突然の音で目が醒めました。
真っ暗な中、水平線の向こうから何かがやってくるような音。ゴーッと、ものすごく広く波が覆い被さってくるような音。いったい何だ、何だ、という感じ。ただ寝て聞いていました。
その音が大きくなると、ガタンゴトンとそこらじゅうが動き出しました。揺れた、という感じではなく、動いた、という感じ。ものすごい音もしていました。
正直なところ私は、「第三次世界大戦だ!核ミサイルで攻撃されたんだ!(いったいどこからやねん?何でそんなこと思ったんだろう)いや世界の終わりか!」と思いました。
で、ガタンという大きな音とともに右肩に痛み。180cmほどのタンスが倒れて来たのでした。長男は私の肩で止まったタンスと布団の間の空間にいて何ごともなく眠っていました。どのくらいの時間揺れていたのかはわかりません。妻が
「動かれへん!動かれへん!」
と叫んでいました。私は、とりあえず起きあがり
両手でタンスを持ち上げ、妻と長男を助け出しました。
・・・
次男のほうを見ると、(と言っても明かりは無かった)そちらは上下2段のタンスの上段が、次男の数cm横に落ちてきていました。おかげで危うく長男も次男も無傷ですみました。
この話をするたびに親戚からは「亡くなったお父さんが守ってくれたんやなあ」と言われました。
家の中は電灯の破片が散らばっており、素足では歩けない状態でした。たぶん室内は(ふだんは素足ですが)スリッパを履いて移動したと思います。
別の部屋で眠っていた母は、当時リューマチでもう体が動きにくくなってきていましたが、咄嗟に家中の開口部を開けてまわってました。そんなことは私は気がつかないぞ。
家族を安全そうな台所に避難させ、表に出てみました。まだ暗かったです。隣近所で玄関のところに人が出て来て立っていました。その人たちに
「何があったんでしょう?」
と尋ねましたが、みんな首を振って沈黙していました。