おはようございます。
雨が降ってる音がします。
村
三好達治
恐怖に澄んだ、その眼をぱつちりと見ひらいたまま、もう鹿は死んでゐた。無口な、理窟ぽい青年のやうな顔をして、木挽小屋の軒で、夕暮の糠雨に霑(ぬ)れてゐた。(その鹿を犬が噛み殺したのだ。)藍を含むだ淡墨いろの毛なみの、大腿骨のあたりの傷が、椿の花よりも紅い。ステッキのやうな脚をのばして、尻のあたりのぽつと白い毛が水を含むで、はぢらつてゐた。
どこからか、葱の香りがひとすぢ流れてゐた。
三椏(みつまた)の花が咲き、小屋の水車が大きく廻つてゐた。
これは「8月30日(日曜日) 村(三好達治「測量船」より)」の
「村」をうけてますね。
8月30日に紹介した詩の段階では鹿は生きていたみたいだけど、
この9月1日紹介の詩で死んじゃってますね。
本当に「村」の日常だろうけどね。
都会の人間からするとちょっと怖い・・・