久里浜日記6月17日 うーー、えらいこっちゃ。MSXについての作業とと半田づけをちょっとがんばったら、あっという間に日記を書く時間がなくなってしまった。しかもここ2日間はめちゃ充実した講義でした。困った、困った。(嬉しい悲鳴というやつですね)
18日、新幹線で名古屋から座れたので書くことにします。
文責は私KING STONEにあります。
17日午前は
−特殊教育における情報手段の利用の意義.2−
教育工学研究室主任研究官
小孫康平先生
主に病弱養護学校で筋ジストロフィーの生徒たちとの関わりの中で実践されてきたことを教えていただきました。
例えば複式呼吸の練習。んなものやれったってそう面白いもんでもない。そこでおなかとベルトの間にカメラのレンズ掃除のブロアーをいれ、おなかを大きくふくらませると、スイッチが入りふくらんでる間スイッチが入りっぱなしにする。その合計時間によって模型の消防士がはしごを登っていったりとか様々の楽しいことがおこるようにしておく。
あるいはモーターについた風車を回し電気を起こして同じようにする。
おもりのひきあげの訓練。おもりのところ光センサをしかけておき、おもりが持ち上がってスイッチが入る。等、いろいろ工夫してはります。
またもともと物理の先生なのかな。実験をする時は身近な物を使って訓練を兼ねた実験をされたとか。
落下の実験では前述の呼吸練習で消防士が上まで登ったら鉄球が下に落ちるようにしておいて、その時間を計る。
作用・反作用では車イス同士での押し合い。等・・・
また卒業後進路といってもそうない。家で何をしているかというとテレビを見ている。そんな現状を何とかできないかと考えてパソコン通信を授業に取り入れられたとか。
取組としては週27時間のうちの4時間の選択時間の中で、希望するものが行った。内容は、例えば「筋ジス者に関する新聞記事を検索して読む」「今後どのように生活していくか発表する」といったものからメールを送る、海外と通信するといったものもあったそうです。
うーん、やっぱり実際子どもに関わった話は面白いなあ。
午後は、あり!、東大の芝若先生の「パソコンと健康の問題」でした。いかん、題とかが正確ではないが・・・
これは子どもというより自分自身にかかわるな、というので熱心に聞きました。
パソコンと健康の問題ではいろんなことが言われているが、はっきりとしていることはほとんど無い。しかしまた長期の使用に関してデータが無いことも確か。光てんかんの問題も、素因を持ってる人を見つけりゃ、危険を防げそうですがほんとのところあまりよくわからない、というとこだそうです。
X線に関してはほとんど出ていない。電磁波に関してはシールド技術が進歩してきた。低周波は今「問題があのではないか」と話題になっている。
話は変わるがそういう意味で一番問題になるとしたら電気毛布である。(ヘエーーKING STONE)
視力については短期的にはそう影響があるというデータはない。しかし目の筋肉の調節機能の低下や渇きには気をつける。
なお、目についても、電磁波についても、スゥエーデンの基準をクリアした噂のCRT(ブラウン管のモニタ)は確かにいい。ただし高い。やっぱりいいものは高いし安いものはそういう点では確実に悪い。
自分の判断で使う、休むをコントロールできる状況だといいが、それができない場合は免疫力が落ちる。(しかしこりゃ何でもだろうね・・・KING STONE)
机・イスは体に合わせて。機械は取り替えられても自分の体は取り替えが効かない。
それから電気屋さんの体験談としてはビデオゲームをやりすぎるとテレビは早く痛むという話もありました。
久里浜日記6月18日 文責はKING STONEにあります。
−特殊教育による教育機器の利用−
福井大学・・・(教授だったか助教授だったか・・)
熊谷高幸
自閉症と呼ばれる子供たちには結構機械の操作を好みのってくる子がいる。
TEACHプログラムのように視覚的構造の利用(絵やシンボルのカードを利用したりとか)を生かせないか。絵カードでスケジュールを作るが、その時自分で選択させたりする。
自閉症児の自傷行為に対処するのに、これは「何をしたらいいのかがわからないのだ」と考えて、自傷行為そのものに当たるのでなく、やるべき課題がわかるようにしてあげることが大切とかなり前から言われてきている。
ちえおくれの子とパソコンで勉強していて「ちょっとマンネリだな」と思っていると、語彙の少ない子なのに、「ちがうのやろ(しよう)」などということがある。
(KING STONE・・・つまりそれを受け入れる体制をとってはるからでしょうね)
やってきて思うのは、今後は実験室で20〜30人を被験者としてやっていくという方法では何もわからないのではないか。一人一人じっくりつきあっていく必要があると思う。
(うーーん、すごい。この方も子供とつきあってはるのがよくわかります。福井大学から来られたお二人がお二人とも良かった。障害児に対する機器活用の分野については福井大学が注目株とちゃいますか)
(kingstone・確か熊谷さんは遅くとも1985年には講談社現代新書で「自閉症」という本を出されていて、「どうしたらいいか」はあまり書かれていなかったけど、「まともな本」という印象を持ちました。
私が初めてクラスに「自閉症」のお子さんがいるのを認識した時です。)
−(あり!題名忘れた・・)−
横浜リハセンター
畠山卓郎
畠山さんの講義でした。
技術者としては面白いスイッチとか音声認識とか新しい技術に注目したくなってくる。しかし実際は利用者さんにいちばん使いやすい、信頼性のある、ごくありふれた物を使うことが多い。
事故などで体が動かなくなり障害受容のできない方がいる。(それをこちらがどうこうしようというのでなく)その方が例えば野球が好きだっから「野球のビデオを一人で見られるようにしましょう」と提案する。そしてれができた時に受容ができてくる。
お医者様から「脳波に反応が出ていないので植物状態です」と言われてた人。家族が「表情があります」エンジニアが見たところ「ニコッとするなあ」
でその人が唯一少しだけ動かせる舌にふれると反応するスイッチを作った。(うーーんと、最初はどんなのから始めたんだったかな?)
現在では好きな音楽を聞くところまでいってる。
佐伯ゆたか先生の「I」と「YOU」と「THEY」をつないでいくのがメディアであ、というのからヒントを得た。環境とのコミュニケーションを助けていくのがエンジニアではないか。「犬を抱きたい」「花に水をやりたい」「風景を写真に撮りたい」
何でも機器を使えばいいというものではない。欧米で意思伝達によく使われるものに透明のアクリル版がある。それを挟んで相対し、書いてあるものへの相手の目の動きでコミュニケートする。こういった機器を使わない部分も充実していく必要があるのでは。
ある子の例。
あるねたきりで言葉の無い目と指が少しだけ動く訪問教育を受けている子にPワードを使わせた。スイッチをフィッティングすると子供は興奮してパチパチパチパチ押しまくっている。仕方ないのでそのままにしておくと30分程で落ち着いてきた。そして文を打ち始めた!!最初に「先生きらい」「授業きらい」と先生の悪口。横で見てた先生は泣かんばかりに喜んでいる。何故その子は初めてなのにそんなことができたのか・・・
親御さん。親御さんがカーテンをしめたりしようとすると、その子は「ぼくがやる」と言わんばかりに目をパチパチする。これはと思って片手でその子の手を握り、片手に長い棒を持ち、その子の手の合図でカーテンを閉めたりするようにした。他のことでも同じようにしてきた。
訪問担当の先生はある研究会の発表で目の動きでコミュニケーションをとる事例を見て、これだ、と思った。そして1年間彼の目の動きと字をマッチングさせる学習を続けてきていた。(つまりそのかかわりや指導の上にPワードがうまくのれたってわけですね)
筋ジストロフィーの人たちのコミュニケーション手段としての意思伝達装置。またパソコン通信や院内のチャットシステムの利用。例えば患者さん同士が友達であってもお互い人工呼吸器を着けてしまうと同じ部屋にいても何も会話できなくなってしまう。そこで院内でチャットできるシステムを考えた。
この映像を筋ジスの子供たちに見せると刺激が強すぎるのではないか、と心配した。しかし子供たちは見た日、いい意味で興奮した。
その映像に出て来てる人(つまり人工呼吸器をつけてチャットしている)の話だと「どんな子供だって自分の行く末はわかっている。そこで役に立ちそうなものがあればすごく喜ぶ」
(ここでKING STONEが質問しました。今学校でパソコンや通信を利用しようとすると「そういうことは家で、とか、卒業後すればいい、今は必要ない」と同僚から言われる。確かに例えば筋ジスの子でも卒業後入院した先でそのような取り組みが行われるのなら学校で教える必要もないという気もする。現状はどうでしょうか?)
やはり病院によって差がある。無理に教える必要はないが、「こんなのもあるよ」と教えておいてあげるのは必要ではないか。
最後に「横浜リハセンターではボランティア技術者の登録制度を作っていこうとしています」ということでした。まだ形はできていないとのことでしたが・・・