暗黒物質とは何か 鈴木洋一郎著
ゴシックは引用ですが、一部敬体を常体に直してます。
「ある」のはたしかだが正体不明な暗黒物質
暗黒物質は、通常の物質(星や空気や私たちの体などを構成する原子や分子)とはまったく性質の異なる物質であることはわかっている。まったく光を発しないので見ることはできず、通常の物質とほとんど反応しないので、あらゆるものをスルスルと通り抜けてしまう。
うむ〜〜、反応しないでスルスル通り抜けてしまう・・・ニュートリノがそういう粒子だとは聞いていたけれど、それがもっと徹底してるってか・・・
しかし、後ろに出てきたけど、ニュートリノはほぼ光速だけど、暗黒物質はニュートリノに比べれば遅くて、粒子としては大きいって・・・大きいのに通り抜けることができるのか・・・
で、わけわかんないのが「暗黒エネルギー」ってやつで、
質量をエネルギーに換算した場合、宇宙の総エネルギーに占める割合。
・原子や分子でできている物質 4.9%
・暗黒物質 26.8%
・暗黒エネルギー 68.3%
暗黒エネルギーについてはこの本では説明はあまり無かったんじゃないかな。
暗黒物質については、
1.銀河団の質量を観測し計算したら、見えてる部分よりかなり重くないといけないとわかった。
2.銀河の回転が原子や分子でできた物質だけだと、中心部が速く回転し、周辺部は遅く回転するはずなのに、ほぼ同じ速さで動いてるから、見えないけれど重力源になるものがあるはずだ。
3.重力レンズがたくさん発見されたことにより、そのうちの多くは「見えない重力源」により光が曲げられてるから、暗黒物質があることは間違いなかろう、となったと。
しかし・・・そんなにたくさん、重力源になるほどあるのに見えないって・・・
ビッグバンの誕生直後は極めて高音で原子核さへ生まれることができない状態だった。しかしだんだん温度が下がり38万年後に3000℃(それで下がったんかい・・・)となって動きの鈍った電子が原子核につかまり、光がまっすぐに飛べるようになった。それを「宇宙の晴れ上がり」と言う。
で、その後、濃い部分と薄い部分ができ、星や銀河が生まれてくるのだけど、それには「ゆらぎ」が必要。しかし宇宙背景輻射の「ゆらぎ」を観測したところ、その「ゆらぎ」では足りない。100倍の「ゆらぎ」が必要。その「ゆらぎ」を作りだしたものが暗黒物質であろう、と。
しかしまあ・・・1平方cmあたり、(親指の爪くらい)毎秒10万個の暗黒物質が通り抜けているそうな。ちなみにニュートリノは9兆個だって・・・それだけの「物」が体に何の影響も与えず通り抜けてるのね・・・
それをなんとか捕まえようという実験装置がXMASS。
XMASS
で、他の宇宙線(つまり放射線)の影響を無くすために、カミオカンデと同じで地下に作ってるわけだけど、この装置のところに行くには防護服を着なければいけないんだって。これは人体の出す放射線が観測装置に影響を与えないため。
ひえーっ、ですね。
なお、先日梶田さんのノーベル賞受賞とともに話題になった重力波を検出するためのKAGRAについても少し解説されています。
KAGRA