※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2018年12月31日

映画「いろとりどりの親子」障害のあるお子さんや犯罪を犯したお子さんのいる家族や当事者






「いろとりどりの親子」2017年ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭出品
ということは撮影・編集されたのは2016年くらいかな。

ノンフィクション本 「 FAR FROM THE TREE 」はアンドリュー・ソロモンさんが、10年をかけて、様々な違いを抱える子どもとその親御さんを取材し、「家族とは何か」を考え、書き上げた。2012年にベストセラーとなり、24か国語に翻訳された。その映画化。

(本とこの映画の原題「 FAR FROM THE TREE 」は

「The apple doesn't fall fa from the tree(リンゴは木から遠いところへは落ちない)」

という諺から来ている。家族は似てるものだ、という意味。
ここに出てくるどの方も、親御さんが思っていたような子ではなく、トランスジェンダーであったり、障害があったり、法を犯したり、親御さんとは違った人となったという思いを込めた題であるとのこと)



ーーー めっちゃネタバレ ーーー
 しかし、この映画は経費(研修費)で落としていいよな。

 著者・語り手 アンドリュー・ソロモン

 男の子として生まれたが、性別違和があることに気づく。
 最初は「これではいけない」と思い、セックス・セラピーと呼ばれるものも受けてみた。
 それについて「それによって、女性への拒否感は和らいだかも。しかし自分にとって虐待だった」と述べてはった。

 親御さんにゲイであることを告げると「結婚して子どもを作ることが大事なのに」と言われ、拒否されたと感じたが、後に「受け入れよう」と努力してはったのだ、ということに気づかれる。

 現在は男性と結婚し子どもも二人だか三人だかいる。
 代理母はソロモンさんの大学の友人。みんな揃ってパーティーをしたりもする。

 結婚式場から出ていく時はピンクの戦車に乗ってはった。

「治療されることと、祝福されることの違いは何だろう」

という言葉が心に残る。



 ジェイソン・キングスレー(ダウン症のある成人さん)

 「会話も読み書きも無理だろう」とお医者様から言われたが、親御さんはあきらめず教育に取り組み、会話も読み書きもできるようになった。

 幼少期からセサミストリートなど様々な番組に出演した。

 お母さん(エミリー・パール・キングスレイ)は1994年に共著「仲間に入れてよー僕らはダウン症候群」を発表。

 そして「オランダへようこそ」(1997年)を書かれた方だって!

 現在、ジェイソンさんは44歳。グループホームで他の2人の障害ある方と暮らし、ヘルパーさんがいた。

 またラジオ局で、映画の中では郵便物を担当者に届けたりする仕事をしていた。
 ご本人が「ちょっと緊張するが、それがいい」というようなことをおっしゃってた。

 で、お母様なのだけど、「ダウン症の子を育てる母」として講演や執筆に忙しかったころが「いちばん輝いていた」と言っておられた。でもこの言葉の主語は「私は」で、ジェイソンさんでは無いだろうな。

 で、現在のことをちょっとネガティブにとってはるような気がした。

「(私無き後の)準備してきたし、共同後見人も決めたけど・・・」と

 何ていうのか・・・ジェイソンさんはこの映画を撮影した頃、「アナと雪の女王」に出てきた「エルサに本気で恋してる」とおっしゃってる。
 そして「だからノルウェーに行きたい」と。
 服は青系統で統一し、DVDを観、フィギュアを持ち、ティアラも買い、時々頭につけてる。

 う〜〜ん、私、もし外でティアラをつけてたら何か伝えるかもしれないけれど、自分の部屋でつけてはるだけなら何も言わないな。
 で、「いや外でもつける」と主張されたとしたら、「まっ、いっかあ」と思ってしまうが。
 また「ノルウェーに旅行に行きたい」「現実のエルサに会いたい(けれどもちろん会えない)」ってだけならええやん、と思ってしまうのだけど・・・



 エミリーさんは「現実とファンタジーの区別がつかない」と嘆くような口調で言われていたけれど、なんてえかファンタジーを力に生きても悪いことはないよな、と。

 そういや、エミリーさんが「サンタはいない」と言ったらジェイソンさんが「サンタはいるよ」と真剣に答えていたけど、それも特に問題とは思えないのだけど・・・

 他の友達も一緒のジェイソンさんの誕生日会でエミリーさんが彼がいつも着ているのと同じようなシャツをプレゼントしたら「もう持ってるから」と拒否され、少し憮然とした表情をどちらもがされてた・・・

「エミリーさん、すごく頑張られはりましたね。ジェイソンさんは素敵な方だし、それはお父様、お母様の努力もあってこそですね。今素晴らしいですやん」

とお伝えしたいけどなあ。


 
ジャック・オルナット(自閉症のお子さん)

 この映画の撮影の時点で13歳とのことだったと思う。
 ということは2003年くらいのお生まれかな。

 パンフによると、バージニア州アーリントンで大学教員のお母様と不動産仲介業のお父様のお子さんとして生まれる。
 2歳くらいの車で遊んでいる様子とか、残っていた短いビデオでは私には自閉症のお子さんとはわからない。

 しかし、その後「言葉を話さない」ことを案じられて、お医者様に見せたところ「自閉症」の診断を得た。

 で、何歳の頃か、お家での誕生会かクリスマス会か、パニックを起こされた映像が残っているのだが、お母様は「撮らないで!」とカメラに向かって叫んではった。お父様が撮影されていたのか。
 私にも「自閉症のお子さんだろうな」と推測できる。

 そして、ここから親御さんは以下のようなものを試される。

・音楽療法
・理学療法(って、ひょっとしてドーマン?)
・アレルギー検査
・自然療法(なんだ?)
・高圧酸素治療

パンフにはここまでだったけれど、あと映画の中で

・言語療法
・ホメオパシー

とかも出てきた。
もっとあったと思う。

そして「まったく効果は無かった」と。

お母様が何か療育じみたことをやろうとして、強烈なパンチを入れられる様子も2回にわたって出てきた。

・・・パンフにも「ジャックのストレスは溜まっていく一方だった」と書かれているけれど、本当にその通りでした。

で、11歳くらいの時かな?
あるお医者様にあまり大きな期待もせずに連れて行きはります。
そのお医者様はこんなことをされました。

(この時、少なくとも1.では身体接触は無く、対面して行われています)

1.カードの選択

1)Dr.が音声で本を朗読する。
2)本の中に「あたたかい」という言葉が出てきたら単語カードくらいの紙に「あたたかい」「つめたい」とか書いて、どっちが出てきたかを見せて選ばせる。
(この時、カードをDr.が持ったり、イスの上に3枚のカードを置いた中から選ばせたりしている)
3)するとジャックは正解を指差す。


で、こんなことを延々と繰り返す。正直、私は「めちゃ荒っぽいし、いきなりハードル上げすぎ」と思いました。

2.アルファベットを選ばせる

1)黒いボードにアルファベットをうがっている板を対面して見せ、綴りを彼に指差させる。

この時はカメラの位置からはジャックが隠れるような形でDr.が右肩側に近づいていくことがよくあったので、身体接触があるのかどうかはわかりません。

 これも割と「延々と」という感じでやってはったなあ・・・
 で、最後は彼はパニックを起こします。しかし、そこでDr.がアルファベットを指差させると「僕は頑張った」と綴ったと。
 そうかもしれない。しかし、初回に「やりすぎや」と私は正直なところ思いました。
 で、ご両親はその時の感想として、すごく嬉しそうに「もうびっくりしたわ。そしてその後、私たちもいっぱい聞きました」とおっしゃってました。

 2013年とか2014年ですよね・・・

 確か「彼が『わかってる』『伝えられる』とわかって3年だかたったとかいう言葉があったと思います。
 で、彼が文をパソコンで綴っている様子も出てきます。また何かのトーキングエイド的な物(一音一音、押したキーを読み上げ、後で単語として読み上げてくれる物)を使って文を伝えているところも出てきます。(普通のキーボードで読み上げソフトを使っていた可能性もある)お母様がそばにひっついている時はジャックの肩に手を置いています。

 また「他の人でもできる」ということで、学校の特別支援教育支援員みたいな若者が彼の肩に手を触れつつ、彼がグッズを打っている様子も出てきます。

 1か所、お母様が彼の背後にはいるのですが、セラピストさんがいて、デスクトップとして固定されたディスプレイに、単語が並んでいて、それにタッチして文を作ると見えた場面はありました。その時は身体接触は何もないようでした。

 しかし・・・ジャックの肩に触れている時は、机があっても、キーボードはその肩に触れている人が手でもっており不安定。
 なぜキーボードや、グッズを

・固定する
・自分で支える

そして他人が支援してくれようがいまいが、自分で表現したくなった時に、自分のみの力で表現できるようにしないのだろうか。そしてそれを伝えたい人に伝えられるようにしないのだろうか?
(もちろん注意喚起の方法は、私が気づかなかっただけで、身につけておられるのかもしれませんが)

 2013年から2016年、近ければ2017年の映像が映っているはずなのに・・・

 iOS でも Android でも、アメリカなら Voice4U はじめたくさんの意思伝達のグッズやアプリがあるのに・・・(日本なら日本でまたいろいろあります)

 またそれ以前の段階としてPECS的に、もっと簡単に(つまり彼にとって楽に)彼が意思表出できるようにしたいよな。

 もちろん、ご本人が「時間がかかってもパソコンで文を綴りたい」と思われているなら、それが「ひとりで」できるように協力したいですが。

 私は1995年には「アメリカにはIEPというものがある。ご本人、親御さん、教師、医師、ST、OT、PT、感覚のセラピスト(感覚統合ということではなく、なんかそんなセラピストがいると聞いていました)、教育委員会の人などが集まり、合意し、契約してやっていく」という情報を得ていました。

 で、肢体不自由養護学校時代でしたが、自分で「勝手にIEP」と名付けて、文書を作り、懇談の時に親御さんと話し合う叩き台にしたりしていました。しかしもちろん他の「専門家」の協力は得られません。

 で、アメリカでは「専門家の協力が得られるなんていいなあ」とうらやましく思っていました。

 このお母様もお父様も高等教育を受け、また貧困層ではなく、中の中から中の上のお暮らしだと思うのです。しかし上に書いたような「効果の無い方法」を次々ためし、今もちゃんとしたことを教えてもらっていないように見える。

 「専門家」は学校にも周囲にもおられないのではないか。

 例えば、彼は文で意思を伝えるということですが、周囲の方から彼に伝えるのには「音声言語しか使っていない」と見えます。そして「この子はわかるんですよ」と言う。

 象徴的なシーン。
 彼がお母様と家に帰って来ます。
 お母様は先に門扉を開けて入って行き、ジャックが続きます。
 ところが門扉が開いたまま。
 お母様は「門扉を閉めて」と言うとジャックは振り向いて門扉を閉めて玄関に向かいました。
 ここで「門扉を開けて」と指示してたらジャックはどうしていたでしょうか?
 もちろんやってみないことにはわかりませんが。
(で、私は、本当に「私って嫌なやつだな」と思いますし、「この子は言ってることはわかってるんです」とおっしゃる方のほうが「優しい」のは間違いないのだろうな・・・)

「音声言語は理解しにくいし、裏の意味とかはもっとわかりにくいのですよ」

という基本的なことを教えて下さる専門家は周囲にはいないのか・・・

もし「わかって」いたとしても、彼にものすごい努力をさせていることになると思うのですが。

 ただね・・・それ以前のお母様とジャックの関係を見ていただけに、現在、お母様とジャックの関係は、それほどひどくなく落ち着いているし、ほんと以前よりよほどいいとは思いますが。

 そして、後の方で自閉症のお子さんとお母さん5組くらいが集まってブドウ畑みたいな所にハイキングしに行っている場面がありました。別の母子も、お母様が何かの大型のグッズを支えて(でもぐらぐら動いている)、それをお子さんが打って何かを伝えている場面が出て来ました。

 たぶん、ファシリテイティッド・コミュニケーション(FC)のお仲間なんだろうなあ。

 これは私の経験したことです。


 私は、小学生くらいからは事業所のスタッフには、何事につけても「身体接触はできる限り無しで」「自分で一人でできるように環境を整える」ということを伝えています。

 小学校高学年、中学生以上の歳になって、支援者が側についていないといけないようなことは間違ってると思うし、もっともっと楽にできる方法があるだろう、と思ってしまいます。

 そして、アメリカの学校、特別支援教育において、専門家の協力というのは、ほんの一部を除いて、あまりされていないのじゃないか、と想像してしまいます。

 なんか疲れちゃったので、ここでアップします。
 全部についてはとても語れないや。

 「小人症(原因は様々らしい)」の方たちの当事者運動とか、出てきたご夫婦とか素敵だったな。








posted by kingstone at 23:52| Comment(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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