高尾さんの著書は、まあ「そういう見方もできる」という例であまり一般化はできないかもしれません。
しかし、とにかくずっと暮らして来て、知ったことを書いてはるので「一体験として嘘やない」とは思います。
特にこの英国での年金とか社会保障関連については1942年生まれで、今年70歳の方としては本当なんだろうな。こういうのは生まれた年、年齢などによっても感じることがすごく違いそうです。
なお、私の読んだのは単行本で、2005年発行。(たぶんいろいろずいぶん変わってると思う)
少なくとも高尾さんの経験では、英国では移住していきなり商売をしようとすると許可や場所確保のための費用が莫大にかかるのでまずは雇い主を探す方がよいと。しかもできるだけ大企業(ってそれが難しいんじゃなかろうか)。後ろの方で書いてあることには税金などちゃんと天引きで払ってくれるところが良い。(全額あなたにあげるから税金は自分で払って、というのはやめといた方が良いとのこと)でP45という就業証明書を貰う。これは転職などの時に必要になる。
4年続けて働くと「永住権」が発給される。(国家への宣誓も必要ないし、軍隊に徴兵されることもない)これを得ることができると商売を始めるのも簡単。家族がいれば、妻、子どもにも永住権がもらえる。
子どもの公立学校は無料。20年間イギリスで働き続ければ年金が支給される。(国籍は関係なし)
医療費も完全無料。
職業訓練学校は充実しているみたい。(しかし本人が就業努力をしないで仕事があるっちゅうわけではない)
外国籍でも公務員になれる。(どのレベルまでかはわからないが。少なくとも福祉事務所の事務員になってる友達がいる)
求職手当(Jobseeker's Allowance)は長期にわたって出る。4年間もらっている例も出てくる。
福祉事務所は国民番号(National Insurance Number)を持っている人が手当の申し込み(Claim 日本で言われるクレームはComplain)をする。
「俺は、きのう刑務所から出てきたばかりだ。仕事を探したって前科のある俺を雇う所なんかないよ。だから、手当をくれ」
という人も来られるとか。つい先日、大阪で通り魔殺人をした人にもこういう助けがあるなら事件を起こさずにすんだかもしれない・・・
英国は不法移民を閉め出すと何度も発表するが、実際は、来る者拒まずで、たいてい、なんだかんだと入国・滞在させ、強制送還なんかめったにない。
友人のSさんはパリの十六区に母子で住んでいる。いい地区だから動きたくない、とのこと。しかし8畳ほどの1ルームで風呂なし。高尾さんの言うことにはロンドンだったら自治体が見に来て、2寝室・居間・キチン・バス・トイレつきの家を(自治体が)探してきて、「引っ越しなさい」と通達が来るとのこと。ただし、「地区」ってのはなかなか思うようにはいかないが、とのこと。
また東ヨーロッパのEU加盟について高尾さんは「いったいどうするつもりだ」と書いてますね。「大きな荷物を背負うことになる」と。今のギリシャ問題とかと一緒か・・・(ギリシャは東ヨーロッパじゃないだろうけど)
高尾さんから見て、サッチャーは「福祉を削った」ので消費が進まなくなり、トニー・ブレアのおかげで福祉が充実し、経済が好調になったと書いていますが、そこらへんはどうなのだろう。
年金支給額は、現役時代に収入の多かった人は多いし、少ない人は少ないしと差はあるが「十分に人間としての尊厳を保って生活できる額」と書いてはる。
日本の財務省調べ。
2004年度 租税負担率と社会保障負担率を合わせた国民負担率
日本 35.5%
英国 50.2%
独 55.3%
スウェーデン 74.3%
米国 35.2%
高尾さんの若い頃、だからそれほど大きな収入ではなかった頃でも50%近い税金が引かれていたことが出てきます。また、消費税は20%くらいだっけ?ただし食料品には消費税はつかない。
英健康福祉省は「ヘヴィースモーカーが肺癌になった場合、政府の病院での治療は受け付けない」と宣言した。
2010年のロンドンの学生暴動について
ロンドン学生デモにみる、イギリス教育行政の「歪みと失敗」…イギリス底辺校は「ごくせんとは比べ物にならないほど荒れている」ほか presented by @May_roma
presented by @yoookd ・・・ロンドン学生デモにみる、イギリス教育行政の「歪みと失敗」…
2011年のイギリス暴動
ラベル:本 イギリス 英国 年金
現在の英国に徴兵制度はありません。
> 子どもの公立学校は無料。20年間イギリスで働き続ければ年金が支給される。(国籍は関係なし)
> 医療費も完全無料。
私立学校でも無料のはずです。医療費は無料ですが最低限の上にとてつもなく待たされたあげくの5分診療のため「病気にかかったら自己負担で医者にかかる」ことが肝要です。無料医療だとどうかすると診察は数ヶ月後になります。これは北欧でも同様です。
> 外国籍でも公務員になれる。(どのレベルまでかはわからないが。少なくとも福祉事務所の事務員になってる友達がいる)
これは公務員の地位と給料が低いのでなり手がいないからです。日本だって「公務員の年収は税込み300万で,シフト制なので土日は必ず休めるとは限りません」なんて状況だったら誰もならないでしょう。
> 英国は不法移民を閉め出すと何度も発表するが、実際は、来る者拒まずで、たいてい、なんだかんだと入国・滞在させ、強制送還なんかめったにない。
そんなことをしたら国が持たないからです。メイドや底辺職種は移民の仕事と相場が決まっています。不法移民を完全に閉め出したら困るのは一般国民です。移民のような低価格で誰もゴミ収集なんかしたくないのですから。
> 高尾さんから見て、サッチャーは「福祉を削った」ので消費が進まなくなり、トニー・ブレアのおかげで福祉が充実し、経済が好調になったと書いていますが、そこらへんはどうなのだろう。
ウソですね。サッチャー以前の時代,「私も働きたい」という障害者に「君たちは十分な年金がもらえるんだから働く必要なんてないんだよ」というのが英国の「障害者福祉」でした。労働党政権でまた逆戻りしてしまったのです。つまり「プライドなんか持つな」。経済はどうだか知りませんが「福祉が充実」は「上から目線の福祉が充実」です。
ポール・マッカートニーなんてかなりの例外で,ロック・ミュージシャンは成功すると英国の高税率に辟易し,海外に移住してしまいます。
|現在の英国に徴兵制度はありません
ええ。だから徴兵される心配は無い。まあこれは米国でもですね。
|私立学校でも無料のはず
えええっ!!
|「公務員の年収は税込み300万で,シフト制なので土日は必ず休めるとは限りません」
|なんて状況だったら誰もならないでしょう
いや、その条件だったら現在、応募が殺到するんじゃないかな・・・私、退職後、いくつか仕事したけどどう計算しても年収100万円ちょいだったもん。
サッチャー(保守党)
メージャー(保守党)
ブレア(労働党)
ブラウン(労働党)
と来てるわけだけど、つい先ごろ暴動があったわけで・・・「上から目線の福祉」にしても充実しているのか??
300万を12ヶ月で割ると25万円です。賞与なしで月収税込み25万円。所得税・住民税・国民年金と国民健康保険の掛け金などを差し引けば,手取りは20万と言ったところでしょう。実際には夏冬各々一ヶ月くらいの賞与支給をするでしょうから,毎月の給与は税込み21万余。手取りは17万円くらい。それでシフト制なら応募は来ませんよ。
>年収100万円ちょい
だと生活保護受けた方が良いということになります。もちろん,生活保護を受けるには,持ち家を持っていれば処分する必要があるとか自動車所有ができないとかの制限があります。しかし,年収100万円ちょいでは普通車の維持はキツイ(軽自動車だとちょっと安いですが)でしょうし,持ち家の固定資産税もなかなか厳しいでしょうからあまり変わらないような気もします。
仮に時給1,000円とすると1日8時間×20日(週休2日として月平均)×12ヶ月で192万円です。
これ、ほぼ無かったですね。
たいていは800円の交通費無し。
道路警備員とか、8時間6000円とか言ってるけど、時給換算すると500円とか・・・(前後の拘束が長かったので)
月17万円(夜勤込み)ならウハウハというところでしょうか。
(東京あたりは違うのかもしれません)
これはあるでしょうね。たとえば東京の隣の千葉県の最低賃金は748円です。実際には「時給800円」が最低ラインでしょう。これは,スーパーやコンビニ,弁当屋の昼間の時給です。道路の交通誘導はもうちょい高くて1,000円くらいです。あと,この手のはすぐくれるというのが人気になっています。
時給というのはあまり安いと働き手のモラルが下がるので,ブラック企業でもないかぎり,ちょっと人気のないものは少し高めに設定します。つまり,求人倍率を3倍くらいにしたいわけです。募集人員割れじゃどんなのが働くか分かったものじゃありませんから。
>月17万円(夜勤込み)ならウハウハというところでしょうか。
東京だとワンルームでも23区内なら3万はします(立川以西ならいきなり安くなりますが,交通費がかかるので企業がちゃんと払うかどうかに加えて,終電が早いし,自動車がないと生活できません。23区の練馬区や足立区なら自転車も必要とせず生活できますので,普通はそちらを選びます)。「家も自動車も要らない」という一人暮らしなら生活できますが,所帯を持ってまして子どもがいたら共働きでも結構厳しいです。
25年前の私の初任給はそんなものでした。田舎の養護学校だったので自動車は必須で,共済から金借りて買いました。ただ,生活物価は安かったので,それは助かりました。都市部に勤めた親と別居の同級生はかなりキツキツでした。だから,その手の女子は早く結婚しました。
今、この額の部屋、どれだけあるかなあ・・・
30年前、高田の馬場に住んでた時、4畳半・トイレなし(もちろんシャワーなし)・日はささない、めちゃきたない木造アパートで2万4000円くらいだったかな・・・