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2023年07月16日

『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』橘玲著




 たまたま垂水の街に出た時に、図書館に寄ってみたら返却本のところにあったので借りてきました。

 橘玲さんの本って、いろんな実例や実験結果をひいてきて、で「身も蓋も無い」結論に導く、という印象が強かったです。

 しかし 2010年に出版されたこの本では、「はじめに」の中で、残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法として

・伽藍を捨てバザールに迎え
・恐竜の尻尾の中に頭を探せ

という解決策を提言してはるところが面白いです。


 まず「勝間✕香山論争」から話を始めてはる。

 「勝間✕香山論争」というのは、例えば2008年に出た勝間さんの


に代表される「女だからといってつぶされるのじゃなく、スキルを身に着け、お金を稼ごう。幸せになろう」みたいな意見、そしてそれは一部の人に大人気であったし、今も当時はものすごくブームになっていました。

 それに対して2009年に香山さんが


の中で、「勝間和代を目指さない」と名前をあげて批判したところから論争が起こり、実際にお二人が議論した記事なんかも当時あったと思います。

 でも当時、私は「それって両立するやん」と思いながら議論を見ていました。

 またお二人自身も、2018年の「女性自身」での誌上対談で少しご意見が近づいてきたのかな。


 橘さんは2010年のこの本の中では、やはり当時は議論がすれ違っているままだったと。ただし、勝間さんの意見を、勝間さん本人は言っていないけれど「自己啓発」至上主義みたいに理解すると、すごく困ったことになるよ、みたいなところから説いていかれます。


 そして日本の場合、かつては大会社が終身雇用で、待遇としてはほんの少しの差異のために、しかしそれを重大なことと考えて昇進を願い、会社側からの理不尽な要求(突然の転勤とか)ものみ、少しずつ昇進していっていた。でもそれは(2010年現在)無理になってきている。

 で、その古い体制って、伽藍の中の「評判」、外部にはもれないもの、で成り立っていた。で、同じ評判でも現在はインターネット社会で、伽藍(大会社)の中では伽藍内だけだけど、バザールならあっという間に「評判」が広がり、その「評判」で幸せ度が違ってくる。だから無駄に伽藍を目指して疲弊するよりも、バザールを目指そうみたいな話になるのかな。



 また、「恐竜の尻尾の中に頭を探せ」というのは、アマゾンや iTune などの登場で、ブームになるものは爆発的に売れるけれど、あまり売れないかつては皆の目から消えていたものも、恐竜の長い尻尾(ロングテール)として生き残る道ができた。そのロングテールの中の、「自分がやりたい!」「これが好きだ!」というものを見つけて仕事にすれば、そんなに儲からなくても、続けていくことができるよ、みたいなことになるのかな。

 で、ロングテールの中で「大儲けしよう」と思ってやるとたいていは潰れてしまうよ、と。

 まあ結構納得できる部分がありました。



posted by kingstone at 08:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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