※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年05月10日

久里浜日記1993年 7月4日〜11日(最終回か?)

久里浜日記7月4日

 今日は「うーーん、もう起きなきゃ」とベッドでうだうだしてると、ノックの音が・・YOSSYさんが来て下さいました。おかげで一日を無駄にすることなく始めることができました。

 YOSSYさんはオシロスコープ(!)持参です。で、私が作っているラッチアンドタイマー(ラッチ:一度スイッチを押したらonし続け、もう一度押したらoffになる。タイマー:一定の時間が来たら切れる)の基板を調べて下さいました。私は横で見てましたが、何が何だかわかんない。いろいろ調べてくれはってどうも設計しなおす必要があるみたいだ、とのことでした。ま、これは完動しなかったわけですが、こちらも回路図を実体風にしたりしたことでいろいろ勉強になりました。うーん奥が深い。しかし私はきっとこの回路たらなんたらっての好きなんですね。もっと子供のころからやっときゃ良かった。

他にもいろいろ質問がありまして、それには明解に答えて頂きました。
LEDを入れるには抵抗をかませる、だとか光センサーの回路にスイッチをつないでも大丈夫だとか。

またよろしくお願いします。


久里浜日記7月10日


いやあ、久里浜日記を長いことさぼってしまった。

今日はMES。(障害児教育コンピュータ利用研究会)ありゃ、短期研修生でMESに参加した人はソフトを持って行ってご披露することになってたのね。私は知らなかったので私の低レベルソフト「タイガースでいこう」は持って行っていませんでした。でもその方が良かったかな・・・

ちなみに大森さんの部屋にはでっかいトゥルータイプ(フォントの一種)の文字で「低レベルソフト研究所」という看板がかかっています。(まるCはアスキーかな?)低レベルソフトは悪口ではなくて「しょーもないソフトやけど役にたつ」という思いがこもっている・・・と思っているのですが。

笹野さんの「ユニバーサルADBインターフェイス2」のデモがありまして、完成品を売っていただくことができました。いやーーハンダづけしないですんでほっとしました。ここ何日かアップしていなかったのはハードを作るたびにおしゃかにしてて、がっくりきてたせいなんです。夏休み中につなぐことのできるスイッチを作って実際に子どもに使わせみたいと思っています。

MESの後はオフ。
しかし昔(今でも?)無線の世界では小学生とどっかのえらいさんが対等に話をするという状況があったそうですがほんと今日集まった私以外の3人さんってほんますごい人やもんねえ。いやあありがたいことです。

久里浜に帰ってきて荷作り。7月11日(日)に宅急便の基地からトラックを呼んでくるというので、教育工学コースの人間は多くの者が午前4時くらいまでワイワイ言いながら荷作りしました。どこからも「うるさい」という声が飛んでこないのがすごい。最終土曜日だから大目に見てくれてるのかな?


久里浜日記7月11日

今日、黒猫ヤマトの基地からトラックに来てもらいました。教育工学コースでほぼトラックいっぱい分の荷物を送りました。ひょっとして積み残しが出るかと心配しましたが、なんとか載りました。まーすごい量です。少し残った空間に他のコースの方も載せはりました。違うなあ、と思ったのは教育工学のみんなは手続きが終わるとトラックに載せるところまではみんなで協力してやっちゃう。他のコースの方は手続きが終わると「じゃよろしくーー」で帰ってしまう。まあ、むこうはプロなんだからまかせましょう、という考えかたもあるでしょうが・・・

終わってから、何人かは東京湾クルーズへ、私は自転車で散歩、大森さんはレポート書きにいそしんでました。

夜、おすぎさんからの依頼もあって久里浜日記を一本にまとめてたんですが、読み返してみると、結構もう忘れてしまってることがありますね。もちろん忘れるってことも大事だと思っていますが、いろんな意味で書いておいて良かったなあ、抜けてるとこは残念だなあ、と思いました。
もちろんいまさら穴を埋める気にはなりませんが。

明日は最後の実習です。私はまだアドベンチャーツクールで音楽を鳴らしていなかったので、そこんとこができたらいいな、と思ってます。

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2011年05月09日

久里浜日記1993年 6月23日〜7月1日

久里浜日記6月24日


(kingstone・めっちゃネタバレになりますが・・・)

ちょっと日記はお休みするつもりでしたが、6月23日の中村賢龍先生の講義が素敵だったので、ちょっと書いてみます。文責はKING STONEにあります。

−重複障害児の指導とコンピュータ−
香川大学助教授
中邑賢龍先生

(まず中村先生が質問しはりました)
「ここに小学校1年生で肢体の不自由な子がいます。この子にワープロを使わせますか?電動車イスを使わせますか」
(私は使わせない方に手を上げました。中村先生は答えは出さず)

「あなたが寝たきりになりオムツをしなければならなくなりました。人に代えても らいますか?ゴリラに代えてもらいますか?ロボットに代えてもらいますか?」
(人間とロボットが2対1くらいの数でした。私はロボットの方ね。大学でもこの質問をしはるそうです。でたいていは「人」と答える。そこで女子学生なんかに「じゃあ俺が代えてやろう」と言うと「いやーーん」なるほどなあ)

まず non electoric aid を活用することも考えよう。透明アクリル板で対面して使うコミュニケーションボードだとか文字盤とか。

能動的に動くことが認知発達に重要。障害児の多くは失敗の体験を積み、行動することがいやになっている場合が多い。それを助けるために(能動的に動けるために)

 simple technology の利用。例えば簡単なスイッチで使えるおもちゃ。
 動くぬいぐるみ。
 ピッチングマシン。子どもが投手になれる!
(で、これがパソコンへのリテラシーにもなる)

 パソコンの利用。障害に応じた様々な入力形態。またその入力を利用して楽しめるゲームなどもたくさん揃っている。米で見ると車イスに乗り構音障害などでコミュニケーションできない人のほとんどは、車イスにコミュニケーションエイド(トーキングエイドの類)をつけている。

さてそのスイッチなどをどうするか。私(中村)も2年程前まではスイッチやバッテリーインタセプター(私なんかが電池アダプターと呼んでる、電池と接点の間に遮蔽物をはさんでそこからワンスイッチで動かせるようにするもの)を作る講習会を開いてきた。しかしどれだけ広まったか。

米でびっくりしたのは肢体に不自由をもっている子のほとんどがそのような自分にあったスイッチやバッテリーインタセプタを使っているということ。市販品がちゃんと安くある。バッテリーインタセプタで900円くらい。ワンスイッチ入力で一定時間電気が流れたり、一回入力すると電気が流れ、次に入力すると切れる、そんなボックスが6000円ほどで売られていて家でも学校でも使われている。
(KING STONE・・・ははは、私が一生懸命失敗しながら作ってるやつね)
で、OTやPTや教師が商品知識(パソコンや電気の知識では無い!!)を持ってフィッティングしていく。日本もこうなるようにしていかないといけないのではないか。教師が作っている場合ではないのではないか。

さて最初の質問についての私(中村)の考えかた。
字を書く練習も大事かもしれない。しかし便利な機械を使ってどんどん自分を表現していくことができるなら、それも大事ではないか。
歩く練習も大事。しかし電動車イスを使ってどんどん自分の行きたい所へ行く、というのも大事ではないか。
それが生きる力となっていくのではないか。

この間電動車イスの方と散歩に行った。その方は大人だが、今までほとんど外へ出たことがなかった。さあ食堂で「食べましょう」と言うと「どうしたらいいかわかりません」何か怒りのようなものすら感じてしまった。

知的障害者にはパソコンは使えないか?
一語文しか出せない子が、パソコンの画面の絵をタッチすることで相手に指示を与える、というソフトを使い二語文を相手に伝えることができるようになっている。3語文までも出そうである。そのようなコミュニケーションをする手段として使えるかもしれない。

 パソコンを利用して「楽」に生きることができるなら、そして自分の内面を出すことができ、心豊かに生きることができるなら、自己決定ができるなら、パソコンを利用してもいいのではないか。

最後に「教師が作っている場合では無いのでは」と言ったけれども、まだまだ日本では教師が作らないといけないかもしれないですね。


(KING STONE・・・うーーん、いかん、あの感動を伝えることができないですね・・・・)

後、MACのデモを見せてもらいました。肢体不自由児に対するアクセシビリィティでは現時点ではKEENEXなどのあるMACに一日の長があるのではないか、ということでした。もちろん先のことはわかりませんが。


久里浜日記6月27日


今日は寝過ごして朝ごはんが食べられませんでした。大森さんにパンをわけてもらいました。

おかげで出だしが遅くなってしまった。

まず、今までどうもうまく動かなかった、「一定時間スイッチが入る回路」を基盤をエッチングして作ってみました。はんだづけそのものは、あっけない程早く終わります。動かしてみると、安定して動きみます。そこで100Vをつなぐと・・・うーんやっぱりだめ。リレーが切れようとするのを無理やり切らせない力が働くみたい。100Vをつなぐことはすっぱりあきらめました。3Vくらいのおもちゃだったら安定して動
きそうです。

その後、TADさんに頂いてまだ完動させていないMSX用タッチパネルの外科手術に挑戦しました。コネクタの2番か4番(とにかく上の端から2つ目)のピン(というか受けの部分)が始めから無かったので、完全なコネクタと付け替えればいいだろうと思いケーブルを切ってみたら・・・なんとはじめから線が8本しかない。そうかもともと使っていなかったところなんですね。
ということはうまく動かない(具体的にはY軸を認識しない)のは別のところに理由があることになる。困った・・・・。

後、MSXのソフトでMENUの無いものにMENUを作っていきました。


久里浜日記7月1日


今日は府中養護におじゃましました。まず言語訓練の時間を見せていただきました。担当の先生はKINTAさんではありません。落ち着いた女性の先生でした。生徒さんは笑顔のすてきな男の子でした。

今日はKINTAさんが昨日作ったという文章を提示しそれに合った絵を選ぶというソフトをやる予定でした。でも今日はギャラリー(特総研から7人行きました)が多かったのでちょっと緊張した様子。先生は「じゃあ得意なのからやろうか」とYAS.さんの作られた「音いくつ」から始めました。(「音いくつ」はFEDHANのDLにありますのでまた興味のある方は見て下さいね)(kingstone・ええっと、今PCで使える移植版をどなたかが作ってはって私もついこないだ見たのですが・・・urlが検索で見つけ出せない・・・)

2点スイッチを使って(2点スイッチが使えるようにKINTAさんがスクリプトをつけ加えてはるんですね)解いていきます。

次にKINTAさんのソフトをやります。

もちろん昨日作ったソフトですからいろいろと改良する点も出てくるでしょうが、2点スイッチを使ってその子が「ある動作をする」ということがわかっているかどうかを判断し、かつその子の理解を確実にしていくいいソフトだな、と思いました。

また指導してはるのがKINTAさんや江田さんでなく、機械なんか得意じゃない(失礼)とお見受けする先生だ、ってのがいいなあ、と思いました。

実は後の質疑応答(ちゃんとこんな時間も作って下さってたんですね)の時にうかがうと2年前はKINTAさんとその先生がその子の言語指導を担当していてKINTAさんの時はパソコンを使った指導をしていて、その先生の時はいっさい使わないで指導していたそうです。
で、昨年は担当が違い、今年はその先生だけがそのお子さんの指導にあたっているんだそうです。で、時限の前半はパソコンを使い後半は使わない指導をしているとのことでした。

そこで「なぜ先生はパソコンをお使いになろうと考えはったのですか?」とお尋ねすると「受け手側の感性によらなくても表現できる手段を身につけさせるためにパソコンもあっていいんじゃないかと思ったから」とのお答えでした。そう考えて使って下さる先生も素敵ならその先生をフォローして使い易い環境を作ってはるKINTAさん、江田さん、M先生(もうすぐここへも出てきてくれはるかな〔ニコ〕)たちの努力に頭が下がりました。

また私は個人的にはそのお子さんが「KOIKE1」を好んでくれてる、という話を聞き嬉しくなってしまいました。で「あれ私が作ってん」と言うとその子が「ニコッ」としてくれて、いやーーこの喜びって独特ですねえ。(もちろん使いやすいようにKINTAさんが改良して下さってます)

>PEACHさん
そのお子さん、けいちゃんにかなり似てました。

その後他の学校の先生方も集まってやってる研究会に参加(乱入?)させていただきました。そこで大森さんは「神様のごとく尊敬」してるM先生に出会って感激。で本当は我々二人はおとなしくしてる予定だったですが、まず大森さんが続いて私もいろいろ大きな声でしゃべってしいました。反省。ほんま関西人は声はでかいは話は長いは・・・

またそこで出会ったO先生も素敵な先生でした。ソフト云々を語る前に「そのお子さんはどんな子なのかな。もう少し詳しく教えてもらえますか」とできるだけ子供のことに則して考えはろうとする姿勢が、ついつい「おもろいソフトやからええやん」になりがちな私に反省させるものがありました。

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2011年05月08日

久里浜日記1993年 6月19〜21日

久里浜日記6月19日20日


神戸でゆっくりさせてもらいました。
やっぱり家はええなあ・・・・


久里浜日記6月21日

文責はKING STONEにあります。

午前中は
筑波大学助手
東原義訓先生の
−学習ソフトウェアの作成法−

でした。ええと内容をうまくようまとめません(いつものことか・・・)が断片的にお知らせすると・・

コースウェアというのは広い概念で捉えたい。
重要なのは学習者の実体把握(子どもがどんな状態か)で、目標分析(こんなこと教えたい)から進むと間違う。
(kingstone・こりゃ何でもです。よくこの間違いが起こりますね。「小学校までにはこれができないと」「卒業までにはこれができないと」別にその目標設定するのはいいのですが、あくまでも今ある力で何ができるか、を考えないと)

小学校と養護学校の違いでは、養護学校だとあっていないと見向きもしてくれず、あってるのだとすごく熱心にやってくれる。
学習ソフトでキャラクターを出す場合、教える内容と合わせて必然的なキャラクターがあるといい。
作る時に気をつけていること。人と人との相互作用をより密接にしよう。例えば1時間くらいのコースウェアにかならず何か所か「先生をよびましょう」のメッセージが出てキーボードを受け付けなくする場面を作っている。どういう場でか。実はふだんできないであろうと思われる子ができた時などに、ほめる文章が出て、キーをうけつけなくする。すると先生が来ても、友達が来ても「おーーできたねえ」
とほめられ、認められる。
(KING STONE・・・快の時間を共有する、ということですな。ちょっと目ウロコでした。)

筑波では、STUDY-TIMEというソフトを開発している。教師用の開発版はSTUDY-WRITE。これは98.FMR.シャープ.MAC(MAC用は開発済みだがまだ出ていない)などどれにでも対応できる。これで開発されたソフトの仲立ちを筑波大がしてソフトを広げようとしている。(ただし、TIMEの49000円はいいのですが、WRITEの350000円という値段を聞いた時、ガクガクときてしまいました。オーサウエアというのも900000ということだし[機能限定のが90000円くらい]・・・やっぱりここはひとつ4800円のアドベンチャーツクールとおまけでついてくるハイパーカードに頑張ってもらおう・・・)(kingstone・どっかにアドベンチャーツクールのことを「600円くらい」と書きましたが、大嘘でしたね・・・)

(KING STONE・・・すごいな、と思ったのは、大森さんの質問に応えて、講義の形態をガラッと変えてしまいはったこと。リングに上がってきはった、という感じです。やっぱりあちこちでストリートファイトを演じてはる方だけのことはある。子どもに使わせてはるし、子どもからもらったいろんなものが自信になってはるので動じはりません。もちろん様々な養護学校のニーズとは少しずれるにしても、私はいろんなヒントをいただきました。
でいろいろ東原さんと聴講生でやりとりしながら(interacitiveな環境ですよね[ニコ])進めていきました。でもこういう形して下さった先生は「いやー雑談してしまって」とみなさんおっしゃいます。雑談なのかもしれないけれど、一番いい形の研修ではないか、と私なんかは思っているんですが。ま、講義というものと違うことは確かかな?でもソ・ソ・ソクラテスやプラトンもそんなのやってたわけですよね)

午後
−パソコン通信の利用法−
府中養護学校教諭
江田祐介先生

パソコン通信の利用の話です。もうここで読んではるみなさんはよく御存知のことですね。
府中で通信を広げるまでの苦労話が(何度も聞いてるとは思うのですが)やっぱり面白いですね。「電話回線なんてひけないよ」と反対してはった事務の方が、最後は率先して協力してくれはるようになった話。「ワープロを打てる子が少ないのに何故通信をするのか?」というのに対し「そういう子が少ない・・・対等に話ができる子が少ないということじゃないか。そういう子が交流できる子を増やしてあ
げなきゃ」と説得した話。

でとにかく学校に置けないから江田さんの家のパソコンをホストにしてFT−NETとしてしまったこと。で、一晩中「アクセスないかな」と見ていて子どもが入ってきた!(シスオペだから見えるわけです)ところがパスワードを3回間違えて振り落とされちゃった、って話。
親御さんなんかを会員にしていった、という話。

現在は地域の方も交えたネットになっていて、園芸家の方が花の作り方を連載して下さったり、子どもたちの疑問に答えて下さったりもしてるそうです。

江田さん、7月1日、ひょっとしたらお会いできないかもしれないそうですが、またよろしく。


さあて、今日からアドベンチャーツクールにとりかかります。
また頭をぶつけたとこなんか書いていきますね。そのため、今後は書き込みが少なくなるかもしれません。


追記
 東原義訓(ひがしばらよしのり)さんは現在信州大学教育学部 附属教育実践総合センターで教授をしてはりますね。

 江田祐介さんは和歌山大学教育学部の教授。


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2011年05月07日

久里浜日記1993年 6月17日〜19日

久里浜日記6月17日


うーー、えらいこっちゃ。MSXについての作業とと半田づけをちょっとがんばったら、あっという間に日記を書く時間がなくなってしまった。しかもここ2日間はめちゃ充実した講義でした。困った、困った。(嬉しい悲鳴というやつですね)

18日、新幹線で名古屋から座れたので書くことにします。

文責は私KING STONEにあります。

17日午前は

−特殊教育における情報手段の利用の意義.2−
教育工学研究室主任研究官
小孫康平先生

主に病弱養護学校で筋ジストロフィーの生徒たちとの関わりの中で実践されてきたことを教えていただきました。

例えば複式呼吸の練習。んなものやれったってそう面白いもんでもない。そこでおなかとベルトの間にカメラのレンズ掃除のブロアーをいれ、おなかを大きくふくらませると、スイッチが入りふくらんでる間スイッチが入りっぱなしにする。その合計時間によって模型の消防士がはしごを登っていったりとか様々の楽しいことがおこるようにしておく。
あるいはモーターについた風車を回し電気を起こして同じようにする。
おもりのひきあげの訓練。おもりのところ光センサをしかけておき、おもりが持ち上がってスイッチが入る。等、いろいろ工夫してはります。

またもともと物理の先生なのかな。実験をする時は身近な物を使って訓練を兼ねた実験をされたとか。
落下の実験では前述の呼吸練習で消防士が上まで登ったら鉄球が下に落ちるようにしておいて、その時間を計る。
作用・反作用では車イス同士での押し合い。等・・・

また卒業後進路といってもそうない。家で何をしているかというとテレビを見ている。そんな現状を何とかできないかと考えてパソコン通信を授業に取り入れられたとか。

取組としては週27時間のうちの4時間の選択時間の中で、希望するものが行った。内容は、例えば「筋ジス者に関する新聞記事を検索して読む」「今後どのように生活していくか発表する」といったものからメールを送る、海外と通信するといったものもあったそうです。

うーん、やっぱり実際子どもに関わった話は面白いなあ。

午後は、あり!、東大の芝若先生の「パソコンと健康の問題」でした。いかん、題とかが正確ではないが・・・

これは子どもというより自分自身にかかわるな、というので熱心に聞きました。

パソコンと健康の問題ではいろんなことが言われているが、はっきりとしていることはほとんど無い。しかしまた長期の使用に関してデータが無いことも確か。光てんかんの問題も、素因を持ってる人を見つけりゃ、危険を防げそうですがほんとのところあまりよくわからない、というとこだそうです。
X線に関してはほとんど出ていない。電磁波に関してはシールド技術が進歩してきた。低周波は今「問題があのではないか」と話題になっている。
話は変わるがそういう意味で一番問題になるとしたら電気毛布である。(ヘエーーKING STONE)
視力については短期的にはそう影響があるというデータはない。しかし目の筋肉の調節機能の低下や渇きには気をつける。
なお、目についても、電磁波についても、スゥエーデンの基準をクリアした噂のCRT(ブラウン管のモニタ)は確かにいい。ただし高い。やっぱりいいものは高いし安いものはそういう点では確実に悪い。
自分の判断で使う、休むをコントロールできる状況だといいが、それができない場合は免疫力が落ちる。(しかしこりゃ何でもだろうね・・・KING STONE)
机・イスは体に合わせて。機械は取り替えられても自分の体は取り替えが効かない。

それから電気屋さんの体験談としてはビデオゲームをやりすぎるとテレビは早く痛むという話もありました。


久里浜日記6月18日

文責はKING STONEにあります。

−特殊教育による教育機器の利用−
福井大学・・・(教授だったか助教授だったか・・)
熊谷高幸

自閉症と呼ばれる子供たちには結構機械の操作を好みのってくる子がいる。

TEACHプログラムのように視覚的構造の利用(絵やシンボルのカードを利用したりとか)を生かせないか。絵カードでスケジュールを作るが、その時自分で選択させたりする。
自閉症児の自傷行為に対処するのに、これは「何をしたらいいのかがわからないのだ」と考えて、自傷行為そのものに当たるのでなく、やるべき課題がわかるようにしてあげることが大切とかなり前から言われてきている。

ちえおくれの子とパソコンで勉強していて「ちょっとマンネリだな」と思っていると、語彙の少ない子なのに、「ちがうのやろ(しよう)」などということがある。
(KING STONE・・・つまりそれを受け入れる体制をとってはるからでしょうね)

やってきて思うのは、今後は実験室で20〜30人を被験者としてやっていくという方法では何もわからないのではないか。一人一人じっくりつきあっていく必要があると思う。

(うーーん、すごい。この方も子供とつきあってはるのがよくわかります。福井大学から来られたお二人がお二人とも良かった。障害児に対する機器活用の分野については福井大学が注目株とちゃいますか)

(kingstone・確か熊谷さんは遅くとも1985年には講談社現代新書で「自閉症」という本を出されていて、「どうしたらいいか」はあまり書かれていなかったけど、「まともな本」という印象を持ちました。私が初めてクラスに「自閉症」のお子さんがいるのを認識した時です。)

 −(あり!題名忘れた・・)−
 横浜リハセンター
 畠山卓郎

 畠山さんの講義でした。

 技術者としては面白いスイッチとか音声認識とか新しい技術に注目したくなってくる。しかし実際は利用者さんにいちばん使いやすい、信頼性のある、ごくありふれた物を使うことが多い。

 事故などで体が動かなくなり障害受容のできない方がいる。(それをこちらがどうこうしようというのでなく)その方が例えば野球が好きだっから「野球のビデオを一人で見られるようにしましょう」と提案する。そしてれができた時に受容ができてくる。

 お医者様から「脳波に反応が出ていないので植物状態です」と言われてた人。家族が「表情があります」エンジニアが見たところ「ニコッとするなあ」
 でその人が唯一少しだけ動かせる舌にふれると反応するスイッチを作った。(うーーんと、最初はどんなのから始めたんだったかな?)
 現在では好きな音楽を聞くところまでいってる。

 佐伯ゆたか先生の「I」と「YOU」と「THEY」をつないでいくのがメディアであ、というのからヒントを得た。環境とのコミュニケーションを助けていくのがエンジニアではないか。「犬を抱きたい」「花に水をやりたい」「風景を写真に撮りたい」

 何でも機器を使えばいいというものではない。欧米で意思伝達によく使われるものに透明のアクリル版がある。それを挟んで相対し、書いてあるものへの相手の目の動きでコミュニケートする。こういった機器を使わない部分も充実していく必要があるのでは。

 ある子の例。
 あるねたきりで言葉の無い目と指が少しだけ動く訪問教育を受けている子にPワードを使わせた。スイッチをフィッティングすると子供は興奮してパチパチパチパチ押しまくっている。仕方ないのでそのままにしておくと30分程で落ち着いてきた。そして文を打ち始めた!!最初に「先生きらい」「授業きらい」と先生の悪口。横で見てた先生は泣かんばかりに喜んでいる。何故その子は初めてなのにそんなことができたのか・・・
 親御さん。親御さんがカーテンをしめたりしようとすると、その子は「ぼくがやる」と言わんばかりに目をパチパチする。これはと思って片手でその子の手を握り、片手に長い棒を持ち、その子の手の合図でカーテンを閉めたりするようにした。他のことでも同じようにしてきた。
 訪問担当の先生はある研究会の発表で目の動きでコミュニケーションをとる事例を見て、これだ、と思った。そして1年間彼の目の動きと字をマッチングさせる学習を続けてきていた。(つまりそのかかわりや指導の上にPワードがうまくのれたってわけですね)

 筋ジストロフィーの人たちのコミュニケーション手段としての意思伝達装置。またパソコン通信や院内のチャットシステムの利用。例えば患者さん同士が友達であってもお互い人工呼吸器を着けてしまうと同じ部屋にいても何も会話できなくなってしまう。そこで院内でチャットできるシステムを考えた。
 この映像を筋ジスの子供たちに見せると刺激が強すぎるのではないか、と心配した。しかし子供たちは見た日、いい意味で興奮した。
 その映像に出て来てる人(つまり人工呼吸器をつけてチャットしている)の話だと「どんな子供だって自分の行く末はわかっている。そこで役に立ちそうなものがあればすごく喜ぶ」

(ここでKING STONEが質問しました。今学校でパソコンや通信を利用しようとすると「そういうことは家で、とか、卒業後すればいい、今は必要ない」と同僚から言われる。確かに例えば筋ジスの子でも卒業後入院した先でそのような取り組みが行われるのなら学校で教える必要もないという気もする。現状はどうでしょうか?)

 やはり病院によって差がある。無理に教える必要はないが、「こんなのもあるよ」と教えておいてあげるのは必要ではないか。

 最後に「横浜リハセンターではボランティア技術者の登録制度を作っていこうとしています」ということでした。まだ形はできていないとのことでしたが・・・
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2011年05月06日

久里浜日記1993年 6月14日〜16日

久里浜日記6月14日

今日は愛媛県立松山養護学校の和田浩一先生の −視覚障害者の情報処理−という講義がありました。

私は白黒パズルのアイコンを使わないの(大きくできる)と、絵を隠すボタン(現れたり消えたりする)を作りました。わりと「固い」感じのする素材といった感じのスタックです。こういうのやると場所を座標で決めていったり、FOR〜NEXTみたいにREPEATさせたりと、何だかBASICをやってるみたいな感じでした。

MACを買って10日ほどのY先生は楽しい音やパラパラ動画入りのスタックを作っているし、S先生(今までパソコンはほとんどさわったことがなかったそうです)やM先生、はたまた大森さんなんかはアドベンチャーツクールで教材を作ってます。大森さんはスロットゲームみたいなのを作ってました。

ふーー眠たい。


久里浜日記6月15日(ごめん、やたら長い)

文責はあくまでもKING STONEにあります。

今日の午前はこんな講義がありました。

特総研肢体不自由教育研究室研究員
渡邉章先生の
−特殊教育における情報手段の利用の意義.1−

はじめに

パソコンは(使いたいと思っているが)使えば使うほど現状には不満足。
教育の中で使うことを考えたい。

1.肢体不自由児・者にとっての情報機器の意味

・1990.11.12 日本福祉大大学院に障害を持った人が入った記事
・(床に座り、床に置いたキーボードを打つ写真)

・ホーキング博士のビデオ

コミュニケーションの手段である。これを使うことで生活の質が全然違ってくる。
意志表出のハンディを軽減。

障害の重い児・者のコミュニケーションの手段
1.声や表情による気持ちの伝えかた。
2.身体的ふれあいによる気持ちの伝え合い。
3.動作によるコミュニケーション。
4.絵や写真(イメージを使う)によるコミュニケーション。
5.シンボル(S&Sなど)によるコミュケーション。
6.文字盤(文字)
7.コミュニケーション補助用具。

2.肢体不自由児・者のための情報機器開発の現状。

・米国 1988,10政府はリハ法508条として「電子機器アクセシビリティ指針」を公布
・日本 1990,6通産省「情報処理機器アクセシビリティ指針」を出す。

機器紹介
・パソパル
・トーキングエイド(現時点で完成度がこれを抜くものは無いのではないか)
・キャノンコミュニケータ(外国ではすごい人気・・・・・ローマ字キートップ)
・Pワード+様々な入力装置・子猫の手(イトウ英ちゃん作)
・KBマウス
・キーガード
・トロン(スキャン式ソフトキーボードが標準でつく)
・NECの液晶画面とソフトキーボード(98につなぐとアプリケーションをそのまま動かせる)etc.

この子のため、と思ってもフィティング・値段などでなかなか難しいところがある。


3.肢体不自由養護学校における現状

平成2年4月の統計(回答は130校ほど・・正確な数字をKING STONEが忘れた)

○導入していない学校の「理由」
1位・予算的に不十分(14校)
2位・児童生徒の障害が重いため利用できないと考えている。(kingstone・当然どう使ったらいいか知らないというだけ)
○機種
PC9801 90パーセント
MSX 22パーセント
○どういう用途で使われているか
1位・児童生徒の学習指導(90校)
2位・校務分掌上の事務(66校)
○活用状況
たいへん有効に活用されている(11校)
有効に活用されている(51校)
(少しは〔だったかな〕)活用されている(5校)
活用されていない(36校)
(上の2問についてKING STONEが思わず「うそやん!」ってつぶやいたら、「そうなんですよ。よく話を聞いてみるとほとんど事務で使わてます。でも学習に使うと導入した以上「使っていない」とは書けないのでしょう。使っていない大きな理由は入力装置までは予算化されていないので使えないということが大きいです」というお話でした。平成2年の4月時点ですからね)
○有効に活用されていない理由
1位・指導に使いたいと思うソフトが無い。14校
2位・機種に詳しい人がいない。13校
3位・子どもにあった入力装置が無い。8校(この回答が以外に少ないのはもともと使おうとしていないからかもしれない)
○どういう情報を必要としているか
1位・自作ソフトウェア情報
2位・活用事例情報
3位・入力装置などハードウェア情報
(この時点では普通のキーボードを使える人しか使えていないようだ)
○希望する提供メディア
1位・ハンドブック(59校)
2位・パソコン通信(28校)(へえー結構あるんだ・・KING STONE)
3位・ニューズレター(24校)

全体として基本的な物(本体・キーボード・ディスプレイ・プリンタ〔!!!〕)は入ったがソフトや入力装置が不十分。そこで
「使えないことはないが、ほんとうに使おうとすると非常に困難」という状況になっている。使えるようにするためには制作部品にも使えるような「入力装置予算枠」といったものを作っていく必要があるのではないか。

4.入力装置のいろいろ

・KBマウス ・信玄君 ・オムロンのタッチパッド ・エントリー1 ・マウス
・トラックボールのいろいろ ・ジョイマウス ・EPSON-BS20
・子猫の手(1センサーのものもある)

5.子どもの指導における課題
A君の例
身振りなどで応答でき、理解力はあるようだった。しかしどこまでわかっているのかわかっていないのかがはっきりせず、あいまいなままで受け答えしていた。機器を使って何がわかっているかがはっきりしてき、言葉を自分で判断し構成していくことによっていろんな力がついてきた。

課題
・ソフトの問題 開発にかかる時間と学習内容
(例えば開発が間に合わず、じゃもう1時間このソフトで、と子どもがソフトに合わせられる本末転倒状態も起こりがち)
・入力装置の問題
入力装置を確定するためのお金と時間
(いくらこちらがいいと思っても子どもの持っているコミュニケーションのスタイルを尊重すること)
・指導の一貫性と継続性
(KING STONE・・・ここで思ったんですが、ソフトも集める気になればすぐ膨大になる。また装置もすぐ膨大になる。指導法も膨大。それらを管理するのは図書室に司書がいるように、専門の管理者がやはり必要じゃないかな)

こういう課題を乗り越えつつ使っていかないといけないと思う。しかしテクノロジーが先にあるのでなく子どもとどうやっていったらいいかを考えているうちに利用しだした、ということは忘れないよう。

6.ネットワークとしての利用
パソコン通信はコミュニケーションの1つの形
重度障害者用パソコン通信入力ソフトの開発
例「電網開花」を利用した1センサー入力ソフト(NAPLSが使える)
神奈川の半官半民のKネットでも利用。
ここの福祉機器データベース用の画像づくりを障害を持った方にお願いしている。
障害者の就労機会拡大の検討と教育プログラムの開発
小規模作業所でも使用を考えていくといいのでは

何故このような大人対象のことまでかかわりだしたのか。最初は子どもばかりだったが子どもも大きくなる。学校時代は手厚くいろいろ考えられても、卒業後の生きがいやりがいの問題に直面し、関わりだした。みんながする必要はないが、通信などやりいた人がいればやればいいのではないか。テレビしか娯楽が無い、という状況をなんとかし、外部とのチャンネルを作りたい。

最後に
パソコンもぬくもりのある使い方を考えたい。



午後は特総研教育工学主任研究官・中村均先生の
−データベースアプリケーションの利用法−

の講義がありました。


久里浜日記6月16日

文責はKING STONEにあります。

今日は「リハビリテーション工学アプローチの教育応用について」ということで横浜市総合リハビリテーションセンターに見学に行きました。

うーーん、すごい。横浜が充実しているという話は聞いていましたが、ほんとにすごい。

市民へのサービスとしてエンジニアによる機器のフィッティングをしているのは、今のところ横浜市リハセンターだけだということです。

このサービスを受けるためには利用者さん(障害者さん本人のことをこう呼んでいるということです)あるいは家族の方が申し込んできはることが多いのですが、もちろん充分方針が出せるくらいお話を聞いた上で「では、保健所か福祉に声をかけてからお越し下さい」と言うそうです。
なぜか?
リハセンターはしっかり関わりますが、結局最後まで関わるのは地域の保健所や福祉なのだから、その人たちを巻き込んでいく。リハ工学の分野はまだまだ知られていない分野なので、そうやって現場の人に実態を知ってもらう、という意味があるそうです。
で、最初に来られた時にお医者さん、看護婦さん、ケースワーカー、理学療法士、作業療法士、エンジニア、それに保健所や福祉の担当者がチームで方針を立てるそうです。

学校から先生が子どもを連れて相談に来ることもあるそうです。またそういう場合は親が学校に強く希望して来ることも多いとか。で、意思伝達装置としてのパソコン利用のための入力装置の開発などをするそうです。
いいな。そうすれば私が自腹を切って部品を買ってきたりしなくてもいいし、私がやればどうしても選択の範囲が狭くなってたもんな。

うーん、私も帰ったらそういうことのできる可能性を、兵庫県総合リハビリテーションセンターや神戸市立心身障害者センターにあたってみたいと思いました。

今日の見学はほんとうに役に立ちました。


帰りは中華街で中華料理。うーんうまかった。

帰ってきてからは、ここんとこ肩がおかしかったので、視覚障害コース短期研修生のMさんに針を打っていただきました。料金は使い捨てバリの実費のみ。これが効いたみたいです。えらいもんやなあ。

posted by kingstone at 06:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 久里浜日記1993年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする