知的障害男性押さえつけ死亡 施設職員4人に略式命令 という報道について
というエントリに対してもずらいとさんがつけて下さったコメントの中に
「暴れても納められる方法」
ということが書いてあったので、私が
「私はこの方法(知識・技術)を持っていません。
暴れない環境設定をしていくほうが平和だし。」
と書き、またそれに対してコメントを返して下さいました。それをこちらに転載。
>私はこの方法(知識・技術)を持っていません。
クールダウンの部屋を作って、モニタか何かで外部監視でということでしょうね。これならすごい専門性やスキルがなくても対応できます。それを「非人間的」という保護者や当人はその施設割り要しなければいいだけの話です。
>暴れない環境設定をしていくほうが平和だし。
それは無理ではないですが危険です。「暴れない環境」で「普段、とってもおとなしい人」が何かのはずみで「暴れた」方が周囲は冷静さを失います。「あんなおとなしかった○○さんがぁ!」と偏見を植え付ける実例をたくさん知っています。
「暴れる」理由には「見通しや指示されている内容がわからない」場合と「我慢できない・暴れるということを聞くという誤学習」の場合があります。前者では「暴れない環境設定」は比較的容易ですが、後者は難易度高いです。
なんだ、カームダウンの部屋(最近はTEACCHから学んだということにしないためかクールダウンの部屋という言い方も一般的)のことですか。それなら私も知ってる、というかこういう場は施設や学校では必須でしょうね。別にモニタも必要無い場合も多いかと思いますが。
また、お家の場合は「そんな場所、作られへんし」と嘆かれる方もおられるかもしれませんが、まああの手この手で作ることも可能ですね。
学校でも「そんな部屋作られへん」と言われる方もおられるかも。しかし私自身、ダンボールのパーティションで囲った空間、カーテンで囲った空間、ベニヤ板で1.5m四方の小さな部屋、とかを教室の中で作った経験があります。また他の学校の先生がロッカーとロッカーの間の幅50cmくらいの空間を利用しておられるのを見たこともあります。
もちろん、「部屋」として確保できればそれはそれでいいと思います。
で、私の場合だと、「暴れてから利用する」のじゃなくて、「暴れる前に本人が自ら落ち着かせるためにそこへ行って落ち着く」ということができるようにしたいと思いますが。
でもって、ここからはもずらいとさんはもうよくおわかりだろうから、他の読みに来られる方のために。
カームダウンというのはカーム calm というのが「落ち着いた」という意味で calm down で「落ち着く」という意味になるのかな。
TEACCHでは昔から「カームダウンエリア(落ち着く場)が大切だよ」ということが言われていました。
これは基本的には「刺激を少なくする」ということになると思います。
もちろん「好きな物がある」「好きな物で遊べる」といったところに「暴れだす前に行く」というのもありだと思います。しかし、それはカームダウンとは少し違うものかもしれません。でも結局暴れだしたりせずに適切に行動できるならどっちでもいいんですけど。
似たものに応用行動分析で言う「タイムアウト」というのがあります。これは私のかつての解釈では「ここで困った行動をするお前は出て行け(つまり廊下で立ってろ、とか、悪いことするなら押入れに入れるぞ、とか)みたいなものだと思っていました。で応用行動分析の用語としての「罰」ではなく一般的な用語としての「罪と罰」の意味での罰だと思っていました。
そうしたら「罰とか嫌悪刺激を与えることについて はじめての応用行動分析」のエントリにも書きましたが
の中に
「タイムアウトとは一定期間強化を与えないようにすること。『正の強化子のタイムアウト』の略」
という記述があって、目からウロコでした。ただそれだけのことなんですね。
また、「罰」についても(たぶん「周囲の人にとって困った」という前提があるのだと思うけど)「ある行動を少なくするもの」という定義なわけです。
これ、かつて(15年くらい前)私の地域にいた、応用行動分析に批判的な人でも、応用行動分析をいいと思ってる人でも、ここまでの理解、無かったんじゃないかな。もちろん私にもそこまでの理解はありませんでした。でもこの本、1992年に出てるんだよね。
いやはや。
まあ、ちょっと話が横道にそれましたが、自閉症の方にはカームダウンの場所は必須だろう、という話でした。
こちらは実際に段ボールで作ったもの。
カームダウンの場所を作ってみた