いくら文で伝えても、話して伝えても、わかりませんもんね。
私が実際にやっていた実践の昔の映像を出すカテゴリです。
その映像のどこがどうだかも説明を書きたいと思います。
できる限り本人からの許可・親御さんからの許可を取っています。
事情で本人から取れなかったものもありますが・・・
大昔の、今となっては時代遅れの授業かもしれません。
それから動画のタイトルには「自閉症のお子さんとの」とつけています。
実際、1997年の4月頃から私は猛然と「自閉症」について勉強していきます。
知的障害特別支援学校に異動してきた時、「自閉症」と診断されているお子さんはすごく少なかったのです。またされていても誰もそんもの知らないという状態であったかもしれません。ある特別支援教育で1年間内地留学に行って来られた先生に「◯◯君って自閉症やろか?」と尋ねたら「さあ〜〜」という答えが返ってきました。今ふりかえってみるとそのお子さんは典型的な自閉症でした。
つまり、当時のその学校の教師にとって自閉症かどうかなんてどうでもいいことだったのですね。「障害なんかで人を見ないのだ!」ということでしょうか。で「みんな同じだからみんな同じ方法で教育しよう」ということでしょうか。
しかし、その少数の自閉症と診断されているお子さんはかなりの「問題行動」を起こしていました。そしてそれを「押さえる」ためには威嚇と暴力しか無い、みたいな・・・
でも知的障害特別支援学校に異動してきて1年目は、導入したばかりのパソコン利用の責任者にされ、そちらの実践、情報収集、子どもたちにパソコンを使ってもらう研修のリーダー、先生方への指導、報告のまとめなどに忙殺され、まともに自閉症のことを勉強する時間が無かったのです。(言い訳です)
そして2年目。1997年4月から自閉症について猛然と勉強し始めます。大阪や京都で「自閉症・・・」と名のついた講演会に参加・とにかく「自閉症」と名のついた本をかたっぱしから読んでいく。授業でいろいろやってみる。そして9月の特殊教育学会・10月のTEACCHの2日間セミナーへと続いていきます。
そしてそこまでして自閉症というもの、認知の障害を中心とした脳の障害ということがわかってくると、その特別支援学校の少なくとも半分は自閉症または類するコミュニケーション障害のお子さんだと言っていいんじゃないか、と思えだしました。そして自閉症の特性にあった関わりがされていないために校内に多くの「問題」が起こっている。それを抑えこむためには威嚇と暴力が必要、そういう流れになっているようでした。
しかし、例えば私が「◯◯君は自閉症だね」と言うと優しくよく勉強された先生が「いや知的に重いと自閉症と同じような行動するし」とおっしゃいます(追記。「なんてこと言うの!」という思いを押し殺しつつ少し非難めいた口調で)。これね・・・自閉症っていうのは「あんな行動」「こんな行動」「そんな行動」とかがたくさんある。そういう人のことを「自閉症」というくくりで呼ぶだけの話だから「同じような行動」をしてる人は自閉症と言っていいし、また「自閉症の人とのやりとりのために」開発された方法がそうでない人にも役に立つのですが。またこの時代は「自閉症という言葉は使ってはいけない(相手に絶望のみ与えるから)」という時代であったことも大きいと思います。
でもね、私はある程度徹底的に自閉症について勉強した。するとA君BさんC君は自閉症だとわかった。だから自閉症の人とのやりとりに有効と思われる「目でみてわかるもの」をいろいろ使って伝え、目で見てわかる表現手段や、それらの助けを借りた表現手段のの獲得を目指した。また課題学習などを取り入れて行った。
で、どうなふうにA君BさんC君たちとつきあえるようになっていったか、と言うと本当にいろんなやりとりができ、こちらも相手に伝えることができ、彼らからもこちらに伝えることができ、平穏無事に落ち着いて暮らせるようになりました。すると別にA君はA君だし、BさんはBさんだし、C君はC君だし、こちらは、なあんも「自閉症のA君」なんて考えません。それこそそんな診断名なんて消えてしまうのです。
しかし、それでも小トラブルは起こります。その時は「あA君は自閉症だった。自閉症の特性は◯◯で、A君個人の特性は△△で、だからこう対応してみようか」と考えてやってみます。で、トラブルが解消されればもとの平穏な生活に戻り、また自閉症なんて言葉忘れてるし、またトラブルが起こればまた自閉症ということを思い出すし、とそんな感じです。
最終的には「自閉症」とつきあっているのではなく「A君」とつきあっている。当たり前のことですが。
吉田友子Dr.の講演会での言葉。
「『この子を人間としてみて欲しい。障害なんかで見て欲しくない』それはよくわかり、美しい言葉です。しかし教師の不勉強の言い訳にはして欲しくありません」
で、私は3年以上ネタキリ期間があって最近の動向にはうといのですが、やはり今も「自閉症」という診断名(あるいは広汎性発達障害・アスペルガー症候群・高機能自閉症・ADHD・注意欠陥多動性障害・発達障害)を受け、しかしどうしたらいいのか困っておられる方は多いようです。
で、今、実践動画を公開するにあたって「自閉症」と名前をつけておくほうが検索で探している方に役に立つのではないか、と思いました。そして映っているご本人・親御さんにもこの題名をつけることに許可を取りました。(って全員に、判然と取れたわけではないのですが)
そんな動画です。
ラベル:特別支援教育 支援 動画 自閉症