私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2022年08月18日

「知的障害である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校における発達や障害特性に応じた進路指導への一考察」



大久保圭子・八木修司(2020)『関西福祉大学研究紀要』Vol.23, 3, 39-50

「視覚支援」で検索して出てきた論文の1つ。

 知的障害のある生徒を雇用した15社からの聞き取り。

特別支援学校高等部を卒業する生徒が就労する割合は年々増加しており,2004年では20.4%であったのが2018年には31.2%となっている
文部科学省(2019):日本の特別支援教育の状況について.新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議.
(?私はこの資料の中から、この数字に行き当たることができなかったのですが・・・)

兵庫県の最新(?)のものだと


によると、障害種別全部含めてですが、24.2% となっていますね。

この論文にはいろいろな調査の結果が表にまとめられて出ています。

「表3 知的障害者を雇用する決め手となった事柄」

など、なかなか面白いです。ただし、「だからこの点に関する指導をしよう」と考えた場合、私がおつきあいすることの多かった知的に重いタイプの方にはしんどい可能性がありますので、あまり学校全体に一般化して広げるのは止めておいて頂きたいですが。やはり、ひとりひとりに合わせて考えて頂いたうえで、できる生徒さんにはおおいに指導して頂いたらいいのじゃないかな、と思います。

「表4 知的障害者を雇用するに当たって配慮していること」

の中で、視覚支援に関わるところを抜き出してみました。(著者が視覚支援と別項目にしているところでも、私が考えるに視覚支援に入ると思える部分は抜き出しています)

障害状況に応じた作業内容,方法の改善
(前略)
4)チェックリストの活用
・水やりのチェック表を作成.
・「星取り表」の活用.縦軸は従業員の名前,横軸には仕事上覚えなければならない事柄や,習得しなければならない操作など項目を上げ,できた人には星印を入れていき,志気を高めている.
5)スケジュールを提示し見通しを持たせる
・長期のスケジュールを一ヶ月半先まで分かるように渡し,見通しがもてるようにしている.
・日々のスケジュールは時間帯毎に色分けし,時間のイメージを持ってもらうようにしている.
・変更があったときは,早めに必ず伝えるようにしている.
6)視覚支援
・一日の記録表を作成.(目標,できたこと,失敗したこと,注意を受けたこと,反省などを記入.)
・メモ帳,ホワイトボードにするべきことを書きだしてチェック.
・改善してほしいことを文章で書いて掲示.
7)指示の仕方の工夫
・具体的には,現場で「ええ具合にやっといて」「それをここに運んで」など,曖昧な指示を出さず,極めて具体的に明確に出すこと,などを徹底している.
(これは視覚的なものを使っているかどうかはわからないわけですが、絵なども使って具体的に明確に出すこともあるのではないかな、と)
8)道具の工夫
・メジャーにしるしをつけている.
・物品仕分けでは,棚の中のトレーの色を配達する場所毎に色分けし,番号をつけたり,必要な物品一覧をわかりやすくしたりするなど,本人が理解できやすいようにしている.
・支援の方法に構造化を取り入れている.
9)マニュアル等を作成
・知的障害者に対してマニュアルブックを作っている.失敗したときなどはそれを見てリピートして教育する.
10)作業日誌の記入
・作業日報を記入することにより,振り返りを行うように指導している.
・本人の能力,できぐあい,仕事の効率などを見て,あまり負担にならない配慮をしながら,新たな仕事を指示している.
・仕事の計画や実施状況を記入するノートを作り知的障害従業員が記入し,援助者(副店長)が毎日,目を通し,困った点などを把握するようにしている


結構たくさんの項目があります。

これら以外にもたくさんの手立て(従業員研修など)が取られていることがわかります。

また企業の感じている問題点の表もあります。

なお、こんな記述もありました。

これらの配慮は,雇用の段階で準備されていたものではなく,雇用後,試行錯誤を繰り返しながら知的障害者が働く過程で生み出されてきたものであることが聞き取りを通して明らかとなった.

 もちろん、雇用してからでないとわからないことはたくさんあるのですが、「こうしたら作業がうまくいく」「こうしたらコミュニケーションがうまくとれる」などの学校からの引き継ぎは十分なされていたのでしょうか?

 というか、学校時代に「こうしたら作業がうまくいく」「こうしたらコミュニケーションがうまくとれる」がわかっていたのでしょうか?

 と言いますのも、2020年の特殊教育学会でのポスターや自主シンポジウムで発表されていたのが、高等部の生徒で作業学習ができない(暴れる、逃げ出すなど)人に対して、(たぶんそれまでされていなかった)手順書を作る、課題内容を個人にあったものを考える、しんどい時はそれを表現して休める、などをすることによってうまくいくようになった、という報告を2件見たのですね。


 小学部でなく、高等部なのですね。それまで、手順書を作る、課題内容を個人にあったものを考える、しんどい時はそれを表現して休める、などをし、うまくいくようにし、それを引き継ぐ、ということがされていなかったのか、不思議に思ったのです。もちろん、企業に就職する方たちより知的に重い方だとは思うのですが、校内にそういう発想が無いのなら、知的に軽い生徒に対しても行われていなくても不思議は無いかな、と・・・

 まあいくらうまく引き継ぎされたとしても、常に現場で考えていくことを続けなければいけないとは思いますが。


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2022年08月17日

「ダウン症児の片付け行動における社会的強化と視覚的支援の効果の検討」



「ダウン症児の片付け行動における社会的強化と視覚的支援の効果の検討」
田中廉也,米山直樹(2021)『関西学院大学心理科学研究』Vol.47,43-48

題名で検索すると、結果が出てくるのだけど、クリックするとダウンロードが始まってしまうタイプの PDF です。

これは学部生さんの卒業研究みたい。
学部生でこういうことをさせてもらえるっていいな。

対象児 A児
ダウン症
開始時5歳2か月(園に通ってれば年中さんだな)

抄録では
介入1期では社会的強化,介入3期では視覚的支援,介入2期では社会的強化と視覚的支援の両方を用いた介入を行なった。介入の結果,参加児の片付け行動にかかる時間の短縮を目指すためには社会的強化と視覚的支援の両方の指導方法を併用することが最も有効であることがわかった。

となっているけれど、これは「有効ではなかった」例じゃないかな。
(もちろん、「有効ではなかった」例の論文も読ませて頂けたらありがたいです)

どのような介入を行ったか。

BL期1,2(ABABデザインってことかな。でも2期も BL と呼ぶんだろうか?)
タイマーが鳴ったら(先に教示しておいて)「タイマーが鳴ったので遊びの時間ははおしまいです。お片付けをしましょう」と教示、収納箱をA児の前に提示。おもちゃ箱に入れることができたら「えらいね」「すごいね」「かっこいい」などの言語賞賛を行った。
介入1期(社会的強化)
タイマーが鳴ったらBL期と同じ教示をし、A児がおもちゃを入れるたびに、その場の全員からの称賛。
介入2期1,2(社会的強化 + 視覚支援)
タイマーが鳴ったら、BL期と同じ教示をするとともに、おもちゃと姉の顔の写真カードを貼ったホワイトボードを提示し、「おもちゃを全部片付けたらお姉ちゃんに会えるよ」と言う。片付けの最中も著者が常にホワイトボードを持ち、片付けるべき残りのおもちゃと姉の顔が確認できるようにした。おもちゃを箱に入れられたらその場全員からの称賛。すべて片付けられたら姉が入室し、言語称賛やハイタッチをする。
介入3期(視覚支援)
おもちゃを入れられた時の称賛は、著者1人に。

そしていくつかのグラフがあるのですが、1つだけ「介入に対する片付け終わるまでの時間の推移」のグラフを示します。

グラフ.png


ぱっと見た傾向として、右上がり、つまり余計に時間がかかっているように見えるのですが。

ところで、もう少しA児のプロフィールがわかるところを抜き出してみます。

1.課題中離席することは無い
2.課題の答えをわざと間違え、療育者の顔を覗き込んで笑う
3.課題に使う材料を投げることがある(回避行動と解釈しておられる)
4.机に突っ伏して腕に顔を埋めることがある(拒否行動と解釈しておられる)
5.上記のような逸脱行動の直後には後方にいる保護者の顔を覗き込んで顔色をうかがう

う〜〜ん。ごめんなさい。下記のように思えてしまいます。

1.課題が(いろいろな意味で)合ってない
2.そもそも来室することに納得していない可能性も(「だからいけない」というのではなく、「だからこそ必死で合う課題、楽しめる遊びを探さないと・・・」)
3.「注目」は強く求めている

そして、今まで関わってきた多くのお子さんの顔が思い浮かびます。
印象としては「かしこいお子さんやなあ」
私は学校や放課後等デイサービスで、このようなお子さんともそれなりに関わって来ることができたと思いますが、しかし「週1回のセラピー」という場だと、いろいろ難しいのかな・・・

また、方法でよくはわかりませんが、私なら使わないな、と思ったところ。

1.タイマーで「楽しい遊びを止める」から入っていること。
もちろん、それでうまくいくお子さんもいます。前職の放課後等デイサービスでは、過去にiPadシステム(タイマーで残り時間を、顔と名前の写真で順番を見てわかるようにする)を使っていて、私はこの利用は難しいのじゃないか、と思っていたのですが、ほとんどのお子さんがちゃんとルールを理解して使えていました。
でも、うまくいかないお子さんならタイマーの使用はあきらめて、単におもちゃ箱の提示と声かけのみからやるかな。

2.もし放デイでやるなら
課題の時間はほとんど無し、というか短い。そしてたっぷり遊びの時間をとる。ひとつの遊びでもとことんやればいいし。またバリエーションを広げるようにちょこっと働きかけたりする。その中で机上課題に使えるヒントを見つけていく(それが週1回のセラピーという場だと難しいんだろうな)。

3.片付けるべきおもちゃ1つ1つの写真のホワイトボード
う〜〜ん、これもよくわからないのですが、必要なんだろうか?めんどくさいだけじゃないかな・・・私なら下記のようなカード1枚、使うかな?いや使わずに箱提示と音声「かたづけよ」で一緒にかたづけて全部できたらほめて、その箱を本人に所定の位置に持って行ってもらうかな。

かたづける.png

4.その場全員からの賞賛
「片付け」という日常的なことならあまり大げさにはしたくないかな。競技型ゲームならやりそうだけど。

 それから「注目」が課題になりそうだから、特になんてことない時に賞賛したりはするかな・・・


 よくある「視覚支援をしたつもりだけれど、視覚支援になっていない(見せてはいるけれど、支援にはなっていない)例」じゃないかなあ・・・


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2022年08月16日

「視覚支援の介入により適応行動を獲得した自閉スペクトラム症児の考究」



宮崎弘道・丸木和子(2021)『障歯誌』Vol.42. 67-72


本児プロフィール
ASD,知的能力障害
2000年生まれ
3歳から普通幼稚園と通園施設に通う
通園施設で写真カードによる視覚支援を学び、家庭でも行っていた
10歳での WISC-III FIQ(41),VIQ(43),PIQ(50)
発語はその後も無し

歯科検診について
6歳11か月 初受診(2007年1月)
口腔内診査を試みようとすると、泣いて頭、体を動かして抵抗
慣れを目的として毎月1回の予防措置をすることとする
8歳9か月
Tell-Show-Do法や少しでも開口したらすぐに褒めるなど、声かけによるオペラント強化技法を主体にして、状況に応じてカウント法を併用してきた。泣くことはなくなったものの、みずから開口はせず抵抗はあった。
8歳10か月
絵カードを作成し、視覚支援の準備が整い、導入。
絵カードは家庭でも使われているせいか、抵抗なく見、まず全行程を音声での説明とともに提示、その後問題なく終了。その後、毎月1回の診療前に、待合室で診療内容を絵カードで説明。カードを患児に渡して診療待ち時間に練習するよう指示。これを6か月継続。
9歳0か月
前回反応が良かったので(たぶん診療の椅子の場面で)口頭のみで説明したが開口しなかった。そこで絵カードを使用。なお絵カードに入っていなかった「超音波スケーラー」を声かけしながら提示したが、首を振って拒否した。
10歳6か月
最初に提示しなかった「超音波スケーラー」を写真とともに提示すると、理解し、歯石除去も可能であった。この後、予定にない処置の変化にも対応できるようになった。
12歳2か月
抜歯もできた。
12歳5か月
絵カードを使わずに抜歯もできた。
13歳2か月
治療の終了時に、自分の持っているカードから「ありがとうございました」の書字カードを自ら提示し挨拶するようになった。
16歳5か月
口頭での説明のみによって局所麻酔、銀冠ができた。
この後、安定していたため、近医での歯科管理となった。


当時使われていた「絵」がありました。

「視覚支援素材」(大阪大学歯学部附属病院 障害者歯科治療部)

この中のこんな絵に、必要な文をくっつけたものだったようです。

歯.jpg


 最初、3歳から絵カードをご家庭でも使用していたのに、6歳11か月から8歳9か月まで使わなかったのはなぜだろう?と不思議でしたが、時代を見ると2007年1月から2008年11月までですから、そこまで親御さんも先生方も発想できなかったのかな、とは思います。

 おめめどうの「歯医者さんを好きになる」が出たのが、2007年3月。
 まだまだ「歯医者さんで視覚支援を使ってみよう」と考えられることの少ない時期ではあったのでしょうね。



 なお、「視覚支援」関連の論文って少ないのですが、歯科医療に関するものの割合は多いですね。

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2022年05月19日

『対話から始める 脱!強度行動障害』読書メモその4




この本に出てくる、たぶん充実した成人期を送っておられるであろう方

稲田友美さんの息子さん

  幼少期にどのような状態だったのかはわかりませんが、周囲の価値観に稲田さんが、止められたり、不安に思わされたりした。自傷・他害・家具家電の損壊などがあったが、やはり反対されながらも、幼少期に自分で動かす車椅子(パンテーラミクロ)を導入され、行動の自発や多様化につながっていった。


荻野ます美さん(自閉症啓発キャラバンSwing、相談支援専門員)の息子さん

  佐々木正美先生とTEACCH部に見学に行った時のエピソード。当時息子さんの激しい行動に辟易しながらも、「地域との交流をしている」とお伝えすると「本人が望んでいますか?私にはそうは思えません。望んでいるのはお母さんでしょう」と指摘され号泣する。その後、家庭ではうまくいっていたが、高等部で学校不適応を起こし退学(私はリアルタイムでその様子を Twitter で見ていた)。現在、ご本人は「自閉症の青年として真っ直ぐに育って」いるとのこと。


奥平綾子さんの息子さん

  小学校高学年から荒れが見え始め、特別支援学校高等部中退。その後も荒れる。母子分離、時間軸、予算軸、年齢相応、人権の尊重そして「仲間はずれにしない」情報伝達などを意識し、今は長屋の隣同士の生活(別棟と書かれているけれど、たぶん2コイチの長屋風だと思う。屋根が共用だったら別棟とは言えないので・・・ってのは私のこだわりか・・・)で、落ち着いた半自立生活を送っておられる。


伊藤あづささん(一般社団法人 ぶれいん・ゆに〜くす)の息子さん

  比較的早い時期に TEACCH と中邑賢龍先生とに出会い、ひどい「荒れ」は無かったよう。伊藤さんは仙台にお住まいだが、息子さんは大阪府高槻市で重度訪問介護を使い、一般就労をしておられる。なお、旅立ちの日のことは、こちらの、2014年2月17日のところに書かれている。 虹の夢(2014年2月分)


岡部耕典さん(早稲田大学教授)の息子さん

  映画「道草」に出て来られた方。岡部さんはお子さんが利用されている重度訪問介護が肢体不自由の方ばかりでなく、知的障害の方にも適用されるように運動されて来られた。現在、息子さんは重度訪問介護を使って自立生活をされておられる。


金成祐行さんの息子さん

  小さな頃は大人しくて穏やかだったが、大きくなるにつれて強度行動障害の状態になることが多くなり、作業所や生活介護での虐待などの不適切な対応で、うなぎのぼりに強度が増していった。成人後、このような事件も起こります。 強度行動障害の長男 「社会から見下され、心が折れた」家族介護。しかしこれによって新しい連携の枠組みができたとか。で、この本には書かれていませんが、息子さんの生活も充実してこられているようです。
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2022年05月18日

『対話から始める 脱!強度行動障害』読書メモその3




第6章 しくじり思春期 母子分離の重要性(奥平綾子)

奥平綾子さんは鰍ィめめどうの代表取締役。
利益相反について:私はおめめどうフェローです。

  それだけに、いろいろ聞いていたのですが、今回、これを読んでめちゃくちゃ得心でき、私もわかってなかったなあ、という部分がたくさんありました。

中学校への入学と過干渉

  小学校卒業前、困った行動が出始めてお医者さんに相談した頃のことを思い出して書かれているのが、

「(お医者様が)『お子さんにストレスがかかっていますね。何か(式典などの)活動をやめるのも一考ですよ。それに、親御さん、もっと離れて下さい』と。視覚的支援をすることで、参加できるものは増える。けれども、まだ、筆談コミュも少なく、本人の気持ちを聞くところは甘く、『過剰適応』になっていた」

(当時、奥平さんは「学校は絶対休ませません」と言ったり書いたりしてはって、なんかすごいな(褒めてるんでも非難してるんでもなく、淡々と字義通りに)と感じていましたが、そんなことが進行していたんですね)

母子分離の難しさ

(中学以降、激しいトラブルを起こすようになり)「当時はなぜそれが起こるのかわからなかった。ずっとしてきた視覚支援や選択活動、そしてコミュニケーションに、何か問題があるのだろうか?周囲の目もあり、私は不安だった。結局、一生懸命な母親が陥る典型的な例なのだと思う。熱心な親ほど「母子分離」が下手なのだ。「私がいなくちゃ」にますます追い込まれていった。」

(もちろんその後も、視覚支援や選択活動に助けられることは多いわけですが)

(現状では「母子分離」と書くしか無いところがありますが、ここ数年の動き流れを見ているとこれも「親子分離」となっていくかな?お父さんが子育てに参加されている例も増えてきた感じがありますし)

年齢相応に尊重されない

  これは今の特別支援学校どうだろうか?高等部の生徒でも幼児や小学生みたいな扱いをされる、ってことなんだけど。今はそういう場面が少なくなってきているのを期待したいけれど。

「エスパー」の罠

(高等部を退学する時に、学校が嫌な理由に「先生がしっぱいするのがイヤです」と書かれたそう。この話もよく聞いていたので、「学校の先生が何かをスムーズにできなくて嫌だったのかな」くらいに思っていたのですが、どうもそうではなかったようです)

「自分が『お茶がほしいな』と思ったとして、『お茶がほしい』と口に出さなくても、お茶が出てくるのだ。それが続くと、いずれこう考えるようになる。『お母さんは、僕が思っていることは、全部わかっている』と。となれば、車を運転しているときに、彼が『右に曲がってほしいな』と思っているとして、私が左に曲がると、『お母さんが失敗した〜』となるのだ。」

(つまり、「考える」→「要求する」→「実現したり、しなかったり」であるところ、「考える」→「実現する」が続くと同一性保持が起こってしまい、周囲が特に間違ったり失敗したりしていないのに「○○が失敗した」と他人の責任にしてしまう。自分の責任を引き受けられなくなっているわけですね。すごく奥が深かった・・・)

(だから「エスパー」をして先回りして何かをしてはいけない、という話になるわけで。また本人の責任なのに、勝手に後始末をしてはいけない、という話にもなるわけで。しかしだからこそ自分で判断する元になる情報を視覚的支援を使って正しく伝えることが大事になるわけだな)

「仲間はずれ」をやめる

(これは樋端さんの「オープンダイアローグからの学びとツールの活用」のところで書かれていたことを彷彿とさせる)

(また本人が暮らしていくためのお金の判断(おめめどうの言う「予算軸」)を育てていくのに大事なことも書かれてます)

「しくじり思春期」を経てわかったこと

「障害があるから、特別な思春期がやってくるわけではない。定型発達の子どもたち、いや、自分自身と『同じ思春期』がやってくるのだ。ただ、その子が自閉症・発達障害・知的障害であれば、その特性に沿った対応(注意しなければならないところ)があるという、それだけのことだった。」


(メモで書き出したところも、前後に詳しく他のことも書かれていますし、他の方の部分も勉強になる(めちゃつらくなるところも・・・)ので、是非、ご購入して下さい)
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