※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2018年10月01日

市場って何だろう 松井彰彦著




読書メモ

都市経済

顔の見える関係はもはや一部でしかない
誰でも受け取ってくれるモノ、貨幣の登場。
都市でモノとカネを交換する商人たちは早くから、つまり例えば年齢とか性別とかハンディの有無とかで人を差別しない行動規範を身につけた。

マイク・モラスキー編「闇市」



SMAP と小林幸子

事務所(所属型システム)からいずれも「村八分」にされた。
しかしネットシステムを利用して小林幸子は復活。
草薙、香取、稲垣もしぶとく残っている。
今後もせめぎ合いは続くだろう。
契約型システム(一回ごとに売り手と買い手が契約する)
このシステムでは一部トップスターのギャラが高騰する。
なお、かつての福祉の措置制度は所属型システムであり、施設は行政の顔ばかり見るようになる。
(まあ、それが契約になったのだが・・・)


福井のメガネ産業

藤岡陽子著「おしょりん」

増永幸八が大工増永末吉にメガネ作りを頼みに行くが、末吉は断る。しかしそこに末吉の娘ツネがいた。

小学校3年生くらいの娘ツネは黒板の文字が写せず「授業についていくのがむつかしい」ということで学校に行っていなかった。

ところが幸八が取り出したメガネをかけたところものがはっきり見えだした。視力が悪かっただけだった・・・

ということで末吉が協力し始めたところから福井のメガネ産業が発展してきたとのこと。


自由貿易と保護主義

絶対優位と比較優位(リカードが唱えた)

AさんとBさんがいて、例えば創造的能力も事務能力も、絶対的にはA>Bだとして、じゃあAが全部やればいいかというと、Bさんに事務を任せてAさんは創造に注力した方が生産性が上がる場合がある。これが比較優位。
自由貿易が良いのはこの理屈による。
(任せられるところは任せる)
ただし、個別の人生の運命は悲劇とならないように様々な配慮は必要だろうな。



「購買力平価」例:ビッグマックの値段

「要素価格均等化定理」賃金が各国近づいていく

アンガス・ディートン著 大脱出
(人類による貧困と早すぎる死からの大脱出)


政府も市場のプレーヤーである(大きいけれども1プレーヤー)

財務省のジレンマ
・財政危機だと言って財政均衡を図る
・財政危機ではないから国債を買ってね、と言う
(で、国債は売れているのだから財政危機では無い?)

正規労働者と非正規労働者の扱いをなるべく近づけるとして、

正規労働者を解雇しやすくする→アメリカ型
中途採用の労働市場が未整備のままだと労働者の立場が脆弱になる

非正規労働者の保護を手厚くする→欧州型
経済成長がないままだと若者の失業率が高くなる

経済学が打ち立てた金字塔

厚生経済学の第1基本定理

「理想的な競争市場の下では効率的な資源の配分が達成される」
 効率的な資源の配分→パレート効率性
 (でも理想的な競争市場というものが無い・・・)

厚生経済学の第2基本定理

公平性は、再分配=所得移転と市場の二つの組み合わせで回復させる
絵に描いた餅


依存症ビジネス

デイミアン・トンプソン「依存症ビジネス」
「iPhone、フラペチーノ、危険ドラッグ、お酒/フェイスブック、アングリバード、オンラインポルノ・・・/私たちは、なぜこうも「病みつき」になるのか?/もはや病気ではない。/最強最悪のビジネスモデルである。」



公か私か、それとも共か

市場の本質は価格メカニズムの有無というよりも、その分権的性質にある
東北大震災のおり、著者はもともとつきあいのあった相馬高等学校と私的に交流を始める。

・希望者を東大に招く
・東大生を連れて相馬高校に行く

など。
メディアに取り上げられると批判が起こる。
「なぜ相馬高校だけなのか」「○○高校には来てくれないのか」
以前からのつきあいであり、私的な交流であることを説明した。
しかし、つながりができれば他の高校も訪れたいと。

なかなか他の活動はうまくいかなかったが、いろいろな契機があり、後年「ふくしま高校生社会活動コンテスト」に結実し、2017年からは公的な支援も受け、自律的に動き出す。
 最初から公的な支援をあてにしていては何もできなかっただろう。





市場と依存

「なめとこ山の熊」

猟師が熊の皮を商人に買いたたかれる話。
問題は猟師が「1商人」に依存しているから。
ここには「市場」は無い。
たくさんの商人(たくさんの依存先)がいて、一番高いところに売れたらだいぶ改善されるのではないか。

熊谷晋一郎「依存先が十分に確保されて、特定の何か、誰かに依存している気がしない状態が自立だ」

相馬は二宮尊徳の直弟子が住んだ。その二宮尊徳の言葉とされるもの。
「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」

「金町学園」(葛飾区にある。聴覚障害児支援施設)

10数年前、職員の不祥事が報道された。その後、体制を一新した。
「NPO大塚クラブ金町学習塾」の取り組み


福島県いわき市 平(たいら)支援学校(肢体不自由)

ボランティア活動をしている。
「(普段は支援を)される側だが、する側にもなれる」
「障がい者とともに支援、高齢者とともに支援」
「おたがいさま」



瓜破(うりわり。難読地名)


寺尾さんの2m四方の作品には400万円の値がつく。必要経費を引いて寺尾さんのものとなる。
金沢美術工芸大学での質疑応答である学生が質問した。
「寺尾さんは毎日、同じ鉄の絵を描いていて、飽きないですか?」
「好きやから、飽きへん」
それを聞いた学生が泣き出したとか・・・


(あれ?「アトリエインカーブと、やまなみ工房、同じ人がホームページ作ってるのでは?)


売る方に注力してはる。

どんどん儲けられる人は儲けて頂いて、しかしそこに至らない、本当に絵に限らず「楽しみ」としての活動のみで、市場に出せないモノしか作り出せない方、コトしか作り出せない方でものんびりと楽しく暮らしていける制度・しくみも同時に必要だろうな。


posted by kingstone at 10:47| Comment(0) | お金・暮らし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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