「行動的QOLに基づく支援とはどのような実践か」
高山仁志•中鹿直樹(2021)『対人援助学研究』 11, 48-59
高山仁志•中鹿直樹(2021)『対人援助学研究』 11, 48-59
を読んで。
あれれ?
先日までリンクがはっきりしていたと思うのですが、今、リンクが貼れないや。不思議?
この論文、事例がわかりやすいです。
まず「行動的QOL : 「行動的健康」へのプロアクティブな援助」で定義づけられた3段階
@「(選択性はないが)正の強化を受ける行動」を成立させる段階
A選択肢があり選択できる段階
B既存の選択肢を本人が否定できたり、本人が新たな選択肢を要求できる段階
A選択肢があり選択できる段階
B既存の選択肢を本人が否定できたり、本人が新たな選択肢を要求できる段階
「援助」支援を受ける対象者の行動を「いま、ここ」で成立させるために、これまでなかった新しい物理的・人的な環境設定(援助設定)を導入する作業
「援護」支援者が社会(環境)に向けて援助設定の定着を要請する作業
「教授」従来の指導教育(おしえる)活動などに代表される
という定義を紹介し、望月先生が「援助」を優先させるべきと述べていると。
で、この論文で、はは〜、と面白かったのが
| つまり、行動的QOLを導入した実践でまず取り組むべき重要な作業は、「正の強化を手段ではなく目的」とした、「対象者個人の行動の成立のための援助」作業といえる。 このような方針に基づいた支援は、我々が生きる社会に当たり前のようにあふれている。先述した駅の階段,赤・黄・青色で表示される信号機、蛇口をひねれば出てくる水など、ありとあらゆる社会的インフラと呼ばれるものが、正の強化を目的として行われている支援といえる。一方で,社会的インフラによって正の強化を目的とした生活を送れない人びとを、障害者を含む社会的弱者と呼ぶとも考えられる。正の強化を手段から目的へという指針は,様々な支援(援助設定,環境設定)を、広くすべての人びとも受けられるようにするという方針を示している。 |
そして行動的 QOL を上げる具体例が出てきます。
◯学生ジョブコーチの例
喫茶店業務に初めて従事する生徒(その前の例では、特別支援学校の生徒だったので、この例も特別支援学校の生徒と考えられる)に対して、学校側からは「実習期間中に適切なタイミングで自分から大きな声で挨拶ができるようになる」という希望が出ていた。
初日には黙ってしまったり、他の生徒から「聞こえない」「ちゃんとして」と叱責を受けたりした。
学生ジョブコーチは、例え小さな声でもすかさずポジティブなフィードバックを行った。求められている基準に達していなくても、ポジティブなフィードバックを繰り返した結果、「できる」が拡大した。
◯犬のトレーナーの例
散歩中に出会う子どもを避けるようになった結果、散歩自体も拒否するようになった芝犬と飼い主に対する支援。
こういう場合苦手な刺激に馴れさせる(暴露)対応が取られることがある。
最初にやってみたが芝犬がパニック様の行動を見せたので中止。
そして「芝犬が問題なく歩ける場所を探して、積極的に出かける」に方針変更。
(つまり苦手なことをやれるようになる、やらせる、というところから、君が君のままで行けるところに行こう(できる環境を見つける)へ)
最初に広いところに行ってみたが、やはり子どもの姿が見えるとパニック。
行く場所を河川敷に変え、当時 1.2mのリードだったのを、10mの長さのリードに変えた(柴犬に逃げる自由を与えた)。するとアイコンタクトや飼い主を追いかけるなど、強化で維持される行動が増えた。
ところが、飼い主さんが河川敷だと面白くないのか、「河川敷へ連れていく」ことがあまり起きなくなった。
そこで、行く場所を、川や海、山、ドッグランなど様々な場所にすることで(提案していかれたんだろうな)、柴犬とご家族の選択肢の拡大が達成された(子どもを嗅ぎに行ったり、柴犬のほうから散歩を要求することも出てきた)。
何か、すごくよくわかる気がします。
で、題名に何でオードリー若林さんが出てくるかというと、先日の
の中で、若林さんが娘さんの話をしてはりました。
昼間公園に行くと、たくさんの子供達の刺激にびびってしまい、若林さんにしがみついて離れない。
実は若林さんも、もともとは人見知りだからその気持がよくわかる。
そこで、娘さんと夜8時に公園に行くと、誰もいない公園で娘さんは活き活きと遊んだ、という話をされていました。
これも「馴れろ」ではなく、「君が君のままでできる環境を探そう」という考え方だよね。
やっぱり若林さんてすごい人だなあ、と思いました。
この回の激レアさんは、すでに Tver では見ることができなくて、 TELASA で有料だと見ることができますね。

