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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年09月17日

コミュニケーションブックから手差しへ 2000年11月

 おお、ブログにPDFファイルへのリンクを貼ることができるかな?とやってみたらできました。

 これは2000年11月だったかにATACで発表したものをA4用紙1枚分にまとめたものです。実践動画の「自閉症のお子さんの表現コミュニケーションの獲得」を流し、あと知り合いの先生に場面をコントというか寸劇をしてもらいながら説明しました。

 もし学校の先生などに見て頂く時は利用できるのじゃないかな、と思って置いておきます。

 題名は「コミュニケーションブックから手差しへ」

tesasi.pdf




以下にテキストも載せておきます。


          コミュニケーションブックから手さしへ
                              kingstone

 C君は自閉症です。表出の音声言語はありません。隅で座っていてね、とイスを用意するといつまでも座っていたりします。そして自らこちらに働きかけてきたり、表現したりすることのたいへん少ないお子さんでした。しかし不機嫌そうな顔をしていることが多く、また時々苛々して机を叩いたりすることもありました。

 小学部の5年生の2学期から学年をあげて「わかって一人で移動できる」「わかって一人で作業したり学習したりできる」という取り組みを始めました。しかしある朝登校してきたC君は何かに苛立ち、机をどんどん叩きました。それを見ていた私は学年のみんなに「何かC君に表現してもらうようにできないかんで」と話をしました。

 まず、取り組んだのは「一人で学習」の時間が終わった時に好きなプリントをやりたいと写真で要求することでした。「プリントの写真」と「教室へカード」を並べて貼っておき、「写真」を私のところへ持って来たらさせてあげる、というものです。最初は写真を手にとらせてあげて、プリントをさせてあげました。でも、一人で選ばせると何のことかわからずに今までの習慣で「教室へカード」を取ってしまうこともあります。

 そういう時は、「じゃあ教室ね」とプリントをやりたそうに見つめ、納得いかない表情のC君を軽く押して教室まで帰したりしました。

 結局2か月かかって、C君は写真を持って来れば好きなプリントをやらせて貰えるのだ、とわかったようでした。

 その頃、カードで表現できるようにと、トイレの写真とかも腰につけたりしていましたが、ほとんど使ってはくれませんでした。

 11月に担任のAさんとこそばしっこ(くすぐりっこ)をしてすごく楽しそうに遊んでいるのを見かけました。ちょうどネットワーク上で、南山城養護学校のO氏の「こそばして」「やめて」を紙に描き、それを子どもに選択させてこそばしあいをして面白かったという実践を読んでいました。私はその場で「こそばして」「ギュッ(両耳をはさむ)して」「やめて」とカードに描きました(図参照)

 するとAさんはすごく嫌そうな顔をして「何をしているんですか」と尋ねます。彼女に言わせると「遊びというのは出会った二人が自然な気持ちの中でやるもので、カードなんかを使うもんじゃない」ということです。私も説得の言葉は無く「いやーー、頼むからいっぺんやらせて」とお願いしました。

 やってみると大成功で、C君はニコニコしながら何度も何度もいろんな人に要求しに行くようになりました。そしてAさんは学期末の通知簿に「カードで心を通わす喜びを知り・・・」とかとても大げさな下書きを書いてきました。私は「カードで遊べました」くらいにしておき、と書き直させましたが、とても嬉しかったです。

 この取り組みのあたりから、C君はカードをどんどん使おうという意欲が出てきたようです。この頃からトイレに行きたい時に、トイレの写真を指さすようになりました。今までは彼が何をしたいかわからず連れ戻されたりもしていた時に、写真で「僕はトイレに行きたい」と伝えることができるようになったわけです。

 そして腰にパンツのゴムでカードを取り付けていたのから、ウェストポーチに手帳(コミュニケーションブック)を入れるようにバージョンアップしていきました。この頃、保護者から「指さしが増えた」と報告を受けています。

 さてプリントをするのも写真で要求できるようになったのですが、写真を私を見ずにあっち向いてほい状態で示します。こちらが見ていようと見ていまいとお構いなしでした。そこで肩をとんとんして相手に注意を向けて貰うことを教えようと試みました。

 私が一人で指導する時は彼の手をとって私の肩をとんとんさせたり、人手がある時は後ろからそっと近づいてその人に手をとってもらい私の肩をとんとんさせたりしました。これは2週間くらいで覚えてくれました。そして直接このせいかどうかはわからないのですが、目がよく合うようになり、また他に用事がある時に腕をこちらに伸ばして合図することが見られるようになりました。

 年度が代わった頃、トイレに行く時にコミュニケーションブックを指ささないことが多くなりました。そして彼が部屋から出て行こうとした時に「どこへ行くの?」と呼び止めるとトイレの方に腕を伸ばして指さします。びっくりしました。普通だと「指さし」があってから「カード」を使ったり、ということになりそうに思っていましたが、逆の流れもあるのだなあ、と思いました。

 そして6年生の授業参観の時に他の保護者からの「あっ、C君が笑っている。初めて見た」という言葉は、たいへん嬉しいものでした。

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