※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年04月30日

中間管理職育成講座初級編 第16回,第17回最終講

 これは1996年(15年前)に書かれた文です。

マチート 中間管理職育成講座16


Gさんへ

いつでも,どんなコメントでもつけてくださいね.静かな聴講は居心地悪いです.ただ,私の話しは「下手=難しい」と評判がたっており,質問がなかなか出ないのです.一説には,人望が無いため人が近寄らない(FEDHANで広岡達郎化している?)という噂も出ております.さてさて,講座13へのコメントありがとうございます.中間管理職育成講座という性格上,個人の資質には立ち入らず,職場の仕組みや業務体制,研修・教育システムに話題を収縮しますので,こんな流れになってしまいました.時間の使い方については,次回の講座から具体的に触れたいと考えております.

□ 誤りの訂正

本講座は,骨子だけを決めて,後は自由奔放(勢いだけ)にしゃべりまくっているわけですから,けっこうミスがあります.特に,前回の講座のミスは大きかった大きかった.掃除時間のトラブルを扱っている事例なのに,日課の洗い出しに「掃除」が入っていません.

7) 掃除

を付け加えさせてください.結果的に,掃除という日課は,特定の場所を設定するわけにはいきませんから,教室のレイアウト決定には影響のないものですね.

□ 個人的に好みの教室レイアウト

廊 下
+======+= +--------------------------------------+======+ +=
| +---+ +----+■+----++----+ □□□□ +---+|
| ○|事 | | |■| || | 教材棚 |事 ||
| |務 | +----+■+----++----+ ○|務 ||
|| +---+ ○ ■ ○ ○ +---+ +---+|
|| ■ ○| | |
||黒 (2) +---+ |
|| □□□□ |
||板 +---+---+ |
|| ○| | |○ |
|| +---+---+ |□□□□ +--------□■■ |
| ○| | |○ | □ |
| +---+---+ | □ (4) |
|○○ | (6) □ |
| ○ (1) | □ シンク ■ |
|○ ○ |□□□ □ (5) ■ |
+------------------------------------------------------====== +-+
ベ ラ ン ダ

結局,スペース的にこれくらいがベストに近いのではないでしょうか.

まず,いくら人数が少ないからといって,教室内で毎日体操を行うのは止めにしたいですね.学級マネージメントの視点(余計な用具でスペースが食われる,動き回る空間と動かない空間は一番明確に区別しなくちゃ) からも, 統合化(何から何まで特学自己完結は良くない)からも問題しか出てきません.外,体育館,空き教室,代替地の候補はいくらでもありますしね.

次に,1対1の活動と集団の活動の場の区別です.(1)が集団,(2)が個別です.ヒロシくんは,個別の時間は好みのようですから,出入口のそばでかまいません.

そしてもっとも大切な,自由時間に過ごす場所の設定です.(6) は,出入口から遠い場所にしました.ここに一人ひとりの好きな休憩用具を集めておけば,どんな多動な子でも,1週間でその中で過ごすことを覚えます(最初は少々強引に規制をかける必要があるかもね).学級マネージメントとしての物理的構造化の成否は,この区画の工夫にかかっているといっても過言ではありません.

最後に,先生の事務机を置く場所です.2つの出入口があるのですから,その前に構えるしかありませんね.ヒロシくんの教室と比較してください.エライ違いでしょ.でも,さほど独創的ではありません.「自閉症療育ハンドブック」「自閉症のトータルケア」の2つのテキストの解説に準じただけですもの.

□ 次回へ向けて

先日,山間の児童数4人の分校がテレビで紹介されていました.その学校では,高学年1クラス,低学年1クラス(うまい具合に2人ずつ別れていた)で運営されていました.笑ってしまったのは,たった2つの児童机が黒板に向けられ,先生がその前の教壇に立って(黒板を背にして)授業をしていたことです.子どもは学年が違うので,カリキュラムがまったく別なのですよ.業務・工程分析から物理的レイアウトを考えるというマネージメントの基本はどうなっているのでしょう.これは,まさに中間管理職の責任です.笑えない方,さっそく業務・工程分析を開始いたしましょう.

次回は,マネージメントのもうひとつの柱,個別スケジュールの宿題発表です.


マチート TEACCHとロバースなどなど



Hさんへ

「戦略と戦術の違い」 とは簡潔ですね.TEACCHと行動療法(応用行動分析) の比較だとだと確かにそうですね.でも,TEACCHとロバタリアンだと, ずれる部分も多いですが,戦略同士で比較可能なのかも知れません.問題は, ロバースが,自分たちの実践成果を「ロバース療法」ではなく,「行動療法」のせいに(?)しているためなのかもね.

Iさんへ

私の「問題行動の対処法マニュアル」 は,行動療法の亜流でしょう.きっと.
マニュアルを最初に作ったときは,

1) 行動療法の問題行動対処法の手法を専門用語を使わずに解説する
2) 結果事象の操作ではなく先行事象の操作に力を注ぐ

以上の課題を自分に課して書き始めたわけです. さらに,最新バージョン(最近バージョンアップしてない)は,

3) 「見えない病」に出てくる行動療法家がカッコイイ(模造紙療法?)
4) オニールの本の出来が非常に良かった(パクってみたい)
5) 問題行動の対処に関する勉強会の資料を作らなくてはならなかった
6) 行動療法の枠組みの一番端っこに立ってどんな文章が書けるか楽しんだ

こんないかがわしい(自分では実用的には非常に役立つと思っていますが) 代物をエッセンスなんて誉めてくれるのは, Iさんとあと数人しかいません.

ちなみに, 連載中の中間管理職育成講座は,マニュアルのバージョンアップの準備段階として, 行動療法の枠の外で(TEACCHの枠とも違うでしょ)遊んでいます.

Jさんへ

文献を調べてIさんの宿題に答えようと思っていたところに, すばらしいレスを入れていただいたので, 私はパスします.たった1年なのですが,心理療法の世界と離れると, なんかずいぶん昔のことのように思えてしまうのは不思議不思議.

Dさんへ

Kさんに,勝手にTEACCH推進派とレッテルを貼られてしまったので(そんなつもりはないのに),TEACCHの素晴らしいところを付け加えましょう. TEACCHの素晴らしいところは,自閉症の子どもや成人に対する州レベル(教育も福祉も) の効果的な事業を,行政に提案し予算とシステムリーダーの座を勝ち得たことですね. どんなプレゼンンテーションをしたのだろうか? 行動療法は,「物事の捕らえかた」(Jさんのパクリ)に過ぎませんから,行政を納得させる(税金を使わせてもらえる)仕組みを企画するには,何の役にもたちません.

Dさん. 先ほど本屋さんですごいものを見つけてしまいました.正確な名前は忘れてしまいましたが,1,000程のホームページをミシュラン方式で採点する雑誌の「Education」部門で天狼さんのホームページが紹介されていました.それも,めでたく☆5つです.寸評も,誉める誉める.スゴイ!

Lさんへ

府中のセミナーお待ちしていたのに, 残念でしたね.さて,TEACCHのホームページの紹介ありがとうございます. 先日,久々自宅のおんぼろマシンで覗きに行きました. すでに255番でした.もしかして,230番以降はほとんど日本人だったりして(クニさんのところからひとっとび出来ますものね).それから, 私のつたない文章をホームページに紹介していただきありがとうございます. 先日,普通の会社に勤めた大学時代の友人から,

「おまえの文章がインターネットにあるぞ」

と電話で言われて,あわててのぞきに行きました.ついでに, FEDHAN活躍のみなさまのホームページもちょっとのぞきましたが,本当に楽しそうですね.しばらく,いかに我慢するかでうなされそうです.


マチート 中間管理職育成講座17


□ おさらい

この講座は, レベル1の職場でトラブルを解決するために,「見方」をいかに共通化するかについて, 説明しているところです.そして,現在,トラブルの内容を伝達するために用いられた「キーワード」 が,実態を反映しないだけでなく, 解決の妨害にすらなることを架空のヒロシくんの事例を用いて解説しております.

ヒロシくんの事例では, 担任が「子どもを変化させる」,特に「言語能力の発達」 に強い関心・興味をもっているため,トラブルを多方面からバランスよく分析できなくなっています. 中間管理職であるあなたは,バランスを取り戻すための何らかの仕組みを考えなくてはなりません. 現在,この仕組み作りの準備段階として,あなた自身でトラブルを整理しているのです.

まず, 気になったのは教室マネージメントの手法です. 「物理的構造化」 と「個別スケジュール」 の基本がヒロシくんの教室には皆無です.「物理的構造化」に関しては,前回の講座で絵を描きました.

Aさんへ

小規模校の事情を解説していただきありがとうございます. 学年が違っても同一カリキュラムがあるのですか. でも,たったふたりの生徒に対して,先生が立って大きな声で授業はしなくてもいいですよね. 集団授業用に,机3つの島を作り, 小さなホワイトボードやノートを使っての授業の方が自然な気がします.

業務・工程分析に関しては, 一般用語だと思って軽い気持ちで書きました.正確な定義は, 今度図書館に行く機会があったら見つけてきますね.製造やサービスなどの事業所では, ある仕事をいろんな要素単位に分析し,効率的な物理レイアウトや作業の流れを作ります. マクドナルドのシステムなんて,この業務・工程分析の一つの成果ですよね. また,多くの工場では,業務内容の変化やリストラの進行に伴い,組織図や部門がしょっちゅう変更されます.これも,業務・工程分析の成果(? )でしょうか.課題分析に似ているが(というより課題分析が真似たのだが),スケールがでかいのと,組織・コスト・設備・効率・安全などいろんな分析の視点があるのが差でしょうか.私の宿題です.

□ みんな考える余裕があるかな?

さて, 皆さん考えてみてください.講座13と14(この間にタイトルが短くなってしまった)で,ヒロシくんが給食からトラブル発生までの間にどのように過ごしているかを紹介しました. この時間の過ごし方は,教室マネージメントの手法の基本「個別スケジュール」から大きく外れたものです.全体のスケジュールではなく, ヒロシくんのための個別化されたスケジュールを事前に組んでおく必要があります.あなたならどのようなスケジュールを組みますか?

□ おまけ

ちょっと, 字数が余ったので,基礎的データを紹介します.友人がわざわざ作ってくれた. テーマは,「知的障害者は全国で何人いる?」「どんな生活をしているの?」 細かいところは,あまりに不正確ですが,概略として参考になると思います.

【平成2年9月厚生省基礎調査・平成5年労働省雇用実態調査などから】

全国知的障害者総数
385,100人
| 児童数
+------+-- 115,100人(29.9%)
|
| 成人数
+-- 254,400人(66.0%)
| | 入所施設
| +---------+-- 86,400人(33%)
| |
| (年齢不明) | 地域生活
+-- 15,600人 +-- 168,000人(69%)
| | グループホーム(H6年1,364個所)
| +---------+-- 6,000人(推定)
| |
| | 自宅
| +-- 162,000人
|
| 通所施設(在宅含む)
+---+-- 108,000人
|
| 企業就労
+-- 60,000人
| 29人未満の企業
+----+-- 30,000人(就労者の50%)
|
/ 中間省略
|
| 1,000人以上の企業
+-- 600人(就労者の1%)

posted by kingstone at 07:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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