※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2026年02月10日

『世界インフレの謎』渡辺努著




 2022年10月20日 第1刷発行
 つまり 3 年ちょい前に書かれたもの。

2007年 サブプライムローン危機
2008年 リーマン・ショック

 それ以来、世界は低インフレ化。

 インフレもデフレも良くはないけれど、少しのインフレなら物価も上がるけれども、賃金も上昇しまあまあ良し。

低インフレの原因

1) グローバリゼーション(世界中で安いところから材料を調達し、製造費も安いところで作る。本国や一国にこだわらない)
2) 少子高齢化 → 労働力減少
3) 技術革新の頭打ちと生産性の伸びが停滞


 というわけで、各国の中央銀行は金利を下げて景気を刺激しようとした。

 なお、同時多発的な低インフレ(デフレ)化のことを「日本化(ジャパニフィケーション)と呼び、世界の中央銀行はそうならないように努力した。

 日本のデフレを少しましにしたのが安倍政権であり、金融・財政・構造改革を一度にやり、少なくとも失業率は改善した。ただし、このために円安になったということだけど、日本円の供給が増えたから円安になった、という解釈でいいんだろうか?

 ところが世界的に、現在未曾有のインフレがやってきている。ハイパーインフレではないが、ある程度急激に来ているので困っている人も増えている。

 またこの本が出版された当時(2022年)は「日本の除く世界に」だったのが、今、日本にも来ているようである。

 話は変わるけれど、円安も円高もインフレも「急激な動き」で来ると困り、ゆるやかであればある程度対応できるんだろうな。

2020年 新型コロナパンデミック

 これにより、グローバリゼーションが断ち切られ(物価が上がる)たが、すごもり(労働力供給が減る、物価は上がるが、対面サービスを避ける)により経済は停滞すると思われた。

2022年 ロシアのウクライナ侵攻。

 これにより、ロシアからのエネルギー供給がへり世界のエネルギー価格の高騰、ウクライナからの小麦供給の減少による価格の高騰。
 この戦争によってインフレになってきた?

 しかし、インフレは2021年から。

 過去のパンデミックと比較すると、スペイン風邪やペストと比べると、死者は圧倒的に少ない。そのため経済はすぐに回復すると経済の専門家は考えていた。

 しかし回復しない。需要でなく供給側の変化。労働者が戻って来ない。

 また世界的に上記の現象が「同期」する。これは情報が世界中に素早く届く、ということがある。(同期は、みなが一斉に同じ行動をすること。例えば「お米の価格が上がるだろう」という予測をみんなが知ると、少しずついつもより多めに買うと、あっという間に店からお米が無くなる、みたいな)

 なお、中央銀行の金利の上げ下げは、需要側を制御できるが、供給側は制御できない。

 また金利の上げ下げの根拠となっていた、フィリップス曲線(2007年から2020年までの米国の場合、失業率が 1 ポイント改善すると、インフレ率が 0.1ポイント上がる、という相関が比較的あてはまった)が使えなくなってきた。


 2021年から2022年5月の間には、失業率が 2 %改善する間に、インフレ率が 3〜5 %上がるようになってきた。

 つまり中央銀行が金利を上げることが、インフレ抑制に効果的とは言えなくなってきている。

 そして著者は日本に対しては「名目賃金を上げる」という提案をしておられる。

 これは2000年頃から賃金が上がらず、それで物価が上がっていけば当然困るので。

 そして「企業」も「労働者」も「賃金は上がる」と思えることが大事と。

 2026年現在、人手不足と言われ、賃金も上がってきているので実現するかな?

 なお、後ろのほうで、OECD 加盟国の、2000年から2021年までの賃金の伸び率のグラフがあります。その中でも主要国の数字を表にしてみました。
(表はクリックすると大きくなります)
2000年から2021年の賃金上昇率.png

 なんと、OECD 加盟国の中で名目賃金がマイナスの国は唯一日本のみです。

 企業が「賃金を高くしなくてもいい」と思い、またデフレだったので、なんとかなった、ということかな。

 今、物価が上がってきているので、今後はそうはいきそうにありません。

 なお、週刊文春 2・12号(2026年 2月 5日発行)に

「高市ブレーン(永濱利廣)✕インフレ研究の権威(渡辺努)『消費減税を今やるのは間違っている』」という題の記事が出ています。

 その中で、渡辺さんは

「欧州は比較的頻繁に消費税減税が行われています。最近では2020年に新型コロナの影響で、ドイツや英国などの11か国が日本の消費税にあたる付加価値税の税率を引き下げました。しかし価格転嫁率は減税分の約半分に留まったというデータがあります」

と言っておられる。しかし、半分でも少し楽になるのではないか。

 また、この記事でも賃金を上げることの重要性を言っておられる。

 もちろん、私個人で言えば年金で暮らしているので、インフレは直撃するわけだけれど、若い人が夢を見ることのできない(賃金が上がらない)世の中はより悪いと思うので、ある程度のインフレのしんどさは甘受しようと思っているのだけれど。

posted by kingstone at 17:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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