※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2024年09月28日

映画「パリの小さなオーケストラ」




 パリ近郊(有名なスラム地域)に住むアルジェリアからの移民の子(双子の女性)が1人が指揮者になり、1人がチェロ奏者となり、地元でオーケストラを立ち上げ活躍している、という実話に基づいている。



ーーーーーーー ネタバレあり ーーーーーーーー



 ディヴェルティメントオーケストラ(Orchestre Divertimento)を作ったザイアとフェットゥマ姉妹の物語。

 オーケストラで演奏するメンバーの中にダウン症のチェリストらしき人も出てきた。


 そうかあ。

  私が『川を渡る』を読んだ時、アメリカだとキリスト教コミュニティがかなりたくさんあるみたいだけれど、日本にもキリスト教やその他の宗教のコミュニティはあってもすごく少ないよなあ、と思った。

 しかし音楽コミュニティや趣味のコミュニティなんかでもありゃいいんだなあ、いろんなのがいっぱいあればいいな。




 私が『川を渡る』について書いた記事。

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2024年05月15日

『未来を変えた島の学校』山内道雄・岩本悠・田中輝美著



 まとめた文をアップしようと思うといつまでたってもまとまらず、とりあえずできたところからアップしていきます。


 この島前高校の取り組み、有名ですけど、詳しくは知りませんでした。

 この本を読んでみて全貌がわかり、これって過疎地の高校というか学校だけでなく、多くの学校のヒントになるのではないか、と思いました。

 海士町の「ないものはない」というスローガンでの取り組みは以前から知っていましたが、海士町だけでなく、西ノ島町、知府村も巻き込んだ取り組みだったのですね。また私の誤解もはっきりしました。私、海士町って隠岐の島本島にあるのかと思っていたのですが、この3島は本島からさらに離れた離島だったのですね。


 隠岐の島本島は「島後(どうご)」と呼ばれ、中ノ島・西ノ島・知夫里島は「島前(どうぜん)」と呼ばれる。

 本書より。隠岐島前3町村の地図

島前の地図.jpg



 最近、睡眠覚醒のリズムが狂っているので、久々に精神科を受診し、待合室でこの本を読んでたら、「観光甲子園」のところで涙が溢れてとまらなくなり、これでは診断を間違えられる、とあわてて本を読むのをやめ、Twitter(X)のお笑い系のツイートを読むのに専念しました。おかげで涙は止まり、診察も問題なく受けることができました。


 さて、このブロジェクト、いわゆる「平成の大合併」で国が自治体の広域化、数を減らすことを意図しての政策をぐいぐい推し進めていたのに3町村の合意がとれず、2003年に隠岐島前任意合併協議会を解散するところから始まります。それぞれの町村に特徴・独自性があり、ひとつになんかまとまれるかい、ってなもんですね。

 しかし、それまで公共投資を積極的の行ってきた3町村はそのままいくと破綻寸前。

 そこで「自立促進プラン」が策定されるのだけど、その中に「高校の存続」という問題も含まれていた。

 当時の高校の問題。

 一番優秀な子は島根県の本土の進学校へ行く。(しかし仕送りたいへん。場合によっては家族ごと出て行く。その後帰って来ない場合も)

 真ん中あたりの子は隠岐本島(島後)の高校へ行く。(しかし仕送りたいへん。場合によっては家族ごと出て行く。その後帰って来ない場合も)

 成績が悪かったり、どこに行こうとかいう気のない子が残る。

 2008年度4月の時点で、島前出身で島前高校に入学する子は45%。55%は島外へ出ていく。
 そして生徒数が減れば、教師数を減らされ、例えば物理の先生はいなくなっていた。
 また島前高校の卒業生の95%は進学や就職で島外へ出ていき、そのうち、戻ってくるのは20〜30%。(つまり島民はどんどん減る)

 そういう危機的状況を何とか打開しないと、ということで誰もやる人がいなかったから海士町役場財政課課長の吉元操氏が行政側の中心になってやっていくことになる。

 吉元操氏は島前高校卒業後役場に入っていろいろやってきた方。

 こちらに詳しくお写真などあります。ただし、この記事に日付はないのですが、2018年以降の記事であり、吉元さんの肩書は副町長になっています。


 ただし、島前高校は県立であり、町とは独立しているから、町やその他との意思疎通がすごく難しかったと。

 当時の高校生がどんなだったかと言うと、2009年に生徒の学校外での学力向上を目指して豊田庄吾氏が来た時、高校生に

豊田「少年は?」
生徒「boy」
豊田「少女は?」
生徒「ナンシー」

生徒「分数の問題はわからないからとばします」

 というレベル(の生徒ばかりではないだろうけれど)であったと。

 で、2006年に都会から良い先生に出前授業に来てもらおう、という企画をして来てもらったのがソニーで人材育成をしていた岩本悠氏。この授業も高校には断られ、中学校でやっている。

 で、授業後の宴会で吉本さんたちが岩本さんを取り囲み「是非来てくれ」と。
 膝詰め談判をし、2007年から岩本さんが来てくれることになります。2007年から岩本さんは海士町に移住し、本格的に活動を始めます。ここにそれまでの経歴なども書かれています。まあよくあるコタツ記事ですが(って、私のもコタツ記事であることに変わりはないかも)



 しかし1年たってもなかなかなうまくいかない。反対される、というか動いてくれない、というか・・・

 そこで吉元さんがアドバイスしたのが、まあ都会の者としては「そういうとこやぞ」みたいなことなのですが、大事なんやろな。

岩本はときどき「ファシリテーション」やら「リノベーション」だの横文字をしゃべる。「カタカナ語はこの島では通じんけん」と戒めた。また岩本は、何かの会に参加するとき、その会の目的や意味、終了時間を聞く。「目的や意味は、はじまる前にわからなくても、終わったあとでわかるもんだわい」「会の開始は主催者が決めるが、終わりは、その"場"が決める」と諭した。その他にも「年配には、説明や説得ではなく、相談やお願いという姿勢で臨まんといけん」「非の打ち所がない話をするより、課題や困っていることを伝え、同情や応援をもらったほうが得」「すごい人と思われるより、いい人間だと思われることが大事」「効率性や生産性では測れないものがあるから、一見ムダと思うことを大事にせんといけん」「1人では弱い。最低3人」「トイレには神様がいるから常にきれいにせんといけん」「家に鬼が来るから、嫁には逆らってはいけん」など。島でいい仕事をするために大切なことを教えた。

 たぶん、多くのビジネス書、自己啓発本なんかには真逆のことが書いてあり、移住する人、出ていく人が一番嫌うことなのだろうけど、でも大切なんだろうな・・・

 ちなみに、岩本さんはこういうので考えていく方。

変革の8ステップ(ハーバードビジネススクール、ジョン・コッカー)
1.緊急性の明確化と危機感の醸成
2.強力な変革推進チームの結成
3.ビジョンの策定
4.ビジョンの伝達と共有
5.ビジョン現に向けた権限付与と支援
6.短期目標の設定と達成
7.成果の定着と更なる変革の促進
8.新たな行動様式を根付かせる

 そして、吉元さんのアドバイスもあり、それまで吸ってなかったタバコを買い、(タバコ休憩で話をするため)吸うようになった、と・・・
 たいへんや・・・

 2008年に西の島の小学校教師だった浜坂さんが、社会教育主事という肩書でプロジェクトに参加。しかし、これも「法的にはできる」ということで、日本で初めてのケースで、浜坂さん自身、どう動いていいかわからず困ったらしい。しかし岩本さんのがんばりを見ていて協力しなければ、と思ったらしい。なお、島前高校に机は置いてもらえたが、針の筵状態だったよう。

 で、この吉元・岩本・浜坂の3人が、それぞれの仕事が終わってから夜な夜な集まり作戦会議をしたもよう。

 そして2009年の4月に「第1回観光甲子園」の募集があり、「これだ!」と思ってとびつきます。

 で、生徒に「やってみよう」と声をかけたけれど、やって来たのはたった1人。しかも島外出身でもとの場所で不登校だったので、島前高校に来た生徒。

 あと、誰も来ないので、帰宅部の生徒3人を無理やり仲間に入れるも、やる気のない生徒たち。

 しかし、岩本さんとあと「海士町まるごと図書館プロジェクト」で来ていた花房さんという若い女性主導で最初動いていたが、だんだん生徒たちものせられて、主体的に動くようになり、ついに「甲子園」で優勝してしまう!!

 まるで漫画か映画じゃん。映画化希望。

 このあたりで涙が止まらなくなってしまったのね。


 あと、学力問題に対しては、2008年に出前授業に来てくれたカリスマ塾講師 豊田庄吾さんを、またまた談判して2009年からかな?来てもらうことに成功。

 なお、岩本さんは松江市在住になってるみたいだけど、現在までずっと関わり続けてはる。


豊田庄吾さんも昨年度まではずっと関わり続けてはったみたい。

2024年から三次市教育委員会に出て、かつ兵庫教育大で学んでおられるけど。

 結局、ちょっと来て、役に立たないアドバイスをして去っていくコンサルとは違うんですよね。本当に変えていく人は。

 またまた有名な紫波町の改革でも、相談を受けたぐっちーさんは、紫波町に家を買って住んじゃったものな。




 なお、みなさんへのインタビュー 2020年12月23日のものが、こちらにあります。
 吉元さんは副町長になっておられます。




巻末にあった略年表を OCR にかけたもの

主な出来事
西暦:和暦(年度)
1955(昭和30年)島前高校の前身である隠岐高校島前分校開校
1958(昭和33年)法律改正を実現し全国で始めて全日制の分校となる
1965(昭和40年)島根県立隠岐島前高等学校として独立(全学年2学級)
2003(平成15年)三町村による隠岐島前任意合併協議会解散
自立促進プランで人口対策における高校の重要性が提起される
2006(平成18年)生徒数の減少により1年生が1クラスへ学級減
外部講師や学生を招いての「出前授業」を開始
2007(平成19年)県立高校の再編・統廃合に関する答申が発表される
隠岐島前高等学校の魅力化と永遠の発展の会発足
2008(平成20年)地元中学生の55%が島外の高校へ進学。全学年1学級になる。
社会教育主事の高校内配置が実現
隠岐島前高等学校魅力化構想の策定・提言
2009(平成21年)第一回観光甲子園でグランプリ(文部科学大臣賞)受賞
住民有志を中心とした島前高校魅力化推進協議会の発足
生徒と保護者、住民等による第一回「ヒトツナギ」の実施
2010(平成22年)全国から多彩な生徒を募集する「島留学」制度開始
「夢探究」など地域連携型カリキュラム開始
公立塾「隠岐國学習センター」開所.「夢ゼミ」開始
2011(平成23年)地域創造と特別進学の2コース新設。「地域学」開始
キャリア教育推進連携表彰(経済産業省・文部科学省)受賞
島根県が離島・中山間地域の高校魅力化・活性化事業を開始
2012(平成24年)入学生の増加により1年生の2クラス化(学級増)が実現
生徒の働きかけによりヒトツナギ部と軟式野球同好会創立決定
離島振興法の改正による「標準法」の改正が実現
2013(平成25年)「魅力化シンポジウム」開催.「新魅力化構想」の策定・提言
三町村による島前ふるさと魅力化財団設立
魅力化プロジェクトがプラチナ大賞(総務大臣賞)を受賞
2014(平成26年)地元中学生の70%が島前高校を志願。全学年2学級化実現
島前研修交流センター「三燈」完成。学習センター新校舎建設
スーパーグローバルハイスクールに指定決定(文部科学省)



私が過去に海士町について書いた記事(記事の下のほうにならないと出てこないものも)

 結果が実際にどうなってるかは、一部は「海士町の人口の推移と他自治体との比較」にも書きましたが、他の統計もいろいろ調べてみたいと思っています。

 でも、町村レベルだとなかなか良い統計がとれないんだよな・・・



この動画、地質に詳しく、めちゃ面白い。

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2024年02月04日

『移民の運命』エマニュエル・トッド著(1994)



 高い本だし、図書館で借りて来ました。

 よく読まれたのかな?すごくボロボロになってました。


 日本での出版は1999年11月

 もう30年とか25年とか前の話なので、今とはかなり変わっているかもしれない。

「日本の読者へ」より
(1999年に書かれた)

(経済状態などの悪化により、移民が主の)社会全体から断絶した地帯が都会の周辺部に出現する

各国の多い移民
イングランド → パキスタン人(クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーもそう)
ドイツ → トルコ人
フランス → アルジェリア人、モロッコ人、チュニジア人

地元人と移民の婚姻率
イングランド → 1%以下
ドイツ    → 2%以下
フランス   → かなり混交している

 イングランドやドイツは「マイノリティ集団が文化的に安定化して(自分たちの文化を守って)増大している」と言えるが、それがより重大な結果を生むかもしれない。
 フランスは混交しているので不安定とは言える。

 フランスでは 1998年のサッカーワールドカップで、ジダンが中心となり、優勝した。


"1998年のワールドカップに出場したチームからは、見た目で分かる変化を遂げている。それまでのフランス代表は白人主体のチーム構成であったが、アフリカや、カリブ海などのフランスの国外、若しくは旧植民地からの移民、若しくはその子孫の選手が増えたのである。"

"試合後シャンゼリゼ通りはトリコロールで埋め尽くされ、凱旋門には国民の英雄となったジダンの顔が映し出されるなど熱狂の渦と化した。"

 2018年にも優勝している。この時だったか、移民にルーツを持つ人について

「今日と明日だけはフランス人と認めてくれる。だから明日就職面接に行け」というようなシニカルな意見も、私は Twiter 上で見た。

移民は、どの国においても必要だが、同時に問題をはらんでいる

 図書館で借りてきたので、2週間で読まないといけない・・・




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2024年01月30日

「過疎地域におけるIターンの現況と将来展望」を読む



「過疎地域におけるIターンの現況と将来展望 ー海士町におけるIターン者の事例研究」
という2014年の卒業論文を手に入れたので読んでみました。

 なお、海士町は有名だから、私も言及した記事はすでにいくつか書いてますね。記事末に入れます。

 私は50年近く前の、不勉強な学生だったため、卒論執筆の義務も無かったので、書かず、またあまり勉強もせずに卒業してしまいました。
この論文は、先行研究・参考文献を調べ、現地調査し、関係者にインタビューして作成されています。正直、読んでてとてもうらやましいです。

冒頭、海士町の町長を4期(2002〜2018)つとめた山内道雄氏の言葉を引いています。

「『若者』『馬鹿者』『よそ者』がいれば町が動く」

なお、山内氏は2024年1月3日に亡くなっておられます。享年85歳。

山内道雄(Wikipedia)


 Iターンは、結局、他地域から移住して来た、ということで「全然ターンしてないやないか」とツッコミたくなりますが、まあ過疎地の移住対策として

・地域おこし協力隊
・集落支援員

などの国の施策があるが、それ以外に

・商品開発研修生
・マルチワーカー

などを行った、と。あと、「高校の魅力化プロジェクト」として、

・AMAカフェ
・AMAワゴン

などもやり、その派生活動の中で遠方の人が海士町のことを知り、やって来たりもしている。

その結果どうなったかというと、こちらの


から人口動態を見てみると
※図はクリックすると大きくなります。

スクリーンショット 2024-01-30 14.06.11.jpg

右肩下がりではあるものの、2002年(山内氏町長就任後))傾斜がゆるやかになり、年少人口はかなり頑張っている様子が見てとれます。

また、年齢別人口構成を見てみると

スクリーンショット 2024-01-30 14.11.13.jpg

グラフのある2010年と2023年を比較すると、0歳〜50歳がぐっと増えていることがわかります。高校世代は島留学のせいだとしても、他の年齢も増えてます。


 さて、Iターンの動機ですが、


では

1. 仕事やりがい探求派
2. 生活革新チャレンジ派
3. 悠々自適暮らし満喫派

と分類しています。

 で、筆者はインタビューしていて、そのIターン動機を

1.目標としての事業、仕事
2.田舎暮らしというライフスタイル

が大きいのではないか、と考えてインタビューをしたのだが、結果として

1.パーソナルネットワーク要因(何か人の縁ができた)
人がやってくるのを待ってるだけではなく、いろいろな形で外部に紹介している。
2.目標要因(こんなことがしたい)
 仕事もだけど、「つながる図書館ーコミュニティの核をめざす試み」に出てきた司書さんとか、図書館が無かった頃からいろいろ自分で(もちろん町の指示・バックアップで)作り出している。
 また明確な目標を持って来る人がいることによって、町民が刺激を受ける。
3.(定住ということにこだわらず)キャリアアップのため

特に3.も大きそうだと気づいた、とのこと。

いずれにしても、モチベーションが高い人が多くなるので、活き活きとした雰囲気にはなるだろうな。

なかなか面白かったです。

2010年6月5日
2017年1月8日



こちらは採用システムのコマーシャル動画のようですが、海士町のマルチワーカーがどういうものか、というのもわかりそうです。




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2022年09月20日

絵本ワールド 2022 in ひょうご




「絵本ワールド 2022 in ひょうご」

が開催されます。

日時:2022年10月8日(土)10:00〜16:30

場所:須磨寺青葉殿講堂(山陽電鉄須磨寺駅下車徒歩5分、JR須磨駅下車徒歩12分)神戸市須磨区須磨寺町4-6-8
   「青葉殿」は「しょうようでん」と呼ぶのですね。
   永代供養でお参りしたりするところだ。

料金:無料

申し込み:申し込みする必要は無いみたいです。

問い合わせ:06-6413-1112

チラシ画像
※クリックすると大きくなります。また画像の下に チラシのPDF へのリンクがあります。
2022絵本ワールドinひょうご.jpg 



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