※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2019年08月14日

軍事費の歳出に占める割合とGNP比




この本のP171の「軍事費の推移」という表をエクセルに打ち込んでみました。
しかし、セルが「何年おき」という規則性があるわけではないので、グラフにはできないな。
もとは「軍備拡張の近代史」山田朗著・吉川弘文館より大村大次郎さんが抜粋したとのこと。

※表はクリックすると大きくなります。

軍備拡張表.jpg

今は対GNP比は1%枠を守ってるんですよね。

当時はどの国も無茶苦茶軍事費を使っていたな・・・

1900年(明治33年)の各国の財政に占める軍事費の割合
(「日露戦争(ー)」軍事史学会・錦正社よりの引用のものを私が引用)

※表はクリックすると大きくなります。

各国の軍事費1900.jpg

 この表の中で、財政に占める割合は日本が一番多いけれど、ドイツも相当でほぼ同じ。
 しかしGNP比にしてみると、もうドイツの2倍以上。

 なんかこれを思い出してしまう・・・






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2019年05月10日

しょぼい起業で生きていく えらいてんちょう著




最初の見出しが

「組織で働くのが無理なら起業しよう」

 で、よく自己啓発系というか起業を勧める本と同じようかと思うと、真逆の「しょぼい起業」の仕方が書いてあります。

 もちろん下のような「食い物にするようなセミナー」に参加してしまう場合とは全然違うでしょうね。

"シンヤさんはこの起業サークルに入会。ここ1年は週2回、セミナーに通い、「スモールビジネスの基礎やWebマーケティングの知識、フリーランスとしてのマインドセット」を学んでいるという。入会金は約20万円、セミナー参加料は1回800円。"

最初に20万円取るか・・・

"「入会前に『本気の人しか、成功はできない。フリーランスとして食べていけるのは、(会員の)1、2割』と、ちゃんと説明してくれた。信頼できるサークルです」"

まあ詐欺ではないのだけど・・・


「しょぼい起業で生きていく」の見出しに

「『とりあえずサラリーマン』という価値観の終焉」

というのがありますが、一生懸命働いてきて、45歳になったらもういらないよ、と退職勧奨される時代ですもんね・・・

えらいてんちょうさん自身は「就活とかできない(朝起きられない)なあ」と思い、自分でリサイクルショップ、バー、学習塾、などを経営してきて、今はコンサル業が中心になっているとか。

言われていることは

○金をかけるな(あるものを使え)
○人が集まってくる場(居場所)を
○なんでもお金に換算しなくていい
○従業員は雇わなくていい(居場所に来てくれていて、自主的に協力してくれる人にお願いする「正しいやりがい搾取」)
○そのためには、こちらからも相手を助けることが必要
○資金を出してもらえる人になる
・始めている人(それこそしょぼくても成果物を出してる人)
・お金を持ち逃げしないと信頼される人

みたいなところを書いてはります。
めっちゃわかります。

ただ、そういう人になるにはなるですごく難しいことではあると思いますが。
私の友人にも「あいつみたいな人やなあ」というのが浮かんできます。
バイトで入った会社で気に入られ、会社は合併やなんやかんやで変わっていきますが、結局その会社のえらいさんになってます。
 なお、少し前に話題になった「しょぼい喫茶店」について、経営者の「えもいてんちょう」さんと出資者とをつないだのもえらいてんちょうさんで、なんかとんとんと店が開け、スタッフ希望でやってきた女性がおられ、1年後にはおふたりは結婚されちゃったとか。

 本も出てますね。



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2018年10月01日

市場って何だろう 松井彰彦著




読書メモ

都市経済

顔の見える関係はもはや一部でしかない
誰でも受け取ってくれるモノ、貨幣の登場。
都市でモノとカネを交換する商人たちは早くから、つまり例えば年齢とか性別とかハンディの有無とかで人を差別しない行動規範を身につけた。

マイク・モラスキー編「闇市」



SMAP と小林幸子

事務所(所属型システム)からいずれも「村八分」にされた。
しかしネットシステムを利用して小林幸子は復活。
草薙、香取、稲垣もしぶとく残っている。
今後もせめぎ合いは続くだろう。
契約型システム(一回ごとに売り手と買い手が契約する)
このシステムでは一部トップスターのギャラが高騰する。
なお、かつての福祉の措置制度は所属型システムであり、施設は行政の顔ばかり見るようになる。
(まあ、それが契約になったのだが・・・)


福井のメガネ産業

藤岡陽子著「おしょりん」

増永幸八が大工増永末吉にメガネ作りを頼みに行くが、末吉は断る。しかしそこに末吉の娘ツネがいた。

小学校3年生くらいの娘ツネは黒板の文字が写せず「授業についていくのがむつかしい」ということで学校に行っていなかった。

ところが幸八が取り出したメガネをかけたところものがはっきり見えだした。視力が悪かっただけだった・・・

ということで末吉が協力し始めたところから福井のメガネ産業が発展してきたとのこと。


自由貿易と保護主義

絶対優位と比較優位(リカードが唱えた)

AさんとBさんがいて、例えば創造的能力も事務能力も、絶対的にはA>Bだとして、じゃあAが全部やればいいかというと、Bさんに事務を任せてAさんは創造に注力した方が生産性が上がる場合がある。これが比較優位。
自由貿易が良いのはこの理屈による。
(任せられるところは任せる)
ただし、個別の人生の運命は悲劇とならないように様々な配慮は必要だろうな。



「購買力平価」例:ビッグマックの値段

「要素価格均等化定理」賃金が各国近づいていく

アンガス・ディートン著 大脱出
(人類による貧困と早すぎる死からの大脱出)


政府も市場のプレーヤーである(大きいけれども1プレーヤー)

財務省のジレンマ
・財政危機だと言って財政均衡を図る
・財政危機ではないから国債を買ってね、と言う
(で、国債は売れているのだから財政危機では無い?)

正規労働者と非正規労働者の扱いをなるべく近づけるとして、

正規労働者を解雇しやすくする→アメリカ型
中途採用の労働市場が未整備のままだと労働者の立場が脆弱になる

非正規労働者の保護を手厚くする→欧州型
経済成長がないままだと若者の失業率が高くなる

経済学が打ち立てた金字塔

厚生経済学の第1基本定理

「理想的な競争市場の下では効率的な資源の配分が達成される」
 効率的な資源の配分→パレート効率性
 (でも理想的な競争市場というものが無い・・・)

厚生経済学の第2基本定理

公平性は、再分配=所得移転と市場の二つの組み合わせで回復させる
絵に描いた餅


依存症ビジネス

デイミアン・トンプソン「依存症ビジネス」
「iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒/フェイスブック、アングリバード、オンラインポルノ・・・/私たちは、なぜこうも「病みつき」になるのか?/もはや病気ではない。/最強最悪のビジネスモデルである。」



公か私か、それとも共か

市場の本質は価格メカニズムの有無というよりも、その分権的性質にある
東北大震災のおり、著者はもともとつきあいのあった相馬高等学校と私的に交流を始める。

・希望者を東大に招く
・東大生を連れて相馬高校に行く

など。
メディアに取り上げられると批判が起こる。
「なぜ相馬高校だけなのか」「○○高校には来てくれないのか」
以前からのつきあいであり、私的な交流であることを説明した。
しかし、つながりができれば他の高校も訪れたいと。

なかなか他の活動はうまくいかなかったが、いろいろな契機があり、後年「ふくしま高校生社会活動コンテスト」に結実し、2017年からは公的な支援も受け、自律的に動き出す。
 最初から公的な支援をあてにしていては何もできなかっただろう。





市場と依存

「なめとこ山の熊」

猟師が熊の皮を商人に買いたたかれる話。
問題は猟師が「1商人」に依存しているから。
ここには「市場」は無い。
たくさんの商人(たくさんの依存先)がいて、一番高いところに売れたらだいぶ改善されるのではないか。

熊谷晋一郎「依存先が十分に確保されて、特定の何か、誰かに依存している気がしない状態が自立だ」

相馬は二宮尊徳の直弟子が住んだ。その二宮尊徳の言葉とされるもの。
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」

「金町学園」(葛飾区にある。聴覚障害児支援施設)

10数年前、職員の不祥事が報道された。その後、体制を一新した。
「NPO大塚クラブ金町学習塾」の取り組み


福島県いわき市 平(たいら)支援学校(肢体不自由)

ボランティア活動をしている。
「(普段は支援を)される側だが、する側にもなれる」
「障がい者とともに支援、高齢者とともに支援」
「おたがいさま」



瓜破(うりわり。難読地名)


寺尾さんの2m四方の作品には400万円の値がつく。必要経費を引いて寺尾さんのものとなる。
金沢美術工芸大学での質疑応答である学生が質問した。
「寺尾さんは毎日、同じ鉄の絵を描いていて、飽きないですか?」
「好きやから、飽きへん」
それを聞いた学生が泣き出したとか・・・


(あれ?「アトリエインカーブと、やまなみ工房、同じ人がホームページ作ってるのでは?)


売る方に注力してはる。

どんどん儲けられる人は儲けて頂いて、しかしそこに至らない、本当に絵に限らず「楽しみ」としての活動のみで、市場に出せないモノしか作り出せない方、コトしか作り出せない方でものんびりと楽しく暮らしていける制度・しくみも同時に必要だろうな。


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2018年09月18日

行動経済学から考える男女共同参画(神戸市・アステップ講演会)



 垂水区役所の掲示板にこんなポスターが。

P9170421.JPG

こちらですね。


<講演会の概要>

日時:平成30年10月27日(土曜)13時30分〜15時30分

講師:大竹 文雄 さん
  (大阪大学大学院経済学研究科教授)

対象:どなたでも

定員:100名

場所は書いてないけど、当然「あすてっぷ神戸」(湊川神社の西側)だよな。

<申込方法>
下記のいずれかの方法で申込

 (1)電話:078-361-6977 
 (2)FAX:078-361-6477
 (3)電子メール:semina_astep@office.city.kobe.lg.jp

 ※お申し込みの詳細はチラシをご覧ください。
 ※一時保育や手話通訳・要約筆記が必要な方は、お知らせください。


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2018年08月18日

善意で貧困はなくせるのか? D・カーラン & J・アペル 著




 著者は特に開発途上国への支援をどうすれば、より費用対効果が上がるかを、ランダム化実験(RCT)を通じて研究、実践してはる。

 「ビフォアーーアフター評価」というのがある。

 ある人々のビフォアーとアフターを比較して、介入が効果あったかどうかを調べる。

 しかしこれはは役に立たない。(と筆者は言い切る)いろいろな外部要因が入っている可能性があるから。

 だから「介入を受けない対照群」を設定してランダム化試験をすることが必要になる。

 で、多くのエビデンスのある提言をしてはるのだけれど、日本とは現状があまりに違いすぎて、全然適用できないことも多いだろうな。

 しかしやってみて実証して意見を言う、というのは大切だと思える。

 いやあ、特別支援教育の事例研究はたいてい「ビフォアーーアフター評価」で、ランダム化するのは1実践者には手に余るなあ・・・
 しかし、著者の場合は協力してくれる(調査したい)マイクロファイナンスの会社を探し出して、RCTをやっていきます。しかもたくさん。



マイクロクレジットについて。

 マイクロ・クレジットは1976年にバングラデシュのモハメド・ユヌスさんが高利貸しからお金を借りていて貧困から抜け出せない人(女性)に、事業資金を融資し、高利貸しよりは低い利率で返済させる仕組みを作ったことから始まっている。
 また特徴としてグループに貸す、という形をとったところに特徴がある。

 それが成功したからユヌスさんはノーベル賞を受けたのだけど、その後、マイクロ・クレジットは「成功した女性企業家」とかたくさんの国の男女限らず「起業した成功者」のストーリーを宣伝してるけれど、実はそんなにみんな起業したいと思っているわけではないし、グループローンの場合、リーダーがだんだん疲れてくる、というのもある。

 そりゃそうやわな。
 それに、お金って借りてしまえば、例えば100ドル借りて、事業に70ドル使い、30ドルは趣味に使い、しかし返済日にちゃんと100ドル+利子を返せばわからないですもんね。

 またマイクロクレジットでお金を女性が借りても、手に入れるとすぐに、夫が取り上げて飲んでしまう、というのもありそう。

 利率の問題もあって、例えば日本だと

プロミス(三井住友系列)のホームページによると実質年率 4.5% 〜 17.8%

アコム(三菱UFJ系列)のホームページだと実質年率 3.0% 〜 18.0%


 しかしマイクロクレジットをするための資金を集めるのは例えばこうなっている。

 人気のあるkiva.orgというサイトはいろいろなストーリーが書いてあり、気に入ったストーリーにクリックして融資すると、その顧客が返済すればお金が戻ってくる、というシステム。

実際はこうなる。
 銀行(レンダー)がお金を借りたい人Aさんのところに行き、写真を撮り、ストーリーを作る。それがkiva のホームページで見ることができる。
 Bさんが見てストーリーを気に入り、クリックしkivaに100ドルを無利子で融資する。
 その100ドルはマイクロ融資者(これが銀行、レンダーだと思う)のポートフォリオに入る。
 マイクロ融資者は顧客(Aさんではなく、誰か。Aさんは既に借りているかも)に年率40% 〜 70% で貸し出される。(確か100%なんてのもあったはず)
 Aさんが返済すれば、Bさんに100ドルが返される。
 Aさんが返済できなければ、Bさんに100ドルは返されない。
(しかし、実際は他の誰かが肩代わりをするか、レンダー自身が肩代わりし、返済されることが多い。それは記録に傷をつけずに、よりたくさん融資を受けるため)
 BさんはAさんに融資したと思っているけれど、実は違う。
 (ひょっとして、感動的なAさんの話で100人から融資を受け、銀行はAさんも含めて99人に融資できる、って話だわな。あるいは9900ドルを別の儲け話に投資するとか・・・)

 この誤解を生じさせている、というのも問題

 し、マイクロ・クレジットって、実は日本の消費者金融の何倍もの利率をとってるんですよね。

 ただ、銀行には出向かなければいけないけれど、高利貸し業者は「取りに来てくれる」のが便利とか、返済期間が短くて毎日の商売にはわかりやすい、とかいろいろ、本人にとっては「便利と思える」ところがあったりするんだよね。

 なお、後の方でRCTをした結果、確かにグループ貸し付けのほうが、返済されることは多かった、ということではあります。



南アフリカでクレジット・インデムニティとどういうダイレクトメールにローン申込者が多いか。条件を変えてやってみた。
申込数が多かったもの。

1.低利率のローン(当然)

その他
・きれいな女性の写真(融資条件と関係無し)
男性に対して、男性の写真を使った場合に比べて利率を40%下げるのと同じ効果があった。
女性の人種は関係無かった。
・融資例の数(融資条件と関係無し)
融資例の表を4つ載せた場合、1つの場合より申請数がはるかに少なかった。


 もうひとつひとつのRCTの内容が面白いのですが、長くなるのでそれらに基づいた提言のところ。
 ただし、あくまでも開発途上国の例で、日本とはいろいろな意味で違う場合もあると思います。

1.貯蓄のほうがいい場合がある。
・毎月定額貯金、財形貯蓄みたいなもの。
 妻が仕事のためにローンで借りても夫が飲み食いに使ってしまう。
 あるいは「何か少し高めの物を買おう」と思ってもついつい使ってしまう、などの場合に有効。
(これは日本に既にあるな)

2.お知らせメールで貯蓄をうながす。

3.前払いで肥料を買う。
これは肥料が必要な時期にもう肥料を買うお金が無くなっている、というのが避けられる。
収穫して手元に現金がある時に、全額払う。
これで収量が多くなり、収入が増える。

4.と 5.は後で第9章の紹介の中で。

6.塩素ディスペンサーできれいな水を
下痢で命を落とす人がいないよう。
1)各家庭に塩素を配るのは効果がなかった。
2)地域のネットワークを使う(塩素ディスペンサーで消毒した水を地域(といっても狭い範囲)に流すのは効果があった。
ただし、最初、無償提供し、「もし(安い)金額で提供されたら」と尋ねられると地区によっては「無理」、地区によっては「払ってもつけてもらう」と意見が分かれた。

7.コミットメント装置
月1回、1年の積み立て預金のさいに時期が来たことをメールで(携帯の普及していないところでは手紙で)知らせるようにすると、総貯蓄額は6%増え、貯蓄目標を達成する人も6%増えた。



なお、著者はアメリカでstickk.comを運営している。


これは自分の決めた目標を達成するため、コミットメント契約ができる。
達成目標、賭けるもの、成功(または失敗)を証明してくれる人を決める。

1週間に1度はジムに行く。
失敗すると100ドル払う。

例チャリティー
1週間に1度はジムに行く。
失敗するとユニセフに100ドル寄付する。

例アンチチャリティー
1週間に1度はジムに行く。
失敗すると自分の嫌いな団体(例えば全米ライフル協会)に100ドル寄付する。

同じ割合の儲けになるとしても、仕組みによって大きく変わってくるものの例として、退職年金のマッチング拠出を上げてはる。それっていったい何かと思ったら、日本でもこんなのありました。
控除や払い戻しより、マッチング拠出をオファーされた人が拠出する割合が高かった。
(ただし、アメリカは個人が出すのが主で、会社が出すのが従、日本では会社が出すのが主で、個人が出すのが従、かな?)

第9章 学ぶ 大事なのは学校に来させること

例 ガーナの場合。
原則としてSSS(高等学校に相当)まで公教育は無料。
しかし学校に行けない理由
1)教育の機会費用(その本人が働けば得られたお金が失われる)
2)制服、ノート、教科書、ペン、鉛筆、昼食代、交通費などのお金
3)PTA会費
4)受験準備の補習の追加費用
5)全国標準試験(センター試験みたいなもんだな)の出願料
などたくさんの費用がかかる。


メキシコの「プログレサ(進歩)」(今では「オポルトゥニダデス(機会)」と呼ばれている)
貧しい家庭の子どもたちが85%以上の出席率を維持できたら母親にお金を払う。
これをRCTで一部のコミュニティには支援を出し、一部は対照群とした。(実のところ予算も少なくて一度に出すことができなかった、というのもある。災い転じて福となす、みたいな感じか)
プログレサの結果、参加したコミュニティでは支援を受けられた生徒の退学率が大幅に減った。


コロンビアのボゴタで実施されている「スプシディオス(補助金)」は「プログレサ」の改良型。
RCTの条件
1.(はっきりは書かれていないが)何もなし
2.毎月給付。普通のプログラム。
3.毎月、2/3は給付され、1/3は貯蓄口座に入れられ、次の年、学校に再登録したら受け取れる。
4.毎月、2/3は給付され、1/3は貯蓄口座に入れられ、(もともとの額は再登録あるいは年度末に受け取れ、ということだと思う)次の年、学校を卒業したら大きなボーナスが受け取れる。高等教育機関に入学したらボーナスを早く受け取れる。進学しない場合は1年後にボーナスを受け取れる。


1.2.をまずランダムに割り付けてやり、次に2.3.4をランダムに割り付けてやってみた。

結果。
2.3.4.は欠席率が12%〜26%低かった。
翌年、学年が変わっても就学する率は1.と2.ではあまり変わらなかった。しかし3.4.はかなり大きかった。
高等教育機関に進学する率は3.では5割上がり、4.では3倍上がった。
(進級、進学時のお金の必要な時に、手元にお金がある、ということが大きいか)


一番費用対効果が高かったもの
4.寄生虫駆除
これはなんと「学校にやって来る児童・生徒を増やす」に効果があった方法。
ケニアで約3.5ドルで学校に通う期間が1年伸びた。
次にいいのは制服のある学校の場合、貧困家庭に制服を無償で提供すること。
しかし費用はおよそ25倍かかる。
(制服が無いと恥ずかしくて登校できない、というのは日本でも数は少なくてもあるよな)


5.学力増強には少人数グループでの補習授業
小学校を卒業しても字も読めない、計算もできない、という事態も多い地域でやってみた。

インドの「NGO プラサム(Pratham)」のムンバイでのバルサキ・プログラム

成績が最低レベルの生徒をクラスから取り出して、毎日2時間、プラサムが雇って訓練した講師をつけて基礎的な学力の勉強をさせるプログラム。

プログラムを受けた生徒は大幅に試験の得点が向上した。

しかし、取り出した後のクラスはより少人数教育になったが、特に恩恵を受けたデータは無い。(これはプラサムに訓練されていない元々の教師の問題もあるかもしれない)


ケニアでRCT。
1年生を担当する教師をもう1人雇う補助金を出す。
そのさい、半分の学校では生徒を前学期の試験の成績で振り分けた。
あと半分の学校は、生徒をランダムに振り分けた。

結果。試験の成績で分けたほうは、上位の成績のクラスも下位の成績のクラスも、試験の成績が大きく伸びた。




過去に私がマイクロクレジット関係で書いたエントリなどへのリンクを貼っておきます。



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