私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2021年02月13日

万葉ポピュリズムを斬る 品田悦一著




 だいたい「〜を斬る」というたぐいのタイトルがついた本って、あまり面白かったためしはないのですが、この本は面白かったです。

 著者の主張は3つほどかな?

1.天皇から庶民までの歌が集められているというが庶民の歌は入っていない。

2.改元というが、もともと元号とされているものは年号と呼ばれていて(しかし元号と書いた例が古代に1例はある)、天皇1世代に1元号というのは、明治の旧皇室典範で初めて規定された。

3.2019年に「国書」と紹介されたが、国書とはある国の支配者から他国の支配者に送られる親書のことで、万葉集は国書ではない。
(でもなあ、国花(桜、法定ではない)、国鳥(キジ。1947年日本鳥学会において国鳥に選定した)のノリで言ってしまったのかな?)

4.国学の高まりで再評価され、明治維新で国民意識を高めるために称揚された。(それまではほぼ忘れらていた。つまり国民的歌集とかではない)


 たとえば Wikipedia 「万葉集」でもこう説明されています。

天皇貴族から下級官人防人(防人の歌)、大道芸人、農民、東国民謡(東歌)など、さまざまな身分人々が詠んだ歌が収められており

 これを「天皇から庶民まで」と表現されることが多く、私もそう習ってきたような気がします。

 でも、そんなことはなく、せいぜい地方豪族(あるいは有力者?)までである、と。

 これは納得できます。


伏廬(ふせいほ)の 曲廬(まげいほ)の内に 直土(ひたつち)に藁(わら)解き敷きて
 という庶民の家の情景が出てきますが、山上憶良は国司なんだから、このような家に住んでいたわけがない。

 やはり Wikipedia の貧窮問答歌のところに

近年までは貧者が更にそれよりも貧しい窮者にその窮乏を問うものであるというのが定説であったが、現在では貧者に対する問答の歌と解して役人が貧者を尋ねているという説が有力視されている

とありますが、そうやろなあ、と思います。

 で、私などは Wikipedia の記述を引っ張ってきてあれこれ書いてますが、品田さんは(当たり前ではあると思いますが)たくさんの元の文、たくさんの論文にあたられて、研究の結果として書いてはる。

 例えば「民謡」ではない、というのを証明しようとして日本の民謡を調べ上げ、関連書籍を図書館にこもって半月以上、朝から晩まで読んではったそう。

 ただ大伴旅人の歌は、藤原氏が権力を握っていくことへの反発がこめられている、というのはどうなのか?

 よしんば旅人にそういう思いがあったとしても、それがわかるように書いてしまうと、当時だと長屋王の変みたいに、冤罪で殺される可能性もあったし、もうただただ「いやあ、あなたには逆らいません。靴の裏でもお舐めします」という恭順の意を示すことしかできなかったのじゃないかなあ、とは思います。


 しかし、国民的歌集ではないとしても、「万葉集」はすごく魅力的な古い歌集だし、また読んでみたいな、と思わされました。



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2021年02月11日

Dr.イワケンの ねころんで読める 英語論文  岩田健太郎著




 もう最近は、Twitter の英文とかも、読む気力無く「翻訳」ボタンを押して日本語を読んでしまいます。

 ワーキングメモリもすり減ってるのか、いったん単語の意味を頭に残しておいて、続く文を読んで全体の意味を理解するなんてえのも、からっきしできなくなってしまいました。(もともと大学入試以降、つまり50年近く、まともに英語を読んだことが無かった・・・)

 新年度から社会人枠で大学院で学ばせてもらうので、やっぱ英語論文も読まないといけないのかな、と思い買ってみました。

 論文の構造や、頻出語句、慣用句などの説明があり、どうやって手を抜きつつ必要な情報を得るか、ということがよくわかります。

 途中にも頻出語句、慣用句、いろいろ出てきますが、巻末にまとめられた頻出語彙のリストがあります。ところが、字が小さくて読めない(泣)

 ワードで打ち直して印刷しようと思います。

 論文を読み慣れていない人はアブストラクトからまず読んでみる、という勧めに従って、ここ数日、アブストラクトだけ毎日読んでます。

 するとこの本に出てきた単語や慣用句がやはりいろいろ出てきます。

 でも医学論文と教育系論文では、アブストラクトの形式が少し違いそうですが。

 まあ、しかし、それ以前に私の英単語語彙力が壊滅的なので、とにかく読み続けて語彙を増やさないとなあ。

posted by kingstone at 22:24| Comment(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月02日

阿吽(あうん)第6巻 岡崎真里著




 最澄も空海も唐には着いています。

 空海は長安で学んでいますが、最澄は長安には行けません。

 当時の長安の地図が出てきたり、国際都市である様子がわかったり、すごい。

 字面だけ追っているとなかなかわからないものも、こうやって目に見せて頂けると印象に残ります。

(もちろん、いろいろな資料を見た上での岡崎真里さんの想像ではあるのでしょうが)





posted by kingstone at 23:23| Comment(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月27日

新型コロナからいのちを守れ! 西浦博 聞き手 川端裕人




前書きの部分にこう書かれています。

 しかし、第一波の流行を走り抜く中で、いくつかの大切なことに気付かされました。

1.自らの研究者としての実力は確かであり、それを役立てられること。

 マニアックな研究者として、私は実力第一であることを最も重要視していて、普通よりもストイックな傾向があります。さまざまな有形無形のことを言われる中ではありましたが、きちんと分析 して能力を発揮することを第一の目標に据えてきました。

 こうありたいですよね、プロであれば。
 
2.人間として誠実であること。

 社会が注目する事態で露出をすると、往々にして化けの皮が剥がされます。私が裸にされるのは 仕方のないことです。本書で記すように、純理系バカであるがゆえに、さまざまな点でコミュニケ ーション問題に行き当たりました。しかし、失敗を重ねながらも、人間として本質的に誠実であることを忘れずに行動するようにしました。
 
 本当に誠実であること、(嘘をつかない、同じことですが捏造しない、とか)めちゃくちゃ大事だな、と思います。

3.家族とお世話になっている知人に支えられていること。

 流行を通じて、妻と子どもがこんなにも愛おしい大切な存在であると、改めて強く認識させられました。妻から毎週段ボールで届く洗濯物と子どもたちからのエールの手紙があったから、延々と続くホテル暮らしを切り抜けられたのです。また、数理モデルや感染症研究の同僚や先輩、中学から大学までの友人は、有言無言のエールを送り続けてくれました。近しい方々に支えられて今の自分があるのだな、と実感しました。

 これもよくわかります。

 家族・・・これは利害関係はありますが、無条件で味方になってくれる(もちろん西浦先生の場合は、無条件ということではなく、その姿勢、研究の実力といったものに、深い信頼があってのことでしょうが)。
 (まあ、もちろん、そんな家族ばかりでないことも承知はしています。つらいけど)

 中学から大学までの友人。利害関係なく、とにかく味方になってくれる。

 同僚や先輩。同じような学問のバックグラウンドがあった上で、認め、信頼し、味方になってくれる人たち。

 そういった味方がいないとつらいですよね。


 西浦先生は、1月の段階で香港大学時代の同僚たちの動きから「来るぞ」と直感し、自主的に論文調査などを始められています。

 で東京に呼ばれるわけですが、まずはダイヤモンド・プリンセス号の下船オペレーションに取り組んでおられます。

 その最中、2月18日に岩田健太郎先生の告発があり、西浦先生は「残念」と書いておられますが、私はあれも必要であったのではないかな、と思います。

 それをきっかけに、政府の現場責任者であった橋本岳厚生労働副大臣が、反論のために発表した写真(現在は削除されている)が、岩田先生の言説を強力に支持する結果になりました。

「未曾有の事態だった」、クルーズ船対応の橋本副大臣が会見

 変な話、2009年のドラマ「JIN ー 仁」でコレラ発生の時に描かれていたゾーニングすらできていなかったのではないか、と思われましたから。(龍馬さんは仁先生が縄で区切ったレッドゾーンから出て行く時に、仁先生の指示で服を脱いで行きました)

 この事件が無かったら、後の報告でも「厚生労働省はよく頑張って(頑張られたことは事実)なんとかうまくいきました」で終わっていたと思います。

 このあたり、私の勤務していた養護学校(特別支援学校)で体育祭や文化祭の後の「反省会」において「いろいろたいへんだったけど(何人かのお子さんは非常な苦しみの中に居続けさせられたりする)、我々も頑張り(頑張ったのは事実。ただし適切な対処を考えてはいない)うまくいった(何人かのお子さんの苦しみは無視される)」ということで終わり、何も改善されていかなかったということを思い出します。

 「頑張った」ことは認めてあげないといけないけれど、「頑張りの方向が間違っていた」ことに関しては、少なくとも記録に残し、次の事態への改善につなげないといけませんもんね。

 この事件のおかげで、各現場の責任者さんたちも、より意識することができるようになったのじゃないかな。




 調査のために使える形になったデータが無く、西浦先生たちがいろいろなデータを持ってきて、それを使えるようにまず整形する必要があったことが繰り返し出てきます。

 この新型コロナの大惨事があって、今後日本の中で統一された、研究に利用されやすいデータ記録法が統一されるだろうか?

 また、そのデータも公開されていて、誰でもが使えるようになっていたらいいのですが。

 これは教育分野も同じで、中室牧子先生も政策に反映させるような研究をしようとしても、データが無いというのを嘆かれていたと思います。


 4月15日に「何も対策をしなければ死者40万人」という話をされます。実際には西浦先生は40万人とは言われていないそうです。実際は「対策を全くとらなければ、国内で約85万人が重症化し、その半分が死亡する恐れがある」とおっしゃったとか。

 これは厚労省からも「死者数は言わないで下さい」とクギをさされていたこともあったからでしょう。

 で、これについて「データを出していない。データを独り占めしているのでは」「コードも出していない」と計算のできる方たちから大きな批判を浴びることになります。しかしこれも、もともときれいなデータが無い、あちこちから公開の許可をまだもらえていないデータもある、などの理由があったとのこと。

 また実際の被害が少なくてすんだ後、西浦先生を非難する声が大きくなりました。

 これも私にはわけがわからない。
 西浦先生の発表もあり、みんなが気をつけたから、というのはすごく大きいと思いますから。

 なお、4月15日に至る準備をしている時、西浦先生はかなり気持ちが弱っておられたよう。
 そんな時に、尊敬するお医者様からの信頼しているよ、というメールを見て涙を流されたこともあるとのことです。

忘れてはいけない大事なこと(西浦先生について)

 しかし、西浦先生がすごいな、と思うのは、リアルタイムで Twitter での発言を見てみると、西浦先生を批判する立場の計算をも西浦先生は歓迎しておられたこと。これは大事なことかもしれない・・・


 
 基本的に西浦先生は意思決定支援(Risk Informed Decision)の立場で発表したいと思われていたけれど、厚生労働省は父権主義(Paternalism)であったということも書かれています。これは地方自治体との現実的なやりとりのために仕方がない面はあるのだけれど、科学とは齟齬を来すことがあると。

 う〜〜ん、でもなあ・・・どのような厳しい予測が出たとしても、そこに基づいて「じゃあ今何ができるか」をそれぞれの現場で考えるためには、情報を公開していくしかないと思うけどなあ。



 なお、この本は初版発行が12月10日ですから、そのかなり前の時点でのまとめになると思います。

 第2波(3波?)の途中まで、年明けのオーバーシュートはまだ先のことです。
 ひょっとしたら、西浦先生は予感(というか計算による推定)はしてはったかもしませんが(そういう記事もいくつか見たような気がします)

 また、いつになるかはわかりませんが、その後のことを教えて頂けるとありがたいな、と思います。


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2021年01月23日

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 若林正恭著




 オードリーの若林さんの旅行記。

 テレビによく出るようになってから「自分は何も知らない」と自覚して家庭教師(カフェで勉強することが多いのでカフェ教師のほうが適切かも、とご自分で書いておられますが)をお願いして勉強を始められたとか。

 いいなあ、そういうお金の使い方って。

 で、自分もその中に居ることは自覚しつつ「新自由主義」をおかしい、変だ、と感じひとり旅をすることにした、と。

 行ったのは

キューバ
モンゴル
アイスランド

 まあ、それらの地が「新自由主義」から自由になれているかどうかはよくわからないところもあるかもしれませんが。

 読んでると、トラブルに巻き込まれたりもしはるけど、風景がいきいきと目に浮かびます。

 しかし子どもの頃の思い出として、小学校6年生になると(若林さんも含め)放課後公園で遊ぶことをやめ塾に行くようになり、私学を受ける、というの、東京都心ではより強烈なんだろうな。

 もう50年以上前になりますが、私が中学1年生の時、仲の良かった友達が東京に引っ越しました。

 で、半年ほどたった時に神戸に遊びに来て一緒にボウリングに行ったのですが、彼の話題はひたすら

「勉強がたいへん。今の僕の成績では東大には行けない。一橋くらい。どうしよう」

みたいなことで、当時、私の友人で大学の話(高校についてでも)なんてしている人間はいなかったし、東京ってなにかすごいところなんだな、と印象に残っています。

 後書きは Creepy Nuts の DJ松永さん。

 若林さんのラジオのファンだったという松永さん。読んでると若林さんのラジオも、この本も若林さんの「自己開示」であり、それが若林さんの意図していなかったところで、多くの人を勇気づけているんだろうな。


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