私の関わりのある法人
ksbutton.png omemebuttan.png sowerbuttan.png
※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2017年10月11日

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 磯田道史著





「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 磯田道史著

 だいたい司馬遼太郎さんを称揚すると歴史を勉強している人からは苦笑されたりすることがあるみたい。

 また先日、私のTLでも

歴史を学ぼうと思ったら
「司馬おじさんの言うことを信じてはいけない。
 本居おじさんの言うことを信じてはいけない」

みたいなツィートが流れてきました。

 言わんとされてることはわかります。なんと言うか、もちろん史料も読んではるけど、小説だから自分の想像で書いてる部分が大きいのだから、みたいなことだと思うのですが。論文じゃないのだし・・・

 磯田さんは始めの方で

 司馬さんは、ただの歴史小説家ではありません。
「歴史をつくる歴史家」でした。

 と書いてはります。
 これ、めっちゃわかる。
 その他の「歴史をつくる歴史家」としてあげてはるのは

小島法師「太平記」(これで楠木正成が一躍スターダムにのしあがった)
頼山陽「日本外史」(尊皇攘夷の気運を盛り上がらせた)
徳富蘇峰「近世日本国民史」(国民国家日本の成り立ちを認識させた)

で、これらに続くのが司馬さんであると。

 実際、私、高校の時、日本史が面白くなくて10段階中の1をとりました。要するにまったく勉強する気も起こらなかった。で、受験のさいにも勉強しなくちゃなんない、けどする気にならない、ということで困っている時に「花神」とか「龍馬が行く」とか読み出して、そこで面白くなってどんどん勉強するようになったもんな。

 そういう「面白さ」がある。
 で、近所に住む親戚のおじさんとかで、こんなふうに日本史を語ってくれる人がいたらいいのになあ、と思ってました。

 で、当然史実と違うことも書いてあるのはまあ仕方が無いんじゃないかと・・・


 それから磯田さんが注意喚起しているところで面白いのは、主人公は旧来の日本人の平均的な姿から外れた人が多いし、それが人気のひとつの原因だけれど、

 ここで注意していただきたいのは、それを読んでいる大多数の人が、多分に家康のような権力体を生み出す一般的な日本人だということです。従来の権力ともしなやかに折り合うためには、時に我慢も必要です。だからこそ、信長や龍馬のような日本人離れした存在に痛快さを見出すのです。

 このあたりもよくわかる気がする。


 あと、日本が進路を間違える大きなきっかけとして、日比谷焼き打ち事件を上げてはります。

 日露戦争は「ぎりぎりの勝利」であり、小村寿太郎はその中でできる限りの講和条件を引き出したが、そのあたりの「本当のところ」は国民に伝えるわけにはいかない。伝えればロシアに足下を見られ、値切られてしまうから。そのため「俺たちゃ大勝利したのだからもっと利益を寄こせ」と国民が暴走したのが日比谷焼き打ち事件であったと。

 また軍備も縮小すべきであったのに、維持し、軍が大きな力を持ち仮想敵国としてアメリカまでを想定するようになった、と。


 なんか「日本が一番」「日本が正統」みたいなテレビ番組の多さと、人種的なヘイトスピーチがネットで平気で出されてくること、とかを考えると、気をつけないとな、という気分になります。

posted by kingstone at 23:39| Comment(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月01日

ロッキング・オンの時代 橘川幸夫著




ロッキング・オンの時代 橘川幸夫著

 1972年の創刊から深く関わっていた橘川幸夫さんの書かれたもの。

 お父さんが印刷屋さんをされてて、初期はそちらで印刷していたと。

 初めて会う渋谷は、きさくな男であった。新宿の落合に住んでいて、同じ新宿区の住人である。渋谷は浪人生であり、僕は大学生であった。新しい雑誌をやりたい、という意欲を渋谷は語った。僕の親父が高田馬場の小滝橋で小さな印刷屋をやっているので協力してもらえるかもしれない、というと、渋谷のギョロッとした目が一層輝いた。渋谷は、盛んに、市販の雑誌に負けないものを作ろうと力説するのだが、それは、どのようにやれば良いのか全く想像もつかなかった。なにしろ当時の学生は、世の中の常識やルールなどをまるで知らない子どもたちであったのである。今の大学生であれば、世の中の仕組みやルールはある程度は分かっているだろう。しかし、この時代においては、世の中とは「向こう側」の世界であり、子どもたちの世界と、向こう側の大人の世界は、はっきり違う世界であった。

 これ、私も感じるなあ・・・
「この頃の若い者はダメだ」ってんじゃなく、本当にいろんなことをよく知っている、と思う。まあだから「馬鹿できない」というところはあるのかもしれないけど。


 また橘川さんご自身が写植を学び、写真写植をやってたそうですが・・・
 一文字一文字写真に撮るという気の遠くなるような作業だったんですね。
 それでも活版印刷に比べれば場所も時間も人手も大幅にコストダウンできる技術だったんだろうな。




 しかし、橘川さんも書かれてるけど、ほんと「著作権ってなに?それおいしいの?」みたいな感じで訳詞とかばんばん載せられてたわけで・・・今の中国みたいな状況だったんだろうな。

 そうしたロックもやがて体制化する。当たり前の文化として社会に認知される。でも、本当のロックとは、そうした体制化の流れに対しても、そこから更にはみ出していくことではないのか、と思った。ロックは音楽からはみ出すべきだ、と思った。音楽という狭い業界だけで解決出来ることは何もない。豆腐屋は豆腐を作ることでロックが出来るはずだし、教師は授業をすることでロックが出来るはずだ。むしろ生活全体でそうした新しいロック・ミュージシャンが生まれる社会でなければ、僕たちの欠落感は永遠に解消しないと思った。70年代の後半から、僕は、ロッキング・オンに音楽のことはほとんど書いていない。

 「止まってしまわない。常に動き、揺れ続ける」なんて言葉が浮かぶし、「典座教訓」を思い出すところもあるな。

 あと、NHKの「ドキュメント72時間」でちょうど「カニ坂ロックフェスティバル」のことをやってました。






posted by kingstone at 20:40| Comment(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月12日

最後の秘境 東京藝大  二宮敦人著





 いやあ、すごいは。

 ここの場合「どこ行ったらいいかわからないから適当に学校・学部を選んで入った」っていう学生はめちゃ少ないだろうな。

 そして、「自分がやりたいこと、表現したいことは何か」を徹底的に追求していく、と。
 もちろんそれが見つからずに挫折していく人もいるけど、学部時代はそれは少数派みたい。

 しかしまあ、現実は

「アーティストとしてやっていけるのは、ほんの人握り、いや一つまみだよね」

だし、

 平成27年度の進路状況には、卒業生486名のうち「進路未定・他」が225名とある。

 ってことで、また就職活動への支援はまったく無いそう。(この本の取材があった2016年2月時点)

 あと、音校(音楽の様々な専攻)は「みんながライバル」という傾向があるし、美校(美術の様々な専攻)は、もちろん「一人の作品」を作る場合が多いけど「みんなでやろうぜ」みたいな雰囲気とかいうのも面白い。服装も音校は割とカッチリしてて、美校はカジュアルを超えてグダグダみたいな感じで、格好を見ればどちらかわかる、というのもなんか納得。

 なお、この方は学生。(ただし、今も学生してるかはわからない)



 東京藝大の大学祭 藝祭










posted by kingstone at 17:18| Comment(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月23日

バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎著




バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎著

 サバクトビバッタを研究している前野さんが2011年4月からモーリタニアに研究に行かれた時のあれこれを書かれたもの。

 子どもの頃からの「昆虫学者になりたい」という夢。
 その実現の難しさをどう乗り越えたのか。
 フィールドでの研究とは。
 研究の面白さ、次々と難題がふりかかる苦労。
 現地でサポートしてくれる人を雇ったり、関わったりする時の苦労。
 モーリタニアの文化。

 などがたいへん面白く書かれていました。
 基本的に大人向けの書き方になってますが、子ども向けに書き直したら「課題図書」になると思います。

 で、今、「研究」というと実験室のものが多く、フィールドワークが少なくなってきてるんですってね。それだけにフィールドに出ると論文にできるテーマがどんどん見つかる、というのも面白いな。


 で、モーリタニアという国についてはほとんど知りませんでしたが、


を読むと、わあ、クーデターも結構頻繁じゃないですか。ここに書かれている一番最近は、2008年。


 またWikipediaにも、この「バッタを倒しに・・・」でも語られている「ガヴァージュ」(女の子に無理矢理食べさせて太らせる。太った女性が魅力的である、という文化があるため)という風習についての説明もあります。

 これ「どんどん食べや」ってだけでなく、食べなかったら
「太ももを木製ピンセットでつねる」
「指の間に鉛筆くらいの棒を挟ませて指をぎゅっと握る」
というおしおきつき、はやい話が虐待もこみになってる風習で・・・
まあでも若い人はしなくなってきた、というのが希望が持てるか。






posted by kingstone at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月03日

就活での脱面接



AERA '17.7.10号の

「面接はやめました」

という記事が面白かった。

 ビースタイル社は3年前に面接を廃止。
 大手ナビサイトへの掲載もやめた。
 今年は社員二人以上に、学生がインタビューし(逆じゃないよ)その内容を元に同社の魅力をまとめる。最終選考までは次のプロセスに進むのを決めるのは学生。

 なるほど。
 で「お祈りメール」も送らないって。

 なぜそんなふうにしたかというと、面接でのコミュニケーション能力や個性をアピールしていた学生が、入社してみたらたいしたことがなかったというケースもある。またコミュ力があまり高くないというだけで、将来活躍してくれるであろう有能な人材を見落としてしまうリスクも大きい。



18分前

 キャリア解放区のアウトロー面接。


 ワークショップで採用したい会社の担当者は肩書き抜きで求職者の中に入っていき、話し合う。

 テーマは「愛」「欲」「信頼」など。

 その後、求職者は企業名を知る。最終的に採用が決定した場合のみ企業は成功報酬を払う。


 最初は不安定就労の若者を支援しようとして始めたのだが、今は彼らこそが職場にイノベーションやダイバーシティをもたらすのではないか、という可能性を感じ始めているとのこと。例えば・・・

○東京大学でデータ解析スキルを極めたものの、コミュ力に自信がなくて山にこもっていた男性。

○話し出すまでに4秒近くかかるために通常の面接では全敗していた女性。
「その女性は4秒待ちさえすれば内容のあることを話すし、毒を吐くユーモアもある。入社後は、体クライアントのコミュ力も上がってきているそうです」

 なるほどな。
 4秒時間が空いたら、普通の面接なら他の参加者がしゃべり出してしまうもんな・・・


 アメリカの産業・組織心理学の研究者、ブラッドフォード・スマート博士の著書「Topgrading」の中での指摘。

変わりやすい特性

・リスクをいとわない姿勢
・リーダーとしての姿勢
・仕事経験
・コミュニケーション能力
・第一印象
・顧客に対する姿勢
・コーチング能力


12分前

簡単ではないが変えられる特性


・判断能力

・戦略スキル

・主体性

・ストレスマネジメント

・傾聴力

・交渉スキル

・チームプレイ


変わりにくい特性


・知能

・創造力

・概念的能力

・誠実さ

・熱意

・情熱

・向上心

・粘り強さ


 う〜〜ん、ちょっと異論もあるかな・・・

 「変わりやすい」というのは確かにそうだと思うのだけど「変わりにくい」とされている「誠実さ」「熱意・情熱」「向上心」「粘り強さ」もその組織がどんな制度・しくみをつかっているかで容易に変わりうるのじゃないかなあ・・・



posted by kingstone at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする