著者は小児科専門医。現在、長野県内の複数の病院で発達専門外来診療を受け持ちつつ、本田先生のおられる信州大学医学部子どものこころの発達医学教室で特任助教。
あとがきにご自分の特性を書いておられますが、先日の子育て支援アプリについてのちょっとしたできごと、あーそーゆーことか・・・と。
臨床でお会いになる、発達障害のお子さん全般のことについて書かれています。その中で自閉症スペクトラムのお子さんに対する部分が一番分量が多いかと思いますが、具体的手立ての部分など、「なぜそうするのか」という解説もあり、どのお子さんについても役立つようになってるのじゃないかな。
先日、私の Twitter のタイムラインで、
「わかりやすく説明せよ、と言われてもわかりやすくしようとすると例えや間違ったことも入ってしまう。わかりにくい説明でしかたない時もあるのだ」
というような意見が、多く、私もおおむね賛成していました。
しかし・・・この本、わかりやすくていい!
わかりやすくても、「それは正確ではない」とかいうようなところ、感じませんでした。
特に初めて学ぶ親御さんにとって、わかりやすく、しかも文が短い。ほとんどは見開きで終わります。
章立ては
PART1 「発達障害って?」
PART2 「特性の理解と工夫」
PART3 「"視覚支援"のノウハウ」
PART4 「生活シーン別サポート例」
PART5 「園・学校生活をスムーズに」
PART2 「特性の理解と工夫」
PART3 「"視覚支援"のノウハウ」
PART4 「生活シーン別サポート例」
PART5 「園・学校生活をスムーズに」
となっています。
「どうやったらいいか」も具体的に書いてある。もちろん、やりながら、手応えによっていろいろ変えていくことは必要ですが、基本的なことは書かれています。その理由とともに。
私、1997年に自閉症児への対応を、TEACCH を中心に1年間勉強してみて、しかし具体的にどうしたらいいのか、私自身が当時の学校文化にどっぷりつかっているせいもあって、よくわかりませんでした。1泊2日のセミナーに行って、やっと少しわかって取り組めだしました。
しかし、この本だと、割とスムーズにいろいろなことを始めることができるのじゃないかな。
もちろん、「わかりやすい」「文も短い」本であっても、たぶんいろいろ真似してやってみて、でもうまくいかない、というところは出てくると思います。その時、もう一度関係ありそうなところを読むと、ちゃんと「(自分ができていなかった)キモのところ」や「気をつける点」「うまくいかない時の対応法」とかも見つけることができたりすると思います。
って、これは私自身のことなんですが、「まねしてやってみてもうまくいかない」で悩んでていて、随分後に本を読み返してみたら「なんや、ちゃんと書いてあるやん」ということはしょっちゅうですので。
(なお、もちろん「わかりやすい」「文が短い」から簡単に書かれた、というものでないこともよくわかります。どれだけ表現に気をつかい、必要なものだけ残し、どれだけ文を削られたか・・・その労力に頭が下がります)
また「オススメ おめめどうの支援グッズ」というコラムが 1P ありますが、PART3 の「"視覚支援"のノウハウ」のところは半分くらいはおめめどうの支援グッズの考え方を教えて下さっている感じになるのじゃないかな。
そして、さらに勉強されようという方は、もっと骨のある本を読むといいと思いますが、最初に読む本として、これはとてもいい本だと思いました。
性教育についてのところでお勧めに載っていたもの。
利益相反 私はおめめどうフェローです。