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 あくまでも、私個人の意見です。

2012年08月22日

天地明察 冲方丁著



天地明察 冲方丁著

 文庫では上下二巻で出ています。

 渋川春海(しぶかわはるみ)(安井算哲)
 江戸時代の囲碁棋士・数学暦法家・神道家。(1639 - 1715)
 鎖国の始まった年に生まれてはります。つまり江戸がその枠組を盤石にした頃か。
 そして元禄まで長生きされた。

 800年前に日本に持ち込まれ、しかしもう、ずれてしまっていた宣明暦に対し、最初は元の時代に作られた授時暦を研究し、広めようとしますが日食を予想できず失敗。しかし、その後、研究を続け、そもそも授時暦の作られた元とは緯度が違うこと、また地球の軌道が真円ではなく楕円であること、などに気づき、独自の大和暦を作り、それが日本の暦として採用されます。初代江戸幕府天文方。

 春海が関孝和を知り、それを会津の算術家安藤に告げ、安藤が会いたいと強く願う場面。

安藤「それにしても、それほどの算術の達者にお目にかかるのであれば、
   全問に術を立てて(解いて)から伺うのが筋でしょうな」
春海「教えを請うのではなく、ですか?」
安藤「教えを請うためにです。自分なりに術を立てて持参すれば、
   教える側も、どこが間違っているか指摘しやすくなります。
   誤りを指摘されることを恐れて、何もかも拝聴するだけと
   いう態度は、かえって相手に労をかけます」

 そやねんなあ。自分なりにやってる相手でなかったら、アドバイスのしようがないというのはある。

 春海と一緒に北極出地(日本各地、いや韓国や中国の何か所かでも、北極星の高度を測る事業)をした建部昌明と伊藤重孝が春海から関孝和のことを聞いて知った時。(二人は相当の高齢)

建部「是非弟子入りしたい」
建部(?)「だいたいにして若い師というのは実によろしい」
伊藤(?)「ええ、ええ。教えの途中で、ぽっくり逝かれてしまうということがありませんから」

 で、二人がなぜ春海が関に弟子入りしないのかを問い、実は春海が算術の問題を関に出し、それが誤問であったことを白状させられ、その問題を書かされた時。

建部「うむ、見事な誤問よ」
伊藤「実にお見事な誤謬でございますな」
建部「これ、算哲。お主は実に良い学び方をしておるぞ。この誤問がそう言っておるわ」
伊藤「羨ましい限りでございますねえ。精魂を打ち込んで誤謬を為したのですからねえ」

 渋川春海の義兄、安井算知が、最初から筋書きのある上覧碁ではなく、碁打ち同士の勝負碁を城内に取り入れようとした時の意見。

「このままでは碁が死ぬ。碁は公家のお家芸とは違う。安穏たる上覧碁ばかりでは、碁の新たな手筋は生まれず、いずれ将軍様にも飽きられ、廃れて衰亡するは我ら囲碁四家ぞ」

 これは、公家のお家芸は、どの公家でも学術衰退は深刻で、それを取り繕うための神秘化や儀礼化は、公家自身が嘆くほどであったため。(こういうことって何か流派を立てたら起こりがちやなあ)

 会津藩、保科正之は徳川家光の異母弟。戦国の世を、民生を重視した世に変えようと努力した。
 玉川上水を建議。(敵軍を侵入させやすくすると反対が多かった)
 明暦の大火のおり、米蔵を民に委ね、延焼を食い止めた。そしてそれが被災者の食料支給となった。
 また復興の都市計画を立てた。
 武家諸法度を改正し「殉死追い腹の禁止」を制度として作る。
 会津藩で「社倉」を成功させた。これは収穫の一部を貯蔵し、領民に貸し与え、利息を得て増やす。(今なら銀行か?)また凶作の年には放出、また父のない家、身寄りのない老人、孝行者などを選んで支援し、年金政策・福祉政策の嚆矢となった。
 その保科正之が春海に改暦の事業をさせる。

 水戸光圀も応援する。

 しかし春海は授時暦を使っての、日食の予想に失敗。事業は頓挫。

 その後、関孝和を訪ねた時の関の言葉。

「授時暦を斬れ、渋川春海」

 これ趙州和尚の「仏に会えば仏を殺し、祖師に会えば祖師を殺し」と一緒やなあ。(理論的に合ってるかどうか、という問題もあるのだけど、権威をありがたがってるだけではいけない、という意味で)

 でその後、研究を重ね、上でも書いたように、緯度の違い、地球の公転軌道が真円でないことに気づいて、大和暦を作り出すに到るわけです。

 この天地明察、映画になり9月15日ロードショー公開なのですが、テレビなんかでは全然宣伝を見ないなあ・・・


ラベル:本 映画
posted by kingstone at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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