私の周囲の障害のあるお子さんの場合でも、歯科選びはなかなか大変、という話を聞きます。興味深い論文があったのでご紹介します。
興味のある方は、是非本文にあたってください。
「当院小児歯科における知的障害児 (者) の歯科診療に関する実態調査 2004 年度, 2009 年度および 2015 年度の比較」
秋友達哉、光畑智恵子、太刀掛銘子、新里法子、新里法子、岩本優子、達川伸行、櫻井薫、香西克之(2019)『小児歯科学雑誌』57(3):374-381
秋友達哉、光畑智恵子、太刀掛銘子、新里法子、新里法子、岩本優子、達川伸行、櫻井薫、香西克之(2019)『小児歯科学雑誌』57(3):374-381
広島大学病院小児歯科での調査。
要旨より
「対象者の 58.1% に対し、体動コントロールを行っていた。行動変容法においては、視覚支援の使用が経年的に増加していた。」
対象及び方法より
「2015 年度に来院した知的障害児(者)は 312 名(男 児 214 名,女児 98 名)であり,複数回受診した場合を 別々に数えると延べ 1,538 名であった。2004 年度(205 名 延べ 1,105 名)と比較すると増加しているが,2009 年度(315 名延べ 1,646 名)とは著変なかった。」
使用された体動コントロール及び行動変容法
体動コントロール
徒手のみによる抑制
バスタオルによる抑制
レストレイナーR️による抑制(いわゆるネット)
経口投与鎮静法
笑気吸入鎮静法
静脈内鎮静法
全身麻酔
それらのいずれも使っていない場合を体動コントロールなしとした
行動変容法
視覚支援(絵カードを使用し,順番に手 順を説明し,その順序に従い歯科治療を行うことで見通 しをたてやすくする方法)
カウント法(約束した 時間をカウントしながら歯科治療を行い,時間経過の見 通しをたてる方法)
など
カウント法(約束した 時間をカウントしながら歯科治療を行い,時間経過の見 通しをたてる方法)
など
「図 5 に体動コントロールおよび行動変容法の使用件数 を示す。体動コントロールを行った患児(者)は 2015 年度 182 名(58.1%)であり,2009 年度の 190 名(60.3 %)と著変なかった。」
図5 体動コントロールおよび行動変容法の使用
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(2004年度から2015年度にかけて視覚支援の増える割合が大きいのはよくわかります。
これ、確か2009年前後に視覚支援をすること(当時「TEACCH法など」と書かれていたと思います)保険の点数に入ったのです。たぶん前だと思うのですが。2009年はまだ始まったばかりの頃かな。
しかしまだまだ体動コントロールも多いのですが、グラフを見ると体動コントロールも増えているように見えますが、本文では「著変なし」になってますね)
これ、確か2009年前後に視覚支援をすること(当時「TEACCH法など」と書かれていたと思います)保険の点数に入ったのです。たぶん前だと思うのですが。2009年はまだ始まったばかりの頃かな。
しかしまだまだ体動コントロールも多いのですが、グラフを見ると体動コントロールも増えているように見えますが、本文では「著変なし」になってますね)
「表2 障害別体動コントロールおよび行動変容法」のうち、kingstoneが視覚支援のみを取り出した表
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(視覚支援が使われるのは、自閉症の方に対してばかりでは無いことがよくわかります)
考察より
「その後の経年的な増加の理由としては, 当科において自閉症患児(者)が多く,視覚支援を用い る機会が多かったためと考える。現在,絵カード以外の 視覚支援として,高機能自閉症の患児(者)に対しては ホワイトボードに言葉で書くことで見通しを立てる方法 なども取り入れている。PECS(Picture Exchange Com- munication System)などその他のコミュニケーションシ ステムも広まってきている今日,患児 1 人ひとりに適し た対応が重要になってくると思われる。」
(さて、これが、一般的な歯科近医にどれだけ広まってきているか、というのはまた知りたいですね)
※紙の本
※kindle版