ってくれたの?えらいねー、すごいねー」をやらないということである。なんというかこう、全体的にクールなのだ。預かっている幼児たちが最早おべんちゃらでどうにかなるような相手ではないということなのだろう。」

 と書いてはる。
 いや、もちろん「おべんちゃら」では障害の無い子もどうにかなるもんじゃないとは思うけれど、様々な障害のあるお子さんの場合だと、よりクールな対応が求められるかもしれない。「ありがちな」対応だと事態を悪くすることも多いので。

 私も、スタッフさんたちには「こういうふうにしてね」とお願いすることが多いもんな。

 例









保育士と子どもたちの割合基準(英国と日本、そして底辺託児所)





「子どもたちの階級闘争」
ブロークン・ブリテンの無料託児所から
ブレイディ・みかこ著

から

 2016年冬に、みかこさんが日本に帰国した時、猪熊弘子さんに世田谷区の保育所5か所を案内して頂き、聞いた日本の配置基準。

0歳児   1:3
1〜2歳児 1:6
3歳児   1:20
4〜5歳児 1:30

みかこさんはこれがトラウマになったと書いておられるが

英国の配置基準

0〜1歳児 1:3
2歳児   1:4
3〜4歳児 1:8

なおEYPS とか EYTS とか呼ばれる保育士より上級の資格を有する大卒スタッフなら

3〜4歳児 1:13

が許される。

 しかし・・・確かにみかこさんが書いておられる、英国の子どもたちの様子では日本の基準では無理と思える。

 そしてみかこさんご自身が

「天使ばかりだから保育士の人数が少なくてもやっていけるのか、保育士の数が少ないから子どもたちのほうで天使になるしかないのか。それはどっちが先とも言えない難しい問題である」

と書いてはる。

 確かになあ・・・私も保育園の見学に行ったことがあるけれど、ものすごい人数の子たちが1人の先生のもとに集まってたなあ・・・

 ただし、「子どもが天使」なのは「日本のいいところ」でもあるような気がする。
 要は「要求を出させない」「指示通りしか動いてはいけない」「教え込もう(ばっかり)」とするところに問題があるわけで、結構いいところではあるような気がするのだが・・・


 なお、別のところに書いてあった、昔の「底辺託児所」のスタッフ。
 これは極めて特殊とのこと。

各セクションで1人 金銭を受け取って働いている保育者(責任者又は責任者代理)
それ以外は全員無給ボランティア

各セクションの構成
責任者1人+ボランティア4人
ボランティア構成
○有資格で経験豊富な人1人
○チャイルドケアの学生1人
○放っておいても大丈夫な人1人
○サポートが必要な人1人

この「サポートが必要な人」ってのがちゃんと入ってるのがすごいよね。

「底辺託児所」は"無職者および低所得者をサポートする"慈善センターの一部だから、託児所も「働けない人々」を支援して行く任務があるから。で、その人が子どもと関わっている時は誰か大人が別にサポートについている。



(モンテッソーリ関連) 子どもたちの階級闘争 ブレイディ・みかこ著





「子どもたちの階級闘争」
ブロークン・ブリテンの無料託児所から
ブレイディ・みかこ著


 もう、びっくりとか、へええええ、とかいろいろあるのですが、モンテッソーリのことが出てきたので、まずそこに関することだけ。


 かの有名なイタリアのマリア・モンテッソーリは、知的障害があるとされていた子どもが床に落ちたパン屑で遊ぶ姿を見て、幼児の知能ぱ玩具(彼女は教具と呼んだ)を触って感覚を刺激されることによって伸びると気づいたのである。子どもの発育には手で触れ、指先で遊ぶ物が必要不可欠だ。玩具のない保育施設は、教材のない学校のようなものである。




 しかし玩具だけではない。緊縮託児所は人手も不足している。昔は「白髪のアニー・レノックス」(顔がユーリズミックスのアニー・レノックスに似ていたのである)とわたしが呼んでいた有名な責任者がいて、彼女から学ぼうとする保育コースの学生や大学生たちがヴオランティアを志望して来ていた。白髪のアニーはもともとモンテッソーリ校で教員として働いていた人だが、ブライトン&ホーヴ市の保育関係者からいまでも「幼児教育施設の鑑」とリスペクトされているブライトン大学の学内保育園を立ち上げた。そしてその学内保育園を軌道に乗せると、まるでローマのスラムにカサ・デ・バンビーニ(子どもの家)を作ったモンテッソーりのように、最も貧困率の高い地区の失業者・低所得者支援団体の施設の中に託児所を作ったのである。

ユーリズミックスのアニー・レノックス(写真はWikipediaより)
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「このような地域の子どもたちは、早くから独立しなくてはいけません。だから私たちの仕事は、自分の足で立ち、自分の頭でものを考えることができる、インディペンデントな子どもの知的・精神的土台を作ること」

 と言っていた彼女は、ホームレスや依存症、DVなどさまざまな問題を抱えた親たちの子どもをただ「預かる」だけの託児所は作らなかった。そこで行われていたのはあくまでも「教育」だった。彼女に学びながら保育士の資格を取ったわたしは、ミドルクラス御用達の民間の保育園に就職したとき、そこはどちらかといえば子どもを「預かる」場であり、「教育する」場としてはかなり劣っていたことに驚いた。かつてわたしが「底辺託児所」と呼んでいたアニーの託児所は、実は底辺どころか大変にハイレベルな幼児教育施設だったのである。


 労働党政権時代、保育所でヴォランティアで勤務していると、大学で無料で保育士資格をとることができた。しかし保守党政権になり、その制度は無くなった。

 しかしアブレンティスシップという、見習いで保育所で働きながら保育士資格を取るコースは今でもあるとのこと。



 アニー時代の託児所のヴオランティアたちもまた、みな熱心だった。先の労働党政権は幼児教育の大改革を行い、0歳から子どもの発育度を測るカリキュラムを導入して(「オムツ教育課程」とりベラル派には批判もされたが)、保育士をベビーシッターから教育者に変える政策を推進した。すでに保育施設で働いている人は、有給スタッフ、ヴオランティアにかかわらず、保育士資格取得コースや大学の幼児教育コースに通う場合の学費が免除された(わたしもこの制度のお世話になった)。白髪のアニーは託児所の業務の合間に学生ヴオランティアが書いた論文を読んだり、質問に答えたりしていた。彼女の託児所は、幼児教育を学ぶ人々の「寺子屋」でもあったのである。一日の終わりにはヴオランティアたちがアニーを囲んで、子どもたち一人一人を観察して気づいたことを語り合い、その発見にもとづいた新たな遊びや活動のアイデアを出し合った。民間の保育園にはそんなミーティングはなかった。子どもたちの帰宅後に会議があるというと、「残業代出るの?」が保育士たちが最初に言う言葉だった。


 いや、まあ、残業代は大切だけどね。


 アニーさんは定年ですっぱりやめはったとか。

 あと、アニーさんの頃の託児所をみかこさんは「底辺託児所」と呼んでいました。
 その後、保育士資格を取られて民間の保育所で勤務されてたんだけど、そこがつぶれて、また戻って来た時、保守党の緊縮時代になっており「緊縮託児所」と呼んではりました。

 底辺託児所時代は「白人労働者階級」「アナーキスト(!?)」「移民」とかのお子さんたちがいて混沌としつつ共生はしていたとのこと。
 しかし最近は「失業者・低所得者支援団体の施設」の中にあったいろいろなコースが閉鎖され、「移民のための英語講座」のみになったので、ほぼ移民のお子さんだけになっていたそう。

 それもついに2016年に閉鎖されてしまい、フードバンクになってしまいます。

 で、映画「わたしはダニエル・ブレイク」みたいな「フードバンクに来て思わずその場で食べてしまう」「事務所の提言に従わないからサンクション(制裁措置)で生活保護を止められ餓死する」というような事態が起こっているそう・・・