※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2022年05月17日

『対話から始める 脱!強度行動障害』日詰正文・吉川徹・樋端佑樹編




すごくいいです。(まだ半分までしか読めてませんが)


読書メモ


まえがき(樋端佑樹)

「大事なことは彼らをがっかりさせず、世界はまんざらでもないと思ってもらうこと」

(佐々木正美先生の「この世の中がこれだけ美しいものだということを伝えたいのです」

を思い出すな)


1章 強度行動障害の背景にあるもの、予防のための工夫(吉川徹)

DSM-5 診断につながる自閉症スペクトラム症の特性

○社会的コミュニケーションの困難

○常同的反復的行動

(これ、以前の3つ組から、DSM-5で2つ組になって、どうわかりやすく説明したらいいんだろうか、と悩んでいましたが、これはわかりやすそう)

さらに根っこにあるもの(吉川による)

@人づきあいが行動の動機になりにくい

A好きなものが増えにくい

B嫌いなものが増えやすい

「これ好きだな」から「こういうの、好きだな」になかなか広がらない

(「これ好きだかな」から「こういうの、好きだな」への難しさ。めちゃくちゃわかる)

強度行動障害に見られるパターンとその予防

(1)嫌悪的記憶の蓄積(感覚の過敏さ。馴れは生じにくい)

(2)動機の不十分な活動が多い(動機が十分あることの大切さ)

活動の後、少しでもその活動が好きになっているように

(3)命令と強制されることが多い(力を使われること)

(4)人で遊ぶ

「人と遊ぶ」とは似ているが違う。大人が不快な遊びはちゃんと断る、逃げるということを続けること。ついつい受け入れがちになりやすいが」

対策 1.遊びを求める要求のコミュニケーションを身につける

   2.断られた時に、穏やかに引き下がれるようになる

(5)行動レパートリーの不足(退屈に著しく弱い)

筋の良い退屈しのぎをたくさん用意しておく

(6)報酬のための活動の不足

(なるほど・・・これが無いと、あるいはわからないと、成人後「遊び」でばかり暮らしを形づくっていかなくなり、それはたいへんと・・・確かにそうだ)

(7)カタトニア

専門の研究者によると、自閉スペクトラム症のある人の1218%にみられる[1]

[1] DeJont, H,, Bunton, P,, Hare, D.J,; A systematic review of interventions used to treat catatonic symptoms in people with autistic spectrum disorders. J Autism Dev Disord 44: 2127-2136, 2014

(ちょっと「うわっ」と思いました。そんなに多いのか・・・ただ、これもどう対応したら防げるか、を書いてはって、要するに、「強度行動障害に見られるパターンとその予防」で書かれていることが起こらないように、嫌悪的な活動を避け、動機が十分ある活動をし、命令や強制されず自らやりたくなる活動をし、ひとりであるいは人と遊べるようにし、行動レパートリーを増やし、報酬のための活動を入れていけばいいってことだよね)

予防のための資源

(1)とにかく人手を集めること

(2)子どもと対話する余力を確保する

(3)「できること」より「やりたくなること」を目指す

(4)大人になったときの暮らしをイメージする

将来の暮らしをあらかじめ決めてしまうのではなく、その子に似合う暮らし方を想像するというような向き合い方ができることが望ましい


 (なんかめちゃめちゃわかりやすくて、他の人に説明する時に使える、と思えました。メモで書き出したところも、前後に詳しく他のことも書かれていますし、他の方の部分も勉強になる(めちゃつらくなるところも・・・)ので、是非、ご購入して下さい) 

posted by kingstone at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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