著者が編集者さんから「アレントをまだ一度も読んだことのない人に、そのエッセンスをわかりやすく説明する」という課題を与えられて書いたそう。
「19世紀末ヨーロッパの状況は、国民国家がほぼ完成する。特に西ヨーロッパは言語や文化を共有する「民族」がほぼその主権国家を形成する「国民」となる。」
(日本の明治時代くらい。「西ヨーロッパでは」ってことは、多「民族」国家も西ヨーロッパ以外では多かったということだろうな。また実のところ決して西ヨーロッパの国々も単一民族でもなかったろうし・・・)
「他の民族と異なるユダヤ人の特徴は、そうした国民国家の外に立つ「アウトサイダー」だったところにある。(中略)むしろ国民国家の外にあって、国家と国家の間を仲介する金融業者として発展していった。」
(まあでも当然そんな人はひとにぎりで、普通に市井にまぎれて暮らしている人が大多数だったんだろうと思うけど。でまたすぐ後ろにそのことも書かれている)
(西ヨーロッパの)国民国家の間を安定させる装置
・キリスト教文化
・ローマ・カトリック
・王室のつながり
・ユダヤ人のネットワーク
・ローマ・カトリック
・王室のつながり
・ユダヤ人のネットワーク
ところが19世紀末にこれらが瓦解し始める
帝国主義の展開(アフリカ争奪戦)
ホブソンは『帝国主義』の中で、海外植民地に対する政策がいずれは本国にも影響を及ぼして、自由主義的な政治体制を掘り崩していくと警告。
アレントはそれを受けて、これを帝国主義の「ブーメラン効果」と呼んだ。
(これ、植民地だけでなく、遠くの人や移民を収奪して自分たちが「良い」生活をしていると、それがブーメランとして戻ってきて、自分たちの暮らしを掘り崩していくんじゃなかろうか)
政治的思考において「代表する」ということについて
「それは誰か他人になろうとしたり、他人のように感じたりしようとする感情移入の問題でもなければ、頭数を数えて多数派に与することでもない。私は私でありながら、現実には私がいない場所に身を移して思考することなのである(『過去と未来の間』)」 |
(でまた、その結果を表明するんだろうけど、それは同じコミュニティーに居ると思っていた人、同じ党派だと思っていた人などからのバッシングや排斥を受けることになるという、とても厳しいものだろうな。そして実際に『エルサレムのアイヒマン』なんかアレントさんご自身がやられたことなんだろう)
実のところ、翻訳でも原典を読んだことが無いのですが、読みたくなったな。