私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2020年05月14日

猫を棄てる 父親について語る時 村上春樹著




 ご近所(でもないか・・・)で育った村上さん。

 子どもの頃には、今とはくらべものにならないくらい美しい海でよく遊び、当時の大人は子どもたちだけで泳ぎに行くのに何も言わなかった、というの、時代やなあ。

 お父様は、3回従軍し、結果的にほんの少しの運で生き残られた方。

 お父様の人生と戦争の関わりが大きな柱になっています。

 しかし、中国大陸で捕虜の処刑(ジュネーブ条約違反)には立ち会われておられる。
 (ご本人は「居た」だけなのか「手を下した」かは不明)

 お父様からの村上さんへの期待と、村上さんのそれへの反発、大人になってからもいろいろあられたとのことで、戦争のことはあまり聞けずじまいになられたとか。

 村上さんは、それでも資料を調べることで、少しお父様の人生を浮き彫りにされていかれます。

 でも本当に「普通の人」「いい人」が殺人に関わらないといけなくなるのが戦争だよなあ・・・

 表題のエピソードは、つらい話ではなかったです。(ほっ)



 ※エッセイだからか、「やれやれ」は出てきませんでした。

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2020年04月27日

アリ社会の仁義なき掟 市岡孝朗(もっと!京大変人講座より)





アリ社会の仁義なき掟 市岡孝朗

アリのほとんどは働きアリ。

働きアリはメス。

メスは精子と卵子からできる。

で、オスは卵子のみからできる!(つまりオスを産むのにオスはいらない!)


働かないように見える働きアリは居る。(よく、2割は働かない、と聞いてます)

しかし、重大な敵が現れた時、一斉に飛び出してきて戦う。

つまり戦闘要員。

なるほど。自衛隊(軍隊)みたいなもんか。確かに軍隊は平時は「訓練」だけしてるんだもんな。自衛隊は災害出動もあるけれど。

でも、何か別の仕事をしていたら、緊急の時に飛び出せないものな。

冗長性の問題でもある。

今回の新型コロナに対する医療者、医療資源でも、また普段の公務員(児童相談所とか)でも冗長性を無駄として省きに省いてきて、何か起こった時に機能不全に落ち入ってしまってるよなあ。













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2020年04月25日

「『できない』から『できるんだ』SUKIる学」富田直秀



「もっと!京大変人講座」 の中にあります。


 富田直秀先生は、工学の大学院生時代に医学部の女性を好きになり、結婚させて、と親御さんに会うと「医者以外はダメ」と言われて医学部に入り直した方。

 つまりご富田先生も奥様(う〜〜ん、これ以外の単語が浮かんでこない)も医師。

 ある時、奥様が「(後から考えれば)する必要のない検査」をしている最中に死にかけはります。医療事故ですね。

 しかし事前に説明を受けている時は二人とも納得していた、と。

 お二人とも医師で納得してんだから、素人が「する必要なし」なんて考えられないだろう。

 で、医療事故が起こった原因を振り返ってみたら「他人事」でやられたからだろう、と。

 そして安全で快適になること、またマニュアル化されることで、ものごとは「他人事」になりやすいのではないか、と。

 で、あれこれあれこれ考えていきはります。

「役にたつ」「役にたたない」
「できる」 「できない」
「できることとの戦い」
「見る私」 「見られる私」

・本当にやさしい人は自分をやさしいとは思っていない
・1人になりたいけど、さみしい
・知りたいけど、知りたくない
・安楽だと苦しくなる
・無視されるとつらいけど、同情されるともっとつらい

 なんて言うか・・・私の言葉で言うと「矛盾こそ人生さ」みたいな・・・

 なかなか面白かったです。

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2020年04月17日

韓国 行き過ぎた資本主義 金敬哲著





2019年11月20日 第一刷

「はじめに」では「パラサイト 半地下の家族」に言及されています。でもこの時点では、パルムドールは取ったことが出てきますが、オスカーはまだ取る前ですね。

 そして、中の事例でも半地下に住む方が出てきます。ひと月の収入が300万ウォン(27万円?)もあるのに!

 著者はソウル生まれ。淑明大学卒業。1993年に上智大学大学院に留学。その後、東京新聞ソウル支局記者を経て現在フリー。
 経済について書いてはるのだけど、教育についても大きなページを割いてはる。

 高校の制度、大学入試制度はどんどん変化している。
 一般の親御さんが詳しく知ることは難しく、コンサルタント業までできている。

学校外の教育について

1963 江南(カムナン)がソウルに編入される。
    当時農村地帯だったが、交通インフラが整備された。

1976 旧都心にあった名門高校を江南に集めた。
    裕福な家庭はこぞって江南に引っ越した。

1981〜1988 全斗煥「課外授業禁止(塾禁止)」
    ってことはすでに学校外の塾教育が盛んになっていたということ。

1990年代前半 総合入試塾(予備校)以外に補習塾が盛んに

1990年代後半 就職難で優秀な学生がそのまま塾講師になった
    この頃より大峙洞(テチドン)が私教育(塾)の頂点になっていく。

1997年がIMFショック。金泳三政権。


グローバル人材育成 英語を小3から正規授業に
私立では小1から
舌手術流行(英語の発音を良くするため)

1998 金大中政権。ITインフラの構築を進める。
    しかし経済政策はガチガチの新自由主義。
    IMFからの借金を3年で返すことはできたのだが・・・
    貧富の差拡大。

2000年代初頭 イン講(インガン)本格化。インターネット講義のこと。
現在大峙洞(テチドン)の築30年100m^2のマンションでも2年間の契約金(なんかむつかしい字が書いてるので、日本の概念とは少し違うかも)が相場が7億ウォン(約6400万円)

2000年、高級官僚に人事聴聞会(日本で言えば大臣の身体検査)が導入される。この中で大峙洞(テチドン)への偽装転入も大きな問題になる。
先行学習 学校のカリキュラムより先を習うこと。
ヒョン君の例 小5 塾鞄の中には
数学(中三用)・TOEFULの教科書3冊・ハリーポッターの原書
学校では寛大な先生の授業では寝る

2008 李明博政権は課外の英語熱をさまそうと公立で全ての授業を英語で行う「没入教育」を導入するが私教育がより盛んになった。

2013 朴槿恵政権は私立の小1〜2の没入教育を禁止。
    すると未認可のインターナショナルスクールの興盛。

(なんか「規制」するとすぐ「対策」が出てくる感じ)    
    
 
過度な教育ストレスのため子どものたtめのメンタルクリニックの興盛。
カウンセリング料は1時間あたり20万ウォン。

韓国の高校

韓国の高校の種類。

一般高校
受験なし。抽選で振り分け。

特目高校(特殊目的高校)
 英才高校
 科学高校
 外国語高校
 国際高校
 芸術高校
 体育高校
 マイスター高校
 etc

自律高(自律型高校)
 自私高(私立)
 自公校(公立)
教える内容に自律性のある高校
 
特性化高校
特定分野の技術をもった人材育成
職業訓練と実習が中心

入試は一般高校を除いて「自己主導学習選」を原則とする。
これは中学在学中の活動を総合的に評価する、というもの。
(ってことは、家庭の経済的な余裕に大きく左右されがちになるよな)

英才高校はペーパーテストもする。なお英才高校が憧れの的。
一般高校の平均授業料 年106万ウォン
有名自私高の授業料 最低年987万ウォン 最高年2000万ウォン


大学受験制度

「修能(大学修学能力試験)」日本だとセンター試験?

1993年以前 学力考査
    科目の多さと暗記に偏るとの批判

1994年から 修能導入
科目を減らし思考力を問う問題が増える
この結果、教科書を読んだだけでは解けず、課外授業により頼る。
長文を短時間で読んで理解するなど。
内申が良く、充実した学生生活を送った生徒は考慮されない。(って、これはいいことだと思うのだが・・・)

1997年から 盧武鉉政権が随時募集(校長推薦ということ)を開始。OA入試みたいなもんか。朴槿恵政権ではこれが70%を超えた。
「随時」の種類
 「学生簿教科選考」教科で
 「学生簿総合選考」総合的に
 「特技者選考」特定の分野に秀でた生徒のため
 「論述選考」論述のみ
(なんか、下3つはOA入試とか一芸入試とかと同じ感じ)

「学生簿総合選抜」対策として「人性授業」という課外授業が盛んに。
「カンニングしている友達を見つけたらどう行動するか」など日常生活で起こる状況にどう行動するかを教える。
(SSTやな・・・)
1時間10万ウォンから数十万ウォン

1昔前 ボランティアをするための海外ツアー
最近  自主サークルを作って活動したほうが評価が高くなった。
    すると、自主サークルの立ち上げ方を教え、かつ参加メンバーも揃えてくれる課外授業ができた。

金泳三 1993 - 1998 5.31教育改革

金大中 1998 - 2003 教員数大幅縮小
「水準別教育課程」(要するに成績別だよな)
これで「早期教育ブーム」が起こる。
BK21(ブレインコリア21)で国際競争力のある大学を作り出そうとして、ソウル大学を頂点とする大学の序列が決定的に。

盧武鉉 2003 - 2008 特目高の大幅拡大 課外教育費の大幅な伸び
大学入試制度改革 課外教育費の大幅な伸び
(どうやっても課外教育費が伸びる・・・)

李明博 2008 - 2013 「学校教育満足度を2倍に、課外教育費を半分に」
というスローガンを出した。高校多様化プロジェクトで高校の序列化が定着。
一般高校の地位が下がり、教育費は上がった。

朴槿恵 2013 - 2016 先行学習禁止法をまとめたが、毎年課外授業費は最高を更新。

文在寅 2017 - 教育政策の大きな変革を宣言しているがうまくいっていない。
受験生を持つ親は余計に疑心暗鬼になり、課外授業に頼る。
エデュプア 教育費にお金をかけて貧乏になること
学歴こそが競争社会を生き抜くために必要なもの、という考えになる。

文在寅は高校を平準化させようと主張しているが・・・

高官の曹国氏(先日失脚(?))の娘は医学部に進学するために、
・2週間インターンをしただけで医学誌に掲載された論文の筆頭著者となった
・国際鳥類学会で発表された論文の第三著者となった
・(高校生には参加資格がないはずの)国連のインターンシップに参加した

就職

就職も、たいへん。

大企業は少なく、そこに就職できる学生はすごく少ない。
大企業(従業員250人以上)の数
米 5543社
日 3576社
韓 701社
中小企業ははてしなくブラック。

そこで学生時代に学生は資格を取りまくる。(しんどい・・・)
それでも思うようなところに就職できない。

大企業でも若くてリストラされる。
公務員熱が高い
50歳くらいでリストラされチキン屋さんを開く人が多い。
しかし・・・

2014年から2018年までの平均
チキン屋さん新規開業 約6800店
チキン屋さん廃業   約8600店
(廃業が1800店も多いやないかい!)

またこういう小さい店を文在寅の「最低賃金(たぶん時給のこと)アップ政策」が直撃し、働けなくなった人が増えた。アルバイトをやとっていたのが雇えなくなった。
(確か日本円にして1500円とか聞いてたのだが、この本では10000ウォンと書いてる。それでも文在寅政権で30%上がったとのこと。ちなみに今日のレートだと1ウォンが約0.09円。この本が書かれたころはまたわからないけれど)


 何か、日本の行末を見ることができるよう。

 しかし、このコロナ禍の前に書かれている。
 このコロナ禍の後、どう変わっているだろうか?
 (なお、さっき見たニュースでは韓国では既に繁華街が賑わっていた。もう大丈夫なのか・・・)




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2020年04月11日

「いのちは大切」、そして「いのちは切なし」一ノ瀬正樹著



「いのちは大切」、そして「いのちは切なし」
ー放射能問題に潜む欺瞞をめぐる哲学的考察ー
一ノ瀬正樹著

東京大学哲学研究室『論集』33号(2014年度)に載せられたもの

 題名を見て、最終的に「心が洗われる」ような文を予想する気も少しありましたが、副題に「ー放射能問題に潜む欺瞞をめぐる哲学的考察ー」とあるとおり厳しい(?)文書です。

 いや「厳しい」というか中間姿勢を維持するというのか、「曖昧さに耐えて考え続ける」ことの大事さを伝えてはるというか。

 2014年度の論集に載っているので、2011年の東北大震災とその後の福島第一原子力発電所メルトダウンから3〜4年。

 直接の放射能による被害よりも、避難による震災関連死が多いというのがあきらかになり、またいつまでも福島が人の住めない土地であるように論じる人もまだまだたくさんいたり、「多くの土地は住むには問題ない」と発言する人には攻撃が集まったりしてた頃(いや、今でも少なくなったとはいえ、そういう方もおられるか)。

 で「いのちは大切」だから、少しでも被曝するところにはいてはいけない、と言って避難させようとする人がいるけれど、避難地で生活を形作ろうとすると、そりゃたいへん。

 じゃあ「元の土地に住み続けなさい」と他人が言うのもおかしい。

 そのあたりが、中間姿勢を維持し続けるみたいなところになるかな。

 そして考えるべきは「優先順位」であり、「科学的データ」であり、また「(少しでも危険だからそれを回避する)予防原則」ではなく、「どの程度危険なのか」を考え、そして当事者がより「幸せな人生」を送れるように、他人は脂汗を流しながら考え続け、行動すること、となるのかな。

相馬中央病院内科診療部長越智小枝さんの言葉
「放射能以上に恐ろしいのは、実はまき散らされている『善意』なのではないでしょうか」

サミュエル・ジョンソン
「地獄への道は善意で敷き詰められている」
The road to hell is paved with good intentions.

正しく恐れることの難しさ
・恐怖心が却って「死」を導く導因となる場合
・恐怖心を持って対処しないといけないのにそれをしなくて「死」を導く導因となる場合

「いのち」と比較して「たかが電気」「たかが経済」という言説の欺瞞性

避難後の高齢者死亡率は、震災前に比べて、少なくとも2.7倍

福島県 2014年2月現在

津波の死者 1607人
震災関連死者1656人
震災関連死者 > 津波の死者

「もし原発事故が発生しなかったら」というのは詮なきこと。

双葉病院の悲劇
 宮城・岩沼の赤井江マリンホームは海岸から250メートル、津波に襲われたが、49人の寝たきり老人は全員無事だった。皮肉にも、「避難計画にしばられなかった」ためだった。
 マリンホームの避難計画では、避難先は15キロ離れた介護施設になっていた。車イス用の車 にマットレスを敷いて、2、3人 づつピストン輸送するしかない。ラジオの津波警報では猶予は1時間だった。そこで移動先を1.5キロ離れた仙台空港にした。40分で49人全員を搬送し終わった。津波が来たのはその20分後だった。「自分たちで守ることだと気づかされた」とマリンホームのスタッフは言う。

大きな事故などが起こるとそれに注目してしまい、他の危険性を忘れ去ってしまう
リスク=有害事象の生起確立×有害性の度合い
間違い:リスクがあるかないか(1か0か)
正しい:「どのくらい」リスクがあるか。(量的、確率的語り)
確率は事後的に1か0になる

ある時点での判断の妥当性
「A.古くてカビカビの食べ物」と「B.店で買ってきたばかりの食べ物」があった時、
Bを食べることにした。
お腹を壊してしまった。
しかし、「Bを食べる」という判断は妥当。

環境の中の自然な、あるいは建築物などの放射線量と福島の街との比較

琵琶湖周辺から若狭湾にかけての花崗岩地帯。最も線量の高い地域だと年間0.7ミリシーベルト。
イランのラムサール
ブラジルのガラパリ
インドのケララ州
いずれも年間10ミリシーベルトを超える
どの場所でも放射線の影響による健康被害は報告されていない

日本の国会議事堂(総花崗岩作り) 近くで毎時0.29マイクロシーベルト(年間だと?)
2015年4月の時点
福島県郡山市郡山合同庁舎東側駐車場 毎時0.12マイクロシーベルト
南相馬市南相馬合同庁舎駐車場    毎時0.09マイクロシーベルト
CT1スキャン 1回7ミリシーベルト

大阪大学では腹部で2.6mGy
"ガンマ線が全身に均等にあたった場合には、シーベルトの値はグレイの値に等しくなります。例えば1グレイのガンマ線を全身に受けた場合、1シーベルトとなります。
1シーベルトの被ばくで、ガンで死ぬリスクが1000人に55人の割合で増加する(約5%リスクが増加する)という報告があります。しかし、同じシーベルトの値でも高線量率放射線による短時間被ばくと低線量率放射線による長期間被ばくでは健康影響が異なること、特に100ミリシーベルト以下の低線量被ばくでは健康影響は認められないという報告もあり、低線量率・低線量放射線に関する生物影響研究が現在でも進められています。"

私は10年は年2回CT検査をしてる。
すると 2.6 × 20 = 52 で52ミリシーベルト
1回7mシーベルトで考えると、140ミリシーベルトか。
たぶん、一生でいうと、自然被曝以外に1シーベルトは医療用で浴びてるだろうな。


相馬中央病院内科診療部長越智小枝さんの書いた記事




posted by kingstone at 23:28| Comment(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする