おはようございます。
曇り?
秋の高い雲が空を覆っていて、でも明るいんだけどね。
測量船の中の「鳥語」ってのはやたら分量があるのでパス。
草の上
三好達治
★
野原に出て坐つてゐると、
私はあなたを待つてゐる。
それはさうではないのだが、
たしかな約束でもしたやうに、
私はあなたを待つてゐる。
それはさうではないのだが、
野原に出て坐つてゐると、
私はあなたを待つてゐる。
さうして日影は移るのだが――
★
かなかなはどこで啼いてゐる?
林の中で、霧の中で
ダリアは私の腰に
向日葵ひまはりは肩の上に
お寺で鐘が鳴る。
乞食が通る。
かなかなはどこで啼いてゐる?
あちらの方で、こちらの方で。
★
池のほとりの黄昏たそがれは
手ぶくろ白きひと時なり
草を藉しき
静かにもまた坐るべし
古き言葉をさぐれども
遠き心は知りがたし
我が身を惜しと思ふべく
人をかなしと言ふ勿れ
★
鵞鳥は小径を走る。
彼女の影も小径を走る。
鵞鳥は芝生を走る。
彼女の影も芝生を走る。
白い鵞鳥と彼女の影と
走る走る――走る
ああ、鵞鳥は水に身を投げる!
「あなた」が来たらいいなあ、約束もなにもしてないけど、で、ぼーっと池を眺めてる、って図かな。
なお鵞鳥(がちょう)は鴨を家禽化したものだから、当然水の上を泳げますね。だから身を投げても大丈夫。