「ラックの状態で、ふたりはどうも見るべきところを見ていないように感じました。それで彼らに質問したんです。『何を見ているんですか?』と」
学生たちの答えはシンプルだった。
「ボールです、と彼らは答えたんです。そこで私は『ラックの中にボールがあるのが分かっているのになぜボールを見る必要があるんですか』と、また質問しました。学生たちが驚いた顔をしていたので、ボールがどこにあるか分かっているならば、相手のデイフェンスがどのような陣形になっているのか、それを確認した方が遥かに有益ですよと話しました。まず、練習の段階からアタックをセットアップするときは、前を見ましょうとアドバイスしました。もちろん、ボールがどこにあるかは視野の中で確認しなければいけない。しかし、ラグビーにはもっと重要なことがあるんです。そうアドバイスをしたら、納得して面白いと思ってくれたようです」
なるほどな。
放課後等デイサービスなどで子ども達がトラブルを起こすことがあります。そのトラブルばかり見ていても「次」につながらないんですよね。
この話に直接関わるような「周囲」を見ることも大事。
他の部分をどれだけ落ち着いてふだんの暮らしをすることができるか。
トラブルが飛び火しないようにどう動くか。
またこれは、ちょっと違うかもしれないですけど、トラブルの最中でも、そこ、あるいは周囲にある「光」というか「希望」を見つける。そこに向かって進んでいく。
私はトラブルが起きた時は本当に笑いながら対処していることが多いし、また他のスタッフがトラブルの解決法の相談に来た時、話終わった後「たいへん困ったことを話しているのに、なにか楽しくなってきた」と感想を述べて下さったこともあります。