著者が群像に書いたエッセイを集めたもの。
いつものことながら面白い。
「そろそろ左派は〈経済〉を語ろう」の中で、著者がアナキストと反緊縮(つまり大きな政府)との親和性について言及したところ、「アナキズムは国家と経済を破壊する革命(だから経済に関わるわけない、というような意味の抗議だろうな)」というメールを送られてきたそう。
しかし、アナキストとして有名なデイヴィッド・グレーバー(「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」を書いた人)は緊縮財政反対論者として有名なんだって。
その章にこんなことが書いてあった。
MMT学派の経済学者たちは、(アイルランド危機のさいに)デフォルトに陥った時にアイルランド国債をアイルランドの税金の支払いに使えるようにすればいいと提案していた。しかし、アイルランド政府は何だかんだと理由をつけてこれを退けた。 |
なるほど。アイルランドはEUに加盟しているから通貨を発行できない。だから自国通貨建ての国債を発行することはできない。でも、国債で税金が払えるなら国債を買ってた人は助かるわな。(でも大企業しか持ってなさそう・・・しかしそういうところが破綻せずにすむか)
井上純一さんの漫画でも、「そもそも通貨とは税金を払うためのもの」という説明もあったな。
これ、今のコロナ禍で地方自治体(通貨は刷れない。地方債は出せる)が援助しすぎると困るんじゃないか、ということについてのヒントになるかも。
まあ、でもそれよりなにより国が給付金を出せばいいじゃん、ということになるけれど。
フランスで長く続いていた黄色ベストのデモ。
参加している人が左派とかだけでなく、ルペン派とか右翼が混じっているのがダメと言っている日本の文化人がいたそうだけど、ブレイディさんによると、そういう枠を超えて「上対下」の新パターンだったので、欧州のメディアがびっくりしたんだって。