2003年5月25日に初版。私の読んだのは2004年1月14日の再版分。
古屋安雄さんの2001年から2003年に書いた文を集めたもの。(書き下ろしもあり)
「なぜ日本においてキリスト教が広がらないのか」(日本の人口の1%。なお、1549年からしばらくで、日本の2〜3%が信徒であったそう)「伝導はどうあるべきか」という問題意識で書かれているものが多い。
著者があげる大きな問題点として、明治以来のキリスト教が「武士道と結びついたキリスト教」であったという点。内村鑑三しかり、新渡戸稲造しかり。(また今やってる大河ドラマの「八重の桜」に出て来る新島襄だってそうだわな)
つまり「立派な人の宗教」に偏りすぎてきたのではないか、と。あるいは「知識人のための宗教」(ただし、このあたりプロテスタントの話。カトリックについては、明治になってもなかなか入ってこなかった(やはり日本側に植民地化の先兵という意識がまだ強かったそう)が、入ってきてからはカトリックは「上流階級」と「下層階級」に主眼を置いたとか)
その一例が「平信徒」という言葉。牧師を「えらい人」「士族」とし、そうでない人を「平民」とするみたいなもんか。で、伝道をえらい人に任す形になっていったと。
それに対し、韓国では「民衆の宗教」として広がり、またそこから「民衆の神学」というのが出てきてるそう。(またその他、日本と韓国との比較においては、「日本では日本のナショナリズムと日本のキリスト教が対立する」形になったのに対し、特に戦前「韓国では日本のナショナリズムと韓国のキリスト教が対立(なので、韓国のナショナリズムとは一致)」とかいう指摘が、なるほど、でした)
なお賀川豊彦についても2文が割かれている。これによると「少なくとも50年前(つまり1950年頃か)のアメリカではもっとも有名な日本人であった」とのこと。
当時「最悪の貧民窟」と呼ばれていた町で幟をたてて伝道し「キチガイ」と呼ばれてたわけだけど・・・
で、伝道者としても、労働運動家としても、また生協活動家としても、有名な方だけど、今は知る人も少ないのかな・・・
宗教・布教・伝道あるいは貶めること