※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2021年03月29日

QOL って何だろう 小林亜津子著





 2018年2月の出版。

エピソード1
何日間も海を漂流していた男性が救助された。なぜ気力を保ち続けられたか尋ねると
「サッカーの試合でベッカムを観たかったから」

エピソード2
ある高齢者の病棟で「もう長くはないでしょう」と言われていた患者の多くが、なぜか容態を持ち直し、あまつさえお昼になると目をキラキラさせていた。
実は当時の朝ドラ「おしん」の昼の再放送を観ることを楽しみにしていたから。(朝は時刻的に見れなかった)
ある日、廊下で大声が聞こえた。
「『おしん』が、もうすぐおわっちゃんだって!」
患者さんたちはみるみる衰弱し、最終回の前後に何人もの人たちが相次いで亡くなった。


「生きがい」、今で言えば「推し」って大事だよなあ、という話ですね。


カトリックの宗教的信念の生命倫理学の考え方
「SOL(Sanctity of Life、生命の神聖さ)」


愚行権、幸福追求権

 ドラマの中で篠田登志雄さんというカメラマンが「脳腫瘍を手術する(少し延命する)」か「加齢黄斑変性を手術する(視力が戻る)」かの選択で後者を選んだ。

 自分のアイデンティティ(よりどころ?)の問題かな。


 病気になったら病院へ、というのはごく最近の風潮。戦後。

 病院から地域へ・・・しかし・・・

エピソード
軽い認知症が始まっているおばあさん。糖尿病。しかしアンパンを買って食べるのが生きがい。
訪問看護師さんがパン屋さんに事情を話し、おばあさんにアンパンを売らないようにお願いした。
それがわかっておばあさんはカンカンに怒った。

問題点
 看護師さんはおばあさんの許可を得ず、個人情報をパン屋さんに伝えている。しかもおばあさんの望みとは逆の方向で。
 それだけ見ると大問題だが、おばあさんは軽い認知症と糖尿病もわずらっている。現在、地域で生活していくためには、たくさんの人との情報共有と協力が欠かせない。(2013年。オレンジプラン。地域包括ケア)

考え方のいろいろ
1.本人の望むようにするしかない。(自律尊重原則)
2.病気が悪化するようなことはさせられない。(無危害原則。善行の原則)
3.入院者ではなく生活者なのだから、何か工夫できないか。

このエピソードは、パン屋さんにお願いして、おばあさんの好きなキャラで小さめのアンパンを作ってもらい、特別なアンパンだから1週間に2度しか買えない、という着地点にもっていっている。


リナーレス事件
脳死状態で人工呼吸器につながれた息子の父、リナーレスが医師を銃で脅して人工呼吸器を外し、30分間抱き抱え、死を確認して号泣し、自首した。

ロックトインシンドローム
体が動かせず、しかし意識は清明である状態。

なお、この本の中で紹介されているロム・ホウベンさんについて。
植物状態でしかし現在は機器を使って意思表出ができるようになっている、というところまで紹介されています。
しかし検索してみたら、非常に問題のあるケースみたい。


ST(スピーチセラピスト)がFC(Facilitated Communication、ファシリテイティッドコミュニケーション)を使って、意思表出できたと主張していたのだけれど、インチキ(ただし、ST さん本人も無意識だったかもしれない)だった、ということ。

DNAR(Do Not Attenmpt Resuscitation、蘇生措置を望まない、人工呼吸器をつけない)
しかし DNAR を宣言していても、本人が倒れたたら家族が救急車を呼び、DNAR のことなど頭に浮かばないこともある。

看取り搬送。


 私のはメモだけど、読んだまとめをしておられた。



posted by kingstone at 00:58| Comment(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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