そろそろ左派は<経済>を語ろう レフト3.0の政治経済学
ブレイディみかこ×松尾匡×北田暁大
ブレイディみかこ×松尾匡×北田暁大
"デモクラティック・エコノミーの概念は、経済活動に関する決定権を社会で広く分散し、人々が自らの人生に主導権を持って金銭的安定を確保できる経済を実現しようという考え方"
北田「(日本の左翼は)『大事なのは経済だけじゃない』というのが変質して、『経済は大事じゃない』ということに」
(なるほど。私も労組に入っていたことがあるけど、後年になるほど政治的な主張がほとんどで、「賃上げ」などの経済的主張が減ったりほとんど無くなったりしたもんな・・・)
松尾「経済政策で人は死ぬ」
ブレイディ「欧州での左派は『健全な成長(Healthy Growth)』を訴えるのが普通」
用語
「新自由主義政策」のバックボーンは「新古典派(ネオ・クラシカル)」
彼らの言う「成長戦略(=構造改革)」は経済の天井(供給側)を揚げて行くもの。
松尾さんの言う「経済成長」とはケインズの言う「有効需要の原理」に基づき、「総需要の引き上げにより景気を押し上げていく」こと。
同じ「経済成長」という言葉を使っても意味が違う。
新自由主義では完全雇用を仮定し、失業している人を「怠け者」「能力の低い人」と考える。
ブレアは「メリトクラシー(能力主義)の社会を作る」と主張。社会流動性を上げようとし、職業訓練にはお金を出した。しかしこれは貧困から脱出する道は示すが、貧困は無くさない。また労働者階級に対する侮蔑感情、差別感情の正当化にもつながった。
デフレ下の「規制緩和」は景気を悪くする方に働く。
注。「金融緩和」と「規制緩和」は似ているから同じようなものと誤解されがち。
(これ、まじで我々にはある。私の仕事で言えば「計画」と呼ばれるものはみんな一緒と思われがち・・・)
ブレイディさんの11歳の息子さんがお父さん(労働者階級)に「レフトとリベラルってどう違うの?」と尋ねた時の回答。
「リベラルは自由や平等や人権を訴える金持ち。レフトは自由と平等と人権を求める貧乏人」
北田さんによると
ヨーロッパの「リベラル」は経済的な自由主義
アメリカの「リベラル」はニューディール政策を推し進めた民主党の路線
いずれにしても「レフト」とは対立する
(でも、アメリカの「リベラル」は「新自由主義」の人たちからは「レフト」と見られるんじゃないかな?)
そしてニューディール政策を跡づけ理論だてたものがケインズ経済学と言える。
今まさにニューディール(金融緩和+財政出動)が必要なのではないか。
なお「リフレ派」と呼ぶのは日本だけ。
トランプやフランスのルペンの国民戦線など「ポピュリズム」と呼ばれているが、「ポピュラリズム(人気主義)」ではないか。「ポピュリズム(民衆主義)」は良いことでは?
松尾さんのちょっと悲観的な考え。
現在「完全雇用」の状態に近づいているのではないか。すると緩和マネーの効果が無くなる。本来緩和マネーが効果ある状態の時に福祉インフラの構築が必要だったのに、それができなくなる時期が近づいているのではないか。
怖いのは「オリンピック後」と「消費税増税」の時期。