なんか、めちゃ面白かったです。
ものすごくかいつまんで紹介するので、興味をもたれた方は、リンクから原文にあたってください。
まず、どんなお子さんだったか。
・小学校1年生
・週2回通級指導を受けていた
・本人からは「聞くことが苦手」との訴えあり
・週2回通級指導を受けていた
・本人からは「聞くことが苦手」との訴えあり
・虫のフィギュアや電車や車の玩具、組み立てブロック、ゲームで遊ぶのが好き
・他者に感謝されたり賞賛されることを非常に喜ぶ
・自分だけではなく他者が叱られることを極端に嫌がる
・些細なミスでも自分が犯すことは許せない
・他者に感謝されたり賞賛されることを非常に喜ぶ
・自分だけではなく他者が叱られることを極端に嫌がる
・些細なミスでも自分が犯すことは許せない
そして
・5歳時より、他者に対して叩く・蹴る等の暴力や暴言、物を投げたり職飛ばしたり破くなどの行動が頻発
どういう時に起きていたか
・自分の行動が自分の達成基準に満たなかったことがきっかけになる場合
・他人の行動が自分の思いと異なった場合
・状況に適合しない無理な要求をして拒否された場合
・他人の行動が自分の思いと異なった場合
・状況に適合しない無理な要求をして拒否された場合
それまでの親御さんの対応や状態
・言葉で状況を説明して説得したり、注意をしたり、理由を聞く
・抑え込んで制止
・最終的に、本児の要求を飲むことも
・これらの行動が頻繁に生起するため、賞賛されたり感謝されたりすることは極端に少ない
・抑え込んで制止
・最終的に、本児の要求を飲むことも
・これらの行動が頻繁に生起するため、賞賛されたり感謝されたりすることは極端に少ない
また
・担任では対処できないため母親が1日中つきそい
そこで方針を
・「叩く・蹴る等の暴力や暴言、物を投げたり職飛ばしたり破くなど」の低減
・自らいやな事態から逃避でき、賞賛される行動、他者から感謝されることを増やす
・自らいやな事態から逃避でき、賞賛される行動、他者から感謝されることを増やす
とします。手続きとして
@標的(困った)行動を自分自身で記録
A良い行動(適応行動)が起こった時は褒め、回数を自分自身で記録
B記録内容から「良い行動の記録」ー1/3✕「困った行動の記録」(つまり3回で1点引くイメージ)で著者が計算し、点数に応じて強化子を渡す
※記録用紙は「ムシキング成長日記」。強化子は「ムシキングカード」
A良い行動(適応行動)が起こった時は褒め、回数を自分自身で記録
B記録内容から「良い行動の記録」ー1/3✕「困った行動の記録」(つまり3回で1点引くイメージ)で著者が計算し、点数に応じて強化子を渡す
※記録用紙は「ムシキング成長日記」。強化子は「ムシキングカード」
ここまで読んで私は「自分で記録するって、めっちゃ難しいのじゃないかな?特に困った行動なんか記録するの嫌やん。そんなことだいたいやってくれるのか?」と思いました。
しかし、インフォームドコンセントのところで著者が本人にも説明し、本人が
・キレるのを減らしたい
・(この試みを)やりたい
・(この試みを)やりたい
と言ってから始めてはる。
ということはここまでの時点で、(ABA の専門家はこんな言葉は使わないかもしれないけれど)かなりの関係性を作っておられたのだな、ということがわかります。
なお強化子のムシキングカードですが、いろいろ点数があるらしく、私などややこしすぎてさっぱり頭に入ってきませんが、たぶんよく知ってる人ならびっくりするほど理路整然と、やり方が組み立てられていたのじゃないかな(ちゃんと論文には書かれています。私に理解できないだけ)
ひょっとしたら、もともと詳しい方だったのかもしれませんが、本人さんが好きだから、改めて勉強されたのかも。
なお適応行動としては「キレかけた時」に「保健室へ行く」「家へ帰ってゲームをする」など言えること(以前はそういう場合に親が本児に言っていた言葉)とし
・適応行動が起きたら「さすがだね」「がんばったね」「よくやった」という言葉をかける
・家事活動を「やって」と依頼して、あるいは自発的にやってくれたら「ありがとう」「たすかった」「うれしい」という言葉をかける
ことを親御さんに依頼している。また著者は本児には上記の言葉を他者に無理に言わせることがないように言っている(このあたりも関係性ができているのを感じる)。そして親御さんにはまた
・自己記録をつけるよう指示しない
・キレた時は危険がない限り黙って離れておくこと
・介入期間はムシキングカードを買ってあげないこと
・親も記録をすること
・キレた時は危険がない限り黙って離れておくこと
・介入期間はムシキングカードを買ってあげないこと
・親も記録をすること
をお願いしている。
で、開始したのだが、グラフを見てみると自己記録に、適応行動はたくさん記録されているが、困った行動はあまり記録されていない。母親の記録には困った行動もそれなりに記録されている。そらそうやろなあ・・・なのですが・・・
しかし、増減を繰り返しながらも困った行動は減っていっている。
また母親にお願いした記録は、最初「困った行動」が起きた時だけだったので、母親が「良かったこと」も記録したいと工夫して、記録し始められたと。
推測ですが、このことで「良いところを見る」視線になり、「さすがだね」「がんばったね」「よくやった」「ありがとう」「たすかった」「うれしい」という機会も増えたのではないかと思われます。
そして、28週目には「困った行動」はほとんど出なくなったので、母親のつきそいが終了しています。
なお6年時の母親からの報告で、これ以後、学校でも家でも「困った行動」は起きていない、と。また本児からの報告として
「あのころはキレざるを得なかった」
「もうキレないことにしたんだ」
「もうキレないことにしたんだ」
ということでした。
むつかしげな言葉を使えば、自己記録によるトークンエコノミーとレスポンスコストの併用、ということになるのかもしれませんが、意図を越えて(しかしそれは著者の関係づくりのうまさ、親御さんへの的確な指示があってのことだと思う)周囲が変容し、お子さんが変わっていった、と思われます。
また機能的アセスメントでも説明できるだろうな。
なお、かいつまんで、私の雑な言葉で紹介しているので、興味を持たれた方は、是非、本文にあたってみて下さい。