岸田奈美さんのこの3冊のシリーズ、全部、「私にとってどこが刺さったか」みたいなシリーズにしたいのだけど、今、とても(気持ちが)忙しくなって、部屋も無茶苦茶な状態で『国道沿いで、だいじょうぶ100回』が見当たらなかったり・・・
で、良太さんの「文字」関係のもの。
「24歳の弟は、字が書けない(はずだった、怪文書を読むまでは)」
ダウン症の弟は、字が書けない。 はずだった。 |
から始まります。
机の上に小さくちぎられた海苔がベタベタ貼られたいびつなおにぎりと、判別の難しいメモ用紙があった。
岸田さんとお母さんでなんとか解読できる文字を集めてみると
「ママ ひろみ、 ボール、 ごはん ます」 |
あれこれ考えてみたら、最近、朝ごはんが食べられていないお母さんを心配して、良太さんがおにぎりを作り、メモを書いておいたのだとわかり、お母さんが爆泣きしたと。
なんかすごいです。
他人の心配から始まっている。自分の要求からじゃない・・・
しかし、翌日またもや手紙があり、
ゲーム ドラえもん のび太のひみつ道具博物館 SD3 11月5火 生日 ゼード ミユーシアム |
と書かれており、またもや解読した結果「誕生日プレゼントにゲームが欲しい」
これは実現されたのかな?
こんなふうに字を書き始めたきっかけは
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった 』の新書判(元の大きいほう)が出版される時に、装丁の祖父江慎さんが、弟さんの字をページ番号にしようと提案して下さり、弟さんが一生懸命書かれます。(ゆっくり、ゆっくり書かれ、時には有馬温泉にカンヅメというのもやりーーの、というお話はどこだったっけな?)
そんなことがきっかけだったと。
なお、残念なことに文庫版は版の問題で無理なのか、普通の活字です。
で、その後、岸田さんは良太さんにスマートフォンが使えるようにしてあげ、LINE もできるようにしてあげました。
最初は、何か、あたってるようなあたってないようなスタンプが来た程度だったと思うけど(これもどこの話だったろうか・・・)最近の良太さんの。
岸田さんが、ぐったりしている画像を発見し、画像を引用した(ひょっとしてスクリーンショットを撮った?)うえで
「だいじょうぶ」
「奈美ちゃん泣いてる」
と良太さんが書き、岸田さんが
「弟に心配されている(なんかどんどんLINEで喋れるようになってきた)」
と書かれています。
すごいな、と思います。
「伝えたい」ことがあるからこそ「字、単語を覚える」
しかし・・・学校の授業でとっくの昔にできるようになっていても、おかしくないことだと思うのですよね。
授業のあり方さえ工夫すれば。
(ついつい余計なことまで書いてしまった)