この時点ではまだ私の入院とか決まってない時期ですね。
私がSOWERに寄せて頂くようになって8ヶ月、唯一「怒った」方の話です。
で、そこにつなげて、その方が現在どういう取り組みをなさって下さっているかを書きます。
(ちなみに私はムカッときて「怒った」のです。ただそれだけです。「効果」なんてな〜〜んも考えてません。よく「怒ってはいけない、叱りなさい」ということを言ったり書いたりしてはる方がおられますが、私はなんと傲慢なのだろう、と思ってしまいます。他人をコントロールできると思ってはんねんな。普段、私は「上から目線」と言われてるけどね)
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ついこの間、SOWERで初めてスタッフさんに「怒った顔」「怒った声」できつく言ってしまった。また私はほんまにムカッときていた。
あるお子さん。偏りはきつく慎重な配慮が必要だと考えられた。1回目は私が担当。その時ビデオも撮影。でそれをもとに大学生の何も知らないスタッフさんに引き継ぎ。ただしそのスタッフさんが担当する時、私はついていた。でもほぼいい感じ。ところがその後、急遽別のスタッフさんに変更する必要ができた。
そのスタッフさんも、既に何人かのお子さんに対応して下さってた。で、私の研修講義「アセスメントと診断名の一般的なこと」「自閉症の特性とコミュニケーション」「自閉症の特性と自立課題学習」「自閉症の特性と問題行動とその解決」は受けて下さってた。でその上で、お子さんのビデオをお見せしながら、その方の1回目は私が教材を考え、流れを考え、またシステムに必要なものの場所もお見せした。
で、あとの準備はお任せしてたのだけど、指導に入る直前に見たら、私がきっちりカゴに入れて用意していたもの1個だけ持って来て、他の教材はノートに回答欄だけ書いたものを用意。(つまり説明を全部音声言語でするつもり)おしまいボックス(と言っても単に段ボール箱)も用意していない。
で、ここで私が必要なカゴと箱を持ってき、その方のノートを許可を得て「切って」カゴの中に分けて入れ、たぶん1分以内で準備。あとは別の場所に行かないといけないので、ついていられなくてそこをあとにしました。
そこから2時間後くらいに帰って来て、その方と顔を合わせられる5分くらいの間に、まあかなり「怒った顔」「怒った声」でなぜそうなのかを伝えました。
で、その日はしゃべる時間がその5分しかなかったので、翌日、ゆっくりとその方とそのお子さんとのやりとりはどうだったかをお聴きしました。そしたらやっぱり音声言語でやりとりしてるところはとんちんかんになっていたことが判明。そこんとこも説明。
実はその方、私が講義している時も「それはkingstoneさんとその子の人間関係がいいからでは」とか質問されてくるので(もちろんそれは初めて私の講義を聴いた方が当然もつ疑問だと思います。また私も人間関係を悪くしようとはしていない)少しやばいなあ、とは思ってました。
たぶんキモのところはわかってはらへんやろなあ、と。でも今回、そのお子さんとのやりとりでかなり「あれれ」と思うところがあったようです。
ですので、他の方のためにまた1クルーの研修をするのですが、その方にももう一度「自立課題学習(結局、見てわかる教育)」と「コミュニケーション」のところ受けて頂くことにしました。「今回のことがあったので、きっとよくわかると思いますよ」と言ったら「そう思います」と言ってはりました。
なんて言うのかな・・・講演とか聞くだけじゃなく、目の前のお子さんとの関わりで、実際に体験したことと合わせてお伝えし、実践して頂かなきゃわかんないと思うよ。結局現場で「軍曹」になる人が必要だと思うよ。
「特別支援教育担当教師が学ぶもの(あるいは「愛と青春の旅だち」)」やっぱりホーリー軍曹になる人が必要だと思う。
なお、その方、その後も私を忌避するのでなく、子どもの指導についてあれこれ報告しに来て下さってるので、いいんじゃないかな、と思ってます。
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で、その方、その次の時はこんな取り組みをして下さいました。
(注・絵は私が適当に思いだして描いてるので不正確だし、文言も違ったかも)
こういうのを用意し、授業(SOWERでは「こべつ」と呼んでいます)の最後に、この上に鉛筆を置き、このメータのどこらへんかを示してもらう。
そしたらお子さん、右から二つ目くらいの目盛りを指し示してくれたそう(^ ^)
また昨日のことです。
そのお子さんの好きな「怪傑ゾロリ」シリーズの中から、見開きにたくさんの人がいる絵の部分をコピーして用意しはりました。(なお、「怪傑ゾロリ」はたくさんのお子さんの人気シリーズです)
そしてB7くらいのカード1枚に1つの質問が書いてあります。
「かばんから出てきている人はだれでしょう」
とか
「机に座っているのはだれでしょう」(しかし・・・私、「机に座っている」という表現がみょうに気になるのですが・・・「机の前に座っている」か「イスに座っている」ではないかと・・・)
とかね。
で、お子さんがそこに○をつける。私が見ていた時、結構細かいのに、全部正解でした。
そしてさいごにB5くらいの紙の上のほうに
「では○○さんからせんせいにもんだいをだしてください」
というのを呈示しはりました。真ん中に枠でかこった空欄があります。そこにそのお子さん
「ほんをもっているのはだれでしょう」
と書いてました!!!
すんげえ・・・(といって普段どんなお子さんかがわからなければ何がどうすごいのかはわからないと思いますが・・・)
で、私すぐに理事長さんに「こんな面白いことをやってはったよ」と報告しました。そしたら理事長さんが・・・
「私がアメリカで買って来た教材・・・」と言いはります・・・???
実は理事長さん、こないだから3週間ほどアメリカの様々な施設や学校などを見学し、また教材などを買いこんで来られていたのです。(私も誘って下さったのですが、私は「地元で実践することしか興味はない。新しいことを学ぶつもりもない」とお断りしていました。でもその後、入院となったので、どっちにしても行けなかったのですが)
で、実はアメリカでいろいろ見学した時に、まったく同じ主旨の教材があり「これはいい」と買って来られていたそう。しかしまだみなさんに紹介していなかったので、理事長さんも???だったのです。
これも面白い話ですね。
遠くへ行って「最先端」「すごい」と思って学んで来たものが、実は地元でやられていた。(あるいは同時にやられていた)みたいな・・・
本当のところ、こういうことも結構あるような気がします。
もちろん、今回の場合、SOWERのスタッフさんの取り組みはまだまだ荒削りだし、「たった一人の人の実践」として消えてしまう可能性があり、アメリカの教材の場合は既に「教材」として形になっている、という違いはあります。これはTEACCHが日本に紹介された時、「そんなこと、私も地元でやってたしぃ。別にTEACCHのオリジナルちゃうしぃ」みたいなことを思われた人もたくさんいただろうなあ、ということも思い起こさせます。(でもそれでも研修システムや制度みたいなもんまで作っていったTEACCHの価値は下がらないと思います)
でもオリジナルがどこか、なんてどーでもいいことなんですよね。「俺のほうが先にやってた」とか言う必要もないし、もううまくいきゃあなんでもいい。で、私は「面白い!」と思ったら紹介するし。
しかし、SOWERでやってるスタッフさんが考え出した「面白いこと」っていろいろたくさんあります。
私ゃみなさんがそれぞれ特殊教育学会で「実践発表」としてポスター発表しはったらいいのになあ、と思ってるんですけどね。もちろん荒削りだし、それこそ「科学的な論文」になるようなものでもない。でも、面白さに満ちている。
また理事長さんは「児童デイサービスの運営」とかいうテーマで発表しはったらいいと思うし。
そういう「面白いこと」「楽しいこと」をいっぱい体験させて頂けることに、とても感謝しています。