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 あくまでも、私個人の意見です。

2017年12月10日

労働者階級の反乱 ブレディみかこ著




労働者階級の反乱 ブレディみかこ著
地べたから見た英国EU離脱

 著者は、日本人移民。
 夫はロンドンのイーストエンド出身。
 白人労働者階級。
 二人は20年間ブライトンにある公営住宅地に住んでいる。
 ここはサッチャー政権の時代に払い下げられた。
 住んでいるのはほとんど白人労働者階級。
 だから白人労働者階級の友達もたくさんいる。
 夫の友人で今も著者とつきあいのある人たちは、人種差別主義者、排外主義者ではない、と思って来た。

 また著者は保育士の仕事をし、その中でできた友達は移民が多い。

 2016年6月23日、EU離脱に関する国民投票が行われた。

 6月24日早朝。テレビを見ていた夫さん。

「おおおおおおっ」
「離脱する、離脱するんだ、俺たちは・・・。オー・マイ・ゴーーーーッド」

 夫さんは「離脱」に投票していたが、「離脱」するとは思っていなかったらしい。
 多くの人がそういう気持ちだったと著者は書く。

 また著者の移民友達たちは当然「残留」派で、しかし投票権は無かった。

 で、ニュースでは「白人労働者階級の人種差別主義、排外主義によりこの結果が出た」と伝えられたが、それは本当だろうか、ということで著者があれこれ調べたことをまとめ、この本は書かれた。

 まず「離脱」は「トランプ現象」と同じ流れで説明されることが多いけれど、実際は英国人には「トランプ嫌い」が多い。

 また「離脱」に大きな影響を及ぼした「離脱すればEUへの拠出金、週3億5千万ポンドをNHS(日本の健康保険みたいなもん。ただし「実行機関」も持っている)につぎ込むことができる」というのがデマだとわかって大騒ぎになっている。しかしつまりこれは「社会保障にお金をつぎこめるはずだったのに」ということで米国の「社会保障を切れ」という考え方の対極にある。

 また「離脱」派勝利直後は(「離脱」に投票した人も含めて)多くの人がうろたえたけれど、ごちゃごちゃ議論になっているうちに、「もう決まったんだからさっさと離脱しよう」という人が増えてきている。

 これわかるな。
 うんざりしてしまうもんな・・・

2017年6月
 メイ首相が選挙で盤石の体制を作ろうと思っていたのが、逆に過半数割れに追い込まれたのは、労働党のコービンがいいマニュフェストを出した、というのが大きい。「反緊縮マニュフェスト」と呼ばれた。内容は

○ブレグジットや外交政策についてはほとんど触れない
○国内政策のみに絞った
・公共インフラへの投資
・雇用創出
・医療、教育、住宅、福祉など公共サービスへの支出増大
・大学無償化
・積極財政
・鉄道、郵便の再国有化

 これにより、「あと投票日が1週間遅かったら労働党が勝った」と言われる状況になった。

第II部では白人労働者階級(全員「離脱」に投票)の人たちにインタビューしています。
ここがめちゃめちゃ面白い。
1番私的にウケた1つだけ引用。

(名前と経歴)
ジェフ(仮名)
1956年、ロンドンのレイトンストーンに生まれる。セカンダリースクールを最終学年でドロップアウト。闇の商売に手を染めた逮捕、服役。出所後、塗装業。その後リヴァプールの女性と結婚。離婚。現在は20代のタイ人の妻と2人暮らし。

(みかこ)
 まあ、配偶者ビザの話とEU離脱の話は、また別物だと思うけど・・・

(ジェフ)
「違ってやしないだろう。EUだの何だの、国の外のことばかりが大事になって、国の中を犠牲にしてきたんだ。……俺は、国境を閉ざせとか、一国で孤立しろとか言ってるわけじゃない。俺だって外国人と結婚しているし、毎年タイに行ってるし、外国人に対して偏見があるわけじゃない。タイとか行くとよ、貧しくて、上の学校に行きたいのに行けない親戚の子どもとか、いろいろいるから……。
 ああいうのは本当につらいし、世の中フェアじゃないと思う。頭もいいし、頑張り屋でいい子なのに、生まれた国や環境のせいで、制限されるのかなって。俺にとってはたいした額じゃないから、いつも金を置いてくるんだけど……、俺にはそれしかできないから・・・
 国境を開くっていうなら、ああいう子どもも、ビザだの何だの面倒なことしないでも、俺がこの国に引き取れるようにするべきだろう。どうしてEU国だけなんだよ。それも結局は、閉ざしてることに変わりないんじやないのか、EUの外の世界に向かって?」

(みかこ)
 つまり、完全に国境を開くべきだってこと? 黒か白か、みたいなどっちかしかないってこと? それはちょっと極端だと思わない?

(ジェフ)
 「だってそうだろ、友愛とか平等とかいうなら、難民、経済移民、どんな理由で来てようと、どこの国から来てようと、みんな受け入れなきや嘘だろ。ジョン・レノンみたいなこと言うなら、国境なんか無くさないと欺脈だろ。でもそうはできねえじゃないか。国の広さには限界がある。国の資源にも限界がある。だから人の勅きを制限しなきやいけない。それならそれですべての外国人に対して平等な方法で制限しないと、ジョン・レノンのいうラブ&ピースじゃないんじゃねえのか」

(みかこ)
 あれ? ジョン・レノン好きだったっけ?

(ジェフ)
「嫌いだよ。あいつは偽善者だった」




第III部ではイギリス労働者階級の100年の歴史に目を向けはります。
それはまた今度。





posted by kingstone at 12:02| Comment(0) | お金・暮らし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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