「Piloting a Home Visual Support Intervention with Families of Autistic Children and Children with Related Needs Aged 0-12」
「自閉症児および0〜12歳の関連ニーズを持つ子どもの家族に対する家庭視覚
支援介入の試行」
(2023)
Marion Rutherford , Julie Baxter , Lorna Johnston , Vaibhav Tyagi , Donald Maciver
International Journal of Environmental Research and Public Health
「自閉症児および0〜12歳の関連ニーズを持つ子どもの家族に対する家庭視覚
支援介入の試行」
(2023)
Marion Rutherford , Julie Baxter , Lorna Johnston , Vaibhav Tyagi , Donald Maciver
International Journal of Environmental Research and Public Health
この論文、手に入れたのですが、直接の URL にはたどり着けてません。
こちらの出してる Jounal にあるわけですね。
興味を持たれた方は何とか手に入れて直接読んでください。
少しだけ引用してみます。なお訳は DeepL です。
論文の要約から
視覚的支援は、自閉症者や神経発達に違いのある他の人々にとって重要な介入である。 しかし、視覚的支援へのアクセスは限られており、家庭で視覚的支援を使用するための情報や自が不足していることがしばしば報告されている。このパイロット研究では、家庭を基盤とした視覚支援介入の実施可能性と有効性を評価することを目的とした。 |
Introductionから
本研究が実施された地域(イギリス、スコットランド中部)では、視覚的支援のトレーニングはすべての保育園や小学校で実施されており、視覚的支援はこれらの環境で一般的に使用されている。親の介入、親のトレーニング、自閉症に関する情報も利用可能であるが、家庭での視覚的支援の提供にはギャップがあると家族は報告している。また、親は親の会で視覚的支援について学んだが、その知識を日常生活に移すことは困難であると報告している。 |
すげえ!
「視覚的支援のトレーニングはすべての保育園や小学校で実施されており、視覚的支援はこれらの環境で一般的に使用されている」
だと。
しかし、肝心の家庭では難しいと。
日本ではまだ保育園や小学校でも使用されていなかったり、反対されたりすることはよくあるし・・・それだと日本ではまだまだ・・・ということはよくわかります。
支援は、地域の法律に従い、診断ではなく必要性に基づいて行われる。スコットランドでは一般的に、あらかじめ指定された治療時間数や行動主義的な支援は提供されていない。ニーズや発達段階に応じて、また自然に発生する環境への適応を考慮しながら、普遍的な支援、対象を絞った支援、専門的な支援など、さまざまな支援が提供されている。これには、保健と教育の専門家間の協力的なアプローチ、親を介した介入、親の情報セッション、教育現場のスタッフによるトレーニング、モデリング、コーチングなどが含まれる。 |
それでも家庭ではむつかしいわけですね。
そこで、3〜5回の家庭訪問をして、一緒に課題を考え、視覚的支援物を作ってあげてやってみるといいのではないか、と考えて試行してみた、というわけです。
適用された原則の部分
1.家族は対等なパートナーである。 2.家族が視覚支援の資料を独自に作成できるよう支援を行う。 3.評価および計画プロセスは、保健および教育スタッフを含む多分野にわたるものであり、親を中心とし、発達および機能に関連するものである。 4.専門家および親が視覚支援に長期的にアクセスできる「時間的余裕のある」支援である。 5.家族にやさしい情報および案内表示が提供される。 6.専門家による支援へのアクセスに柔軟性を持たせ、集中的な立ち上げオプション、立ち寄りセッション、ピアサポート、家庭支援、親のトレーニング、コーチング、モデリングなどを含める。 7.視覚支援に関する専門家のトレーニングと意識向上が含まれる。 8.よく使われるリソースのシンボルセットやテンプレートが、すべての環境で一貫して使用されている。 |
子どもの発達段階に応じたリソース
選択ボード 個人用フォトブック テクノロジーベース(例:コンピュータまたはタッチデバイス 現在/次のボードとシンボル 絵による意思伝達システム 一連の動作のシーケンスチャート(例:トイレに行く カウントダウンカード(例:あと3回寝たら... ヘルプカード 参照対象(例えば、食事を表すスプーン) これが「今」私たちがしていること 参照対象 今/次のボードと対象 対象 一日の一部または全部の時間割 歌の象徴(参照対象) 「待って」カード 歌のシンボルブック 視覚シンボルの買い物リスト 1日の一部または全部の視覚シンボル・タイムテーブル1週間または1か月の視覚タイムテーブルまたはカレンダー 「OK/NG」カード 感情(例:感情コントロールの視覚化 ソーシャルストーリー |
どの段階でも利用できる、保護者向けリソース/環境
家庭・学校のビジュアル日記 コミュニケーションパスポート 物の位置や収納場所を示す環境ビジュアルラベル(例:上着の写真) 次の活動への準備や待つことを学ぶための砂時計 |
でやってみた結果、29家族(ASD確定診断あり、と診断はまだないがアセスメントを受けている子の保護者)が参加し、親の QOL が有意に改善した、と。
保護者の感想
家庭訪問の仕組みは保護者に高く評価された 保護者は、この介入、特に家庭訪問の有益性、そしてそれが以前の情報を受け取る方法よりも有益であったことについて、強い感情を持っていた。保護者は、子どもをサポートするために日常生活に工夫を加えることに強い意欲を持っていた。保護者は、生活の中で多くのストレスや困難を経験しているが、それにもかかわらず、子どもを支援するために変化を加えることに意欲的であったと報告した。家族は、介入の一環として受けた家庭訪問を高く評価した。 「学校から家庭で使用するためのビジュアル資料を提供されたことはありませんでした。スタッフが)家庭訪問に来てくれて初めて、本当に理解できました」。 「私が気に入ったのは、彼らが戻ってきて、私たちの現在の状況に合わせて、それをフォローアップすることができたことです。」 「保護者会もやりました......誰かが自分の家に来るという体験は、まったく違うものでした」。 「他のビジュアル・サポートの経験とは違っていた。」 保護者からの報告によると、家庭訪問によりスタッフは家族の状況やニーズをより深く理解し、個々のニーズに合わせた支援を提供することができたとのことです。スタッフは、家族とのやりとりにおいて、前向きで協力的、かつ共感的な姿勢を示していたと見られています。スタッフは適切な質問をし、保護者のニーズに耳を傾け、フィードバックと励ましを提供しました。その結果、保護者は自信を深め、子どもを支援する能力に確信を持つことができました。 |
なお、これは大学内の図書館ですが、「図書館のボードメーカー 'Boardmaker in Libraries' 」プログラム(下図参照)にも、家族が「ドロップイン( 'drop-ins' ふらりと立ち寄る、という意味ですが、ワークショップのことかな?)に参加したり、自分で資料(視覚的支援物と思われる)を作ったりできるそうです。
(図はクリックすると大きくなり、もう一度クリックするとさらに大きくなります)
これ、ボードメーカーという名前は今残っているのかどうかはわからないのですが、(ボードメーカーは Picture Communication Symbol という、日本で言えば Drops みたいなもので、絵カードを作れるソフト) 今は、tobii dynavoxR 社が販売している様々なハード・ソフトに進化しています。
日本での販売はこちらの tobii というサイトになるのかな。
で、ここで思うのは、これ、1営利企業の商品なわけですね。堂々と名前が出てる。
日本でも、おめめどうはじめ、いろいろな支援グッズ・支援ツールを販売しているところを、堂々と論文で紹介や、公的機関での使用などできるようにしたらいいのに・・・
なお、もちろんこの試みは試行であって、だからこそ論文にまとめられた、ということだと思います。スコットランド中部でも家庭ではうまくいっていない・・・(まあ、保育所や小学校では一般的に使われている、ってのにはびっくりしましたが、それも実際に見てみないとわからない、と思う私ではあります)
この記事を書いたkingstoneの利益相反について
kingstoneはおめめどうフェローです。