「過疎地域におけるIターンの現況と将来展望 ー海士町におけるIターン者の事例研究」
という2014年の卒業論文を手に入れたので読んでみました。
という2014年の卒業論文を手に入れたので読んでみました。
なお、海士町は有名だから、私も言及した記事はすでにいくつか書いてますね。記事末に入れます。
私は50年近く前の、不勉強な学生だったため、卒論執筆の義務も無かったので、書かず、またあまり勉強もせずに卒業してしまいました。
この論文は、先行研究・参考文献を調べ、現地調査し、関係者にインタビューして作成されています。正直、読んでてとてもうらやましいです。
冒頭、海士町の町長を4期(2002〜2018)つとめた山内道雄氏の言葉を引いています。
「『若者』『馬鹿者』『よそ者』がいれば町が動く」
なお、山内氏は2024年1月3日に亡くなっておられます。享年85歳。
山内道雄(Wikipedia)
Iターンは、結局、他地域から移住して来た、ということで「全然ターンしてないやないか」とツッコミたくなりますが、まあ過疎地の移住対策として
・地域おこし協力隊
・集落支援員
などの国の施策があるが、それ以外に
・商品開発研修生
・マルチワーカー
などを行った、と。あと、「高校の魅力化プロジェクト」として、
・AMAカフェ
・AMAワゴン
などもやり、その派生活動の中で遠方の人が海士町のことを知り、やって来たりもしている。
その結果どうなったかというと、こちらの
から人口動態を見てみると
※図はクリックすると大きくなります。
右肩下がりではあるものの、2002年(山内氏町長就任後))傾斜がゆるやかになり、年少人口はかなり頑張っている様子が見てとれます。
また、年齢別人口構成を見てみると
グラフのある2010年と2023年を比較すると、0歳〜50歳がぐっと増えていることがわかります。高校世代は島留学のせいだとしても、他の年齢も増えてます。
さて、Iターンの動機ですが、
では
1. 仕事やりがい探求派
2. 生活革新チャレンジ派
3. 悠々自適暮らし満喫派
2. 生活革新チャレンジ派
3. 悠々自適暮らし満喫派
と分類しています。
で、筆者はインタビューしていて、そのIターン動機を
1.目標としての事業、仕事
2.田舎暮らしというライフスタイル
が大きいのではないか、と考えてインタビューをしたのだが、結果として
1.パーソナルネットワーク要因(何か人の縁ができた)
人がやってくるのを待ってるだけではなく、いろいろな形で外部に紹介している。
2.目標要因(こんなことがしたい)
仕事もだけど、「つながる図書館ーコミュニティの核をめざす試み」に出てきた司書さんとか、図書館が無かった頃からいろいろ自分で(もちろん町の指示・バックアップで)作り出している。
また明確な目標を持って来る人がいることによって、町民が刺激を受ける。
3.(定住ということにこだわらず)キャリアアップのため
特に3.も大きそうだと気づいた、とのこと。
いずれにしても、モチベーションが高い人が多くなるので、活き活きとした雰囲気にはなるだろうな。
なかなか面白かったです。
2010年6月5日
2017年1月8日
こちらは採用システムのコマーシャル動画のようですが、海士町のマルチワーカーがどういうものか、というのもわかりそうです。