私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2021年12月12日

「千葉県における強度行動障害者支援の人材養成研修について」講読メモ



「千葉県における強度行動障害者支援の人材養成研修について」
田熊立(2019)『発達障害研究』Vol.41, 2, 134-140


I. はじめに(経緯)

2004(H16) 強度行動障害支援事業開始
2013(H25) 厚生労働省「強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修)」開始
 千葉県ではグループホーム建設・運営の補助事業開始予定
11.26 千葉県養育園事件(利用者を支援者が蹴り殺した)
2014(H26)千葉県社会福祉事業団問題等第三者検証委員会設置
      「養育園」の第三者検証委員会報告
検証委員会は養育園の定員を半減させ、地域に戻すよう提言。
しかし入所施設の70.8%、グループホーム68.1% が受け入れられないと回答。
受け入れに必要な「空き」と「対応できる職員がいない」という問題。
千葉県は体系的な研修事業を始めることが以前より決まっていた。そしてこれらの経緯を受け、千葉県独自の事業としてより高度な人材養成研修として始まった。

II. 目的

「受講者の行動変容を介して、支援にあたるチーム全体(所属事業所)の行動変容を目指す。」

III. 方法

対象者

障害児(者)入所施設、生活介護、生活共同援助の職員16名
行動障害のある方への支援経験5年以上
支援計画立案や勤務調整ができる立場の人

期間

1年間で、30日間以上

(すごい!!これだけの日時を福祉事業所が捻出するのはたいへん。でも学校だと福祉事業所より簡単に捻出できるはず。1年間内地留学させることと比べたらどれだけ簡単か)

研修の内容

「受講者はあくまで支援チームの代表であり、受講者が所属する施設の利用者(モデル事例)に対して、研修で学んだことをチーム全体で実践することを課題としている。受講者には、支援に従事する全員が理解して、実践できる支援計画を立案し、一貫した支援を提供できるように、チームをマネジメントしていくことが求められる」

(すごくいい。ちゃんと現場で実践することが義務になっている点。これが無いと「ええ話聞いた」で終わってしまう)

「実践の最後には公開報告会を開催する」
(300人以上の参加申し込みがあるそう)

(これもいい。効果のあった実践を他の方から褒めてもらえれば継続へのすごいモチベーションになるし、見に来た方は「あっ、こんな方法があるのか。私もこの研修を受けてみたい」、と思ってもらえるだろうし)

様々な図や表
※クリックすると大きく鮮明になります。


図3 研修の構成
研修の構成.png

図4 モデル事例検討の構成
モデル事例検討の構成.png

表1 受講者とモデル事例検討対象者について研修前後に測定した尺度
研修前後の測定尺度.png

表2 支援に関する受講者の自己評価アンケート
支援に関する自己評価アンケート.png

(これを見ると、「私はできるようになった」と自己評価が5点満点で約1上がっていることがわかります。)

基礎統計量
平均  実施前 2.78 実施後 3.73
中央値 実施前 2.8  実施後 3.7
最小値 実施前 2.4  実施後 3.4
最大値 実施前 3.2   実施後 4.0

t検定結果 p値 = 6.843e-08


表3 事前事後の評価
事前事後の評価.png
(このグラフの「C実施した項目数」を見れば、今までどうやっていいかわからなかった部分に「こうやったらいいのかな」と介入できた部分が増えたことがわかります。「D行動関連項目」では問題となる項目が減り「E行動障害の評価尺度」では頻度も重症度も下がったことが見てとれます)


 最後の表ですが、こういうの本当に変化があったのかT検定をするのかもしれませんが、「そんなんせんでも見たらわかるやん」と思ってしまうのはダメなんだろうか・・・

 と言いつつ、「対応のあるt検定」を R を使ってやってみました。
 ってかエクセルで csv ファイルを作って、R に入力しただけですが・・・

「C実施した項目数」
基礎統計量
平均  実施前 10.94 実施後 13.25
中央値 実施前 12   実施後 13
最小値 実施前 1   実施後 8
最大値 実施前 18   実施後 18

t検定結果
自由度 = 15 (これは n = 16 だから1引いて15になる)
p値 = 7.882e-05

 これでわかるのは「実施前より実施後に介入できるようになった項目が多くなったのは、偶然でなく明らかに違いがあるよね」ってことですね。
 e-05 っていうのは、7.882 の10の5乗分小さい、つまり小数点を5個左にずらす(0.00007882)ということで、5%でもなく1%でもなく、もっともっと小さいので確からしさがアップしてるってことでいいのかな?

 ふ〜〜、後は明日以降。

「D行動関連項目」問題となる行動の項目がどれだけあったか
基礎統計量
平均  実施前 10.94 実施後 8.31
中央値 実施前 12   実施後 8.5
最小値 実施前 1   実施後 2
最大値 実施前 18   実施後 15

t検定結果
自由度15
p値 = 0.01949


 最小値は上がってるが、他はきれいに下がってる。(最小値については、今まで見えていなかった部分が見えだした、ってことでは?)
 T検定の結果は約 2% 。ってことは 5% よりは小さい。

「E行動障害の評価尺度」のうち 頻度について
基礎統計量
平均  実施前 47.44 実施後 33.88
中央値 実施前 48.0  実施後 31.5
最小値 実施前 7   実施後 9
最大値 実施前 96  実施後 71

t検定結果
自由度15
p値 = 0.001552

これも、平均、中央値、最大値は大きく下がっている。
P値は約 0.2% 。ということは1% よりも小さいから、「違いは偶然ではない」となるよね。

「E行動障害の評価尺度」のうち 重症度 について
基礎統計量
平均  実施前 31.81 実施後 21.81
中央値 実施前 29   実施後 22
最小値 実施前 5   実施後 4
最大値 実施前 63   実施後 39

t検定結果
自由度 15
p値 = 0.003336

 基礎統計量、最小値以外は大きく下がっている。
 t検定のp値は、約0.3% でこれもまた小さい。「違いは偶然ではない」





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2021年11月14日

「発達障害に対するペアレント・トレーニングの実際と課題」読書メモ


「発達障害に対するペアレント・トレーニングの実際と課題」
 井上雅彦(2017)『発達障害研究』39:87-91

II. ペアレント・トレーニングの発展(2つの流れ)

1. ASD に対するペアレント・トレーニング
子どもの新しいスキル獲得
単一事例実験による評価

2. DBD(disruptive behavior disorder : 破壊的行動障害)に対するペアレント・トレーニング ADHDに対するPTへとつながっている
問題行動の改善
親のストレス低減などを評価

日本では、明確に分けず、子どもの診断名は多種多様で混在していることが多い


IV. ペアレント・トレーニングの実際と展開

1. 幼児期のプログラム

井上ら(2008)「子育てが楽しくなる5つの魔法」
「ほめ上手」(強化方法)
「整え上手」(視覚化と構造化)
「伝え上手」(指示の出し方)
「観察上手」(行動の見方と問題行動への対応)
「教え上手」(課題分析と家庭での指導方法)

 親が家庭で実施するプログラムは、親自身が自分の子どもに合わせて課題を選択する。

 参加者は、事前にプログラムの目的、内容、費用、回数などについて十分な説明と同意を得たうえで決定される。グループで行うため重篤に精神疾患などがなく、グループで話し合うことができる状態であることを基準にしている。PTよりも個別面接が適している場合はそちらを紹介する。

2. 思春期のプログラム
 コミュニケーションの悪循環からの、親の抑うつの改善や関わり方の変容、子どもの問題行動の改善

3. ニーズに特化したプログラム
兄弟関係について

4. 地域への展開

V. まとめ

一定の質を担保していく工夫

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「自閉症スペクトラム障害児への介入研究の動向」前半読書メモ

 ※知らない言葉がいっぱい出てくる・・・・

「自閉症スペクトラム障害児への介入研究の動向」前半
 井澤信三(2016)『発達障害研究』38:14-19

I. ASD 児への指導・支援アプローチの変遷の概要

1. 精神分析的アプローチ
初期 成果なし(kingstone注・ってか害悪だったのでは)
現在 「子どもに発達促進的な関係性を提供すること」
 「子どもと話し合うことで自己理解を支援していくこと」
(kingstone注・これ、精神分析的アプローチではなく、来談者中心療法的アプローチでは?)

2. 行動的介入(応用行動分析・行動療法)
早期高密度行動介入(EIBI) Lovaas(1987)親参加の重視
現代型ABA 「社会的文脈」「自然・日常性」「機能」の重視
   PRT(Pivotal Response Treatment)

3. TEACCH
最大の特徴 「時間と空間の構造化」(物理的構造化・ワークシステム・スケジュール)
それを地域や生活の場に組み込む

4. 社会性を促す発達論的アプローチ
SCERTS モデル(SC: Social Communication, ER: Emotional Regulation, TS: Transactional Support)
DIR治療プログラム(Developmental, Individual-difference, Relationship-based model)
RDI対人関係指導法(Relationship Development Intervention)

「対人相互作用を基盤としたコミュニケーション」
「自発性・能動性」
「自己の緊張・情動調整」
 の重視


最近の展開

(a)社会的コミュニケーションの重視(自発性、社会的文脈、自然文脈、般化・維持の重視、他者との相互作用・共感性、仲間の活用など)
(b)構造化
(c)包括性
(d)行動問題への対応
(e)保護者スタッフとの協働と支援

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2021年09月12日

令和2年度大阪府特別支援学級在籍者数と比率



大阪府の


から

総括表

24学級編制方式別生徒数・外国人生徒数・帰国生徒数

をダウンロードして、中学校の特別支援学級在籍者の人数と、全体の人数を出し、比率を出してみました。

 総括表から、中学生総数は 220342人。

 24学級編制方式別生徒数・外国人生徒数・帰国生徒数から各種別特別支援学級在籍数がわかります。

 最初題名だけ見ていたら、ここに種類別特別支援学級在籍者数が出てるとわからなくて、いろいろデータをダウンロードしてしまった(汗)

 なお、このデータ、市町村別にわかるようになっています。

 他の県もこうなってたらいいのにな。

 結果
 ※表はクリックすると大きくなります。
令和2年度大阪府特別支援学級在籍者数と比率.png

 ちょっとびっくりしました。
 大阪府方面(?)は昔から「みんな通常学級へ」という考え方が強いと聞いていたので、在籍者比率は少ないのじゃないか、と思っていたのです。

 ところが、特別支援学級各種合計でみると

大阪府 4.35%
兵庫県 1.88%
全国  2.61%

 圧倒的じゃないですか。
 思い込みではなく、調べてみるものですね。

追記
 実は、このエントリに書きかけて、躊躇して書かなかったことがあります。
 「在籍者数が多い」→「特別支援教育担当教師が多い」ということは確かなのですが、特別支援学級で学ぶことは少ない場合がある、ということです。
 上で私はこう書きました。
「大阪府方面(?)は昔から『みんな通常学級へ』という考え方が強いと聞いていた」
 それで、たくさん特別支援学級の教師がいることにして、その人手を原学級(親学級(通常学級))での交流の指導というか、場合によってはずっと現学級にいさせる(本人は出て行こうとしたりする)ための人手として使っている。場合によってはその教師が単にいさせるための重石として使われてたり・・・
 これは小学校の場合ですが、ある有名な映画の中で、自閉症のお子さんでたぶん授業がわからなく、その場にいる意味もわからなく、教室から出ていくお子さんを教師が連れ戻している姿がありました。

 私も現場主義の人間なので、あるお子さんに関してはそれがいい場合もあるかもしれないし、現場管理職の苦肉の策としてどうしても人手が必要な場合、ありなのかもしれない、と思わぬでもありません。
 そして親御さんの中には「みんなと同じ場に居させてくれた。ありがたい」と感謝する方もおられるかもしれません。

 しかし、お子さんによっては本来「わかってできること」がもっと増やせ、機能的なコミュニケーションを増やすことができ、卒業後の自立的な判断や意思表示ができるようになるはずで、また交流も、そのお子さんが主役になれるいい状態の(しかし短い時間だったりする)姿を周囲の人たちに印象づけられる、そういう機会を奪われていないか、検討する必要があると思います。

(これまた、問題として、しかし特別支援学級での学習の時間を作っても、そんな勉強させてもらえない、ということもあるのが現実だ、というのはよくわかりつつ)


再々掲(全国)
令和2年度種類別特別支援学級在籍者の割合.png


再掲(兵庫県)
令和2年度兵庫県種類別特別支援学級在籍者数と比率.png










posted by kingstone at 17:18| Comment(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

令和2年度兵庫県の特別支援学級在籍者数と比率



兵庫県の令和2年度学校基本調査結果のページから

学校調査総括表

13.種類別特別支援学級の児童生徒数

をダウンロードし、中学校の特別支援学級在籍者の人数と、全体の人数を出し、比率を出してみました。

なお、政令指定都市である神戸市の数字は除外されているのかな?と思っていたらちゃんと入ってました。
※表はクリックすると大きくなります。

令和2年度兵庫県種類別特別支援学級在籍者数と比率.png

 特別支援学級在籍者の比率は合計で 1.88%。

 あれ?昨日出した、全国平均は 2.61%。

 わっ、兵庫県、少ないなあ・・・

 もちろん「少ない」→「悪い」わけではないです。
 通常学級でよき指導がされていて、特別支援学級に在籍する必要がないなら全然構わないわけです。

 また「多い」→「良い」でもないですよね。

 特別支援学級でひとりひとりに合った良き指導ができている、ということがあって初めて「多い」→「良い」になるわけで。

 さて、どうなんだろう。

再掲 全国平均
令和2年度種類別特別支援学級在籍者の割合.png





posted by kingstone at 14:50| Comment(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする