おはようございます。
曇りです。
村
三好達治
鹿は角に麻縄をしばられて、暗い物置小屋にいれられてゐた。何も見えないところで、その青い眼はすみ、きちんと風雅に坐つてゐた。芋が一つころがつてゐた。
そとでは桜の花が散り、山の方から、ひとすぢそれを自転車がしいていつた。
脊中を見せて、少女は藪を眺めてゐた。羽織の肩に、黒いリボンをとめて。
この鹿は生け捕りにされて、まだ生きてるわけか。
座ってるし。
三好達治の測量船の中には、結構、地方の日常生活みたいなのが出てくるけど、当時はそっちのほうが圧倒的に多い風景だったのかな?