おはようございます。
曇りです。
今にも雨が降りそう。
下着と長袖シャツを着ました。
もう半袖ポロシャツだけではちょっと寒い。
僕は
三好達治
さう、さうだ、笛の心は慰まない、如何なる歌の過剰にも、笛の心は慰まない、友よ、この笛を吹くな、この笛はもうならない。僕は、僕はもう疲れてしまつた、僕はもう、僕の歌を歌つてしまつた、この笛を吹くな、この笛はもうならない、――昨日の歌はどこへ行つたか? 追憶は帰つてこない! 春が来た、友よ、君らの歌を歌つて呉れ、君らの歌の、やさしい歌の悲哀で、僕の悲哀を慰めて呉れ。
昨日の歌はどこへ行つたか? 思出は帰つてこない! 昨日の恋はどこへ行つたか? やさしい少女は帰つてこない! 彼女はどこへ行つたか? 昨日の雲は帰つてこない! ああ、いづこの街の黄昏に、やさしい彼女の会話があるか、彼女の窓の黄昏に、いかなる会話の微笑があるか、僕は、僕はもう知らない、春が来た、友よ、君らの歌を歌つて呉れ、君らの歌の、やさしい歌の悲哀で、僕の悲哀を慰めて呉れ。
僕は今日、春浅い流れに沿つて、並樹の影を歩いたのだ、空は曇つてゐた、僕は、野景に、遠い畑や火見櫓を眺めたのだ、森の梢に鶫が光つて飛んでゐた。風に、高圧線が鳴つてゐた。それから、いろいろの悲しい憧憬れが、僕に、僕の頬に、少し泪を流したのだ、僕は、僕は疲れて帰つて来たのだ、僕はもう追憶の行衛を知らない、友よ、春が来た、君らの歌を歌つて呉れ、君らの歌の、やさしい歌の悲哀で、僕の悲哀を慰めて呉れ。
へえ。
これ、口調を改めて、削りに削ったら、J-POPの歌詞になりそう。
まあ、今、火見櫓はほとんど見かけなくなったけど・・・(というのは都会人の傲慢か?地方に行けば、まだ立ってるところはあるな。今でも使ってるのかな?)