「40歳以上はもういらない」は田原総一朗さんの対談集。
まあ刺激的な題ですが、別に題名通りではなくて、若い人たちと対談しただけの話。
第8章 新憲法で日本人の「気風」を変えよう
東浩紀(あずまひろき)もう十分に有名な方ですね。
東 2012年7月に刊行した『日本2・O』(ゲンロン)の
巻頭言で、福澤論吉の『学問のすゝめ』から言葉を引
いたのですが、福洋は日本人に必要なのは「気風の変
化」だといっています。日本は明治維新で欧米からさ
まざまな制度を導入したわけですが、結局、福澤がい
ちばん重要だと考えていたのは、市民の気持ちを変え
ることだった。
田原 明治の時代には「和魂洋才」という言葉がありました。
つまり、技術は欧米から輸入するけれど、あくまで精
神は和魂で行こう、と。こんな話ですか?
東 その「和魂洋才」という言葉は、おそらくもっとあと
になってつくられたものでしょう。明治初期に福澤が
「気風の変化」が必要といったのは、もっと単純な話で、
国をよくするために日本人はポジティブな気持ちをも
つべき、ということだったと思います。
田原 いまの日本人の「負けない≒取り戻す」という気分と、
福澤のそれはどこが違うのですか。
東 いまの日本はどちらかというと、江戸末期の武士が唱
えていたような「尊王攘夷」の方向に向かっているよ
うな気がします。「日本は神の国。だから負けない」
みたいな。一方、福澤が明治の日本人に説いたのは、
世界に対して貪欲な好奇心をもち、吸収すべきものを
吸収していくメンタリティになれ、ということだった
のでしょう。
田原 いま東さんがいわれた好奇心って、とても大事なこと
だと思う。中国や韓国とのあいだで領土問題が起きて
以降、日本全体がナショナリズムに覆われている。だ
けれど、ナショナリズムには「知らないものを知ろう、
理解しよう」という好奇心がありません。
東 そのとおりです。福澤は官学とは手を切って、民間の
啓蒙家として生きていくことを選んだ人ですが、結局、
啓蒙とは人びとの好奇心を喚起することだと思うんで
すよ。そしていまの日本で必要なのも、もっと人びと
の好奇心を剌激して「聞かれたマインド」をもたせる
ことでしょう。
で、田原さんが東さんに「その具体的な方法は?」と尋ねたら「とりあえず海外旅行」と答えはったので田原さんがびっくりしてたけど、まずはそこからかもしれない。いろんな国・人々を見て、感じて、考えていろんなことを思い始めるのかもしれないな・・・私、実は一度も海外旅行というのをしたことが無いのだけど・・・
それから「啓蒙」って言葉も怒り出す人は怒り出すなあ・・・私怒られたことある・・・
でもって、江戸時代の武士も、たぶん倒幕派の下っ端の人は真剣に「尊皇攘夷」を考えていたんだろうけど、人を動かす立場の人はどのくらい考えていたんだろう・・・江戸幕府は「しかたなしに開国」の方向に行ってたし、明治政府はあっさり「開国」に舵を切ったし・・・
なんか倒幕派の「尊皇」も「攘夷」も幕府を倒す方便ではなかったのかな。で「攘夷」だと、外に敵というか「悪者」を作るから組織をまとめやすい、ってのはあるだろうしね。またさらにまとめるために「尊皇」を使ったと。
で、確かに「貪欲な好奇心」は必要だよな。
ラベル:本
尊皇は新撰組を見れば分かるように,佐幕派も尊皇なのです。本来は「尊皇倒幕」と「尊皇佐幕」の内戦なのです。で,どちらも武器・艦船は外国から購入してますから攘夷になりようがありません。
ですから「徹底攘夷」の孝明天皇は邪魔なので暗殺されたという話も当時からあるくらいです。
>本来は「尊皇倒幕」と「尊皇佐幕」の内戦なのです
そうなんか。
私の頭の中には「尊皇攘夷」という言葉しか入っていませんが、確かに艦船は外国からの輸入ですね。
もうそこらへんの順列組み合わせがややっこしい・・・