私の関わりのある法人
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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年04月28日

中間管理職育成講座初級編 第10回〜第12回

マチート 中間管理職育成講座初級編10


□ ミーティングの準備2(実務)

ミーティングの準備はこれで終わりではありません. レベル1の職場では,念には念を入れて, 慎重に(しかも迅速に)ミーティングにもって行きます.これも,レベル2になるまでのしばしの辛抱です.

ミーティングまでに必要なのは,後は大きく分けて3つです.

1) ミーティングのタイトルを決める
2) 時間調整と場所の確保
3) アジェンダ作成

■ タイトル
これまで建設的なミーティングを行ったことの無いレベル1の職場で, ミーティングの参加者を呼び掛けるのは骨が折れるものです. いくら,あなたが事前にミーティングのシミュレーションを行い, その結末が見通せたにしても,参加者が積極的にそして気楽に参加してくれないとどうにもなりません.

まず最初に, ミーティングのタイトルを考えます.タイトルを決定する際のポイントは,

a) 親しみのある
b) 気軽に参加できそう
c) 何を話し合うかおぼろげにわかる
d) 話し合いの方向性を決定しない

といったところでしょうか.後は,あなたのセンスの問題です.Fさんの「テツオくんの困っていること」 が完璧ですね.「こだわり」とか「不登校」 といったインパクトのあることばが無いのが素晴らしい.私にはとても思いつきません.

■ 時間調整と場所の確保
参加者を決めたら, 全員がかならず揃う時間を設定する必要があります.一人ひとりの時間を調整しましょう. 「何月何日の何時から」だけでなく,「何時まで」 もはっきりさせましょう.見方を共通させるミーティングはどれくらいの時間を必要とするか, 全く読めません.まあ,目安として参加者数×10分くらいでしょうか.

場所も, 事前に決めておく必要があります.はじめてのミーティングで,どのように進行するのかあなたは自信が無いのです. 場所くらいは,いい場所をとりましょう. この業界,小グループ用のミーティングルームをもっているような職場はほとんどありません. 当日になって場所をあわてて探すと,ろくな場所を確保できないものです.

a) ミーティング中人の出入りが無い
b) 外の騒音が遮断できる
c) 人数に見合った広さがある
d) くつろげる家具がある
e) 飲み物の準備もできる
f) ホワイトボード(黒板)がある

私は贅沢ですから, これくらいの条件を要求してしまいます.特に,f)は必須です.まあ,可能な範囲での良い場所を予約しておきましょう.

kingstone追記
 学校だったら山ほど教室はありますね。くつろげる家具あたりが問題か。

テツオくんの場合は, あさって木曜日の朝,テツオくんをお母さんが教室に送ってから(8時30分ごろ) 9時まで,会議室を使ってミーティングを行うことになりました. 母親は,その日は何としても学校へ行くと電話で話していました.

■ アジェンダ作成
どんなに小規模のミーティングでもアジェンダは欠かせません. 会議の運営方法に関するテキストでは, アジェンダは事前に参加者の手元に届くように,と必ず書かれています. レベル1の最初のミーティングでは,そこまで必要ありません.当日,配付できればよいのです.

アジェンダには,次の情報が必要です.

a) ミーティングのタイトル
b) 日時(終わりの時間も)と場所
c) 参加者名
d) ミーティングの目的
e) 議事の手順
f) メモ欄
g) 決定事項を記入するブランク
h) 決定事項をスタートする日時のブランク
i) 次回の確認をとる日時と方法を記入するブランク

これくらいなら, 簡単ですね.ワープロを立ち上げて,ちょちょいのちょいです.テツオくんのアジェンダの例です.A4で3枚印刷しておきましょう.

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テツオくんの困っていることを話し合う(テツオくんの問題を話し合い, ゴー
ルを決める)1995年7月4日8:30〜9:00
○×養護学校会議室
  参加者:ラン・スー・ミキ

1.問題点の確認


2.話し合い



3.決定事項
【ゴール】


【開始日】
【次 回】

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アジェンダと呼ぶには恥ずかしい,幼稚な内容です.

レベル2やレベル3になると, アジェンダは複雑になります.けっこう時間がとられます. でも,そうなれば中間管理職のあなたが1人で作成する必要はありません. レベル1では,これはあなたの仕事です.救いは,複雑なアジェンダが必要ないことです.


kingstone追記
 この文を読んで私が実際に作って使ったもの。

A4用紙 問題点があった時の解決を相談する書式

 これで、1998年度後半クラス(学年)で様々な問題を解決しました。


マチート 中間管理職育成講座初級編11


□ 良いミーティングの条件

これからあなたが進行役になってミーティングを開催します.準備は万端です.自信をもって進めましょう. ちなみに(といってプレッシャーをかける),良いミーティングとは次のようなものです.

1) 時間通りはじまる
2) 時間通り終わる
3) ゆっくり自分の意見が言える
4) ゆっくり人の意見が聞ける
5) 役に立つ情報がある
6) これからの励みになる
7) 仲間意識が生まれる
8) また参加したくなる

前回から,中間管理職育成講座というよりも,小学生向けの「会議の運営方法」の授業のようですね. みなさんを退屈させてしまったようです.でも,「基本は大切」ということだけわかっていただければ幸です.

さて, 基本ついでに,私の同僚が作成した「知的障害をもつ人同士がいかに会議を運営するか?」マニュアルの一部を紹介したいと思います.

□ 多頭怪獣症候群(何が会議をうまくさせないのか?)

ジョニーは青年学級の運営費をあげるかどうかを議題にしました.

-----------------------------------------------------------------------
ジョニー(きっぱりと) :
私には問題がどこにあるかはっきりわかります.会費を月100円増額するしか方法がありません.

ウイリー(攻撃的に) :
そんなことすると,会員はだんだん減って行ってしまう.余計にお金が集まらないよ.僕たちは,青年学級の名前をいまよりカッコイイものにして,たくさんの人が参加したがる魅力的な会にするべきなんだ.

ジョニー(ちょっと不満そうに) :
じゃあ,月50円ずつ上げるというのはどうだい.

ナンシー(希望に満ち溢れて) :
わたしは,こういった会計管理を得意にしている専門家を知っているわ.

ウイリー(自己陶酔したように):
○○学級というのがダメなんだよ. ××××フレンドクラブというのがいいじゃないか.しゃれているだろ.

ボビー(急に思い出したように) :
今年度の支出を削ることはできないのかい.
-----------------------------------------------------------------------

このミーティングの問題は何でしょうか. みんなが希望的になろうと頑張っているのですが, それぞれが問題(運営費増額)を違う見方で見ているようです.だから解決方法の議論もまとまらないのです.

「一度にひとつだけ」

さまざまな意見が出てきたら, 一度議論を停止させましょう.そして,意見をすべてリストアップします.そして,そのリストを眺めましょう.

リストに沿って, 議論する項目を考え直します.大切なことは,話し合いの項目は,一度にひとつにすることです.

そのまま議論を続けていても, 混乱し,緊張状態になり,そして成果のない「多頭怪獣症候群」の会議になってしまいます.


マチート 中間管理職育成講座初級編12


□ リスト・リスト・リスト

多頭怪獣症候群の逸話は, 私たちの職場である,レベル1のミーティングでよく起こるものです. 見方が共通していない以上,いつでも,どこでも多頭怪獣が顔を出します. 事前に予測しておいた袋小路ほど致命的な結末には至らないものの, これもまた議論の進展のない,空しいミーティングをもたらすものです.

ここで, あなたに,この多頭怪獣を撃退するノウハウをひとつお教えいたしましょう.手順は,

1) 多頭怪獣が顔を出したら議論をいったん中断する(ちょっと待って)
2) ホワイトボードの前に立ちリストアップを促す(批評は後回し)
3) 可能な限りたくさんのリストを書き込む(順不同)
4) リストが出尽くしたかどうか確認する(後の追加も認める)
5) リストを眺めて優先順位をつける
6) 上位のリストから議論を再開する

たったこれだけのノウハウでたいていは事足りるものです. ただし,ミーティングの相手にはこの道うん十年の専門家(担任) も加わるわけですから,もう少し突っ込んだノウハウも必要になります.

■ リストアップの突破口
議論を一端中断しても,リストアップにうまくのってくれない場合があります.
テツオくんの事例は,その可能性が非常に高そうです.

-----------------------------------------------------------------------
あなた(ホワイトボードの前に立ち上がり) :
 このままでは話しが進展しませんから, 話題を戻してみましょう.これから,何が問題なのかしばらく批評を入れずに,たくさんリストアップしてみませんか.先生いかがですか.

担任(うんざりした顔で) :
ウーン.やっぱりテツオくんの強いこだわりが一番の問題なのよ.それさえなければ,何も問題は起きないのよ.

母親(あいづちを入れながら):
.....
-----------------------------------------------------------------------

これは確かに真実です. テツオくんのこだわりは,一般の人の感覚ではなかなか理解されないものです(自閉症の中でもかなり筋金入り) .でも,3人が顔を合わせてミーティングしているのは, 「私たちに何ができるか」を決めるためなのです. この「こだわり」のことばに私たちが執着し過ぎと,まるでテツオくんを欠席裁判型の悪玉に仕立てている様にも思えます. 「こだわり」という抽象的な表現ではなく, もう少し下位のディレクトリで話しをしたいものですね.

そこであなたは,ホワイトボードに次のように描きます.

+----------+
| こだわり |
+----+-----+
|
+--------- 1.
|
+--------- 2.
|
+--------- 3.
|

そして,質問します.

----------------------------------------------------------------------
あなた(淡々とした表情で):
そうですね,こだわりが問題ですものね.では,今日はまだ学校がはじまったばかりですから, 昨日のことを教えてください.昨日, 先生が最初に「こだわってる」と感じたのは何時頃でしたか?それはどんなことをしたときですか.

先生(ちょっと困った顔をしながら) :
ウーーーン.朝教室に入ってくるとすぐですから, 多分8時40分ゴロですね.教室に入ってきたかと思ったら,ジャンパーも脱がずに教室の窓を閉めに行きました. まあ,昨日に限らずいつものことなのですが.2〜3回繰り返して閉めるんです.

あなた(好奇心旺盛な顔で) :
昨日は,その1回だけですか.もっとありますよね.次にこだわったのは何時ですか.
-----------------------------------------------------------------------

ほら, リストアップができてきました.すかさず,ホワイトボードの数字の横に書き込みましょう. 大切なことは,できるだけ最近の事柄を聞く事です.それも,時間を必ず入れてもらいます.

このサブディレクトリでリストアップをはじめると, いかに最初に問題を表していたキーワードが瞹昧なものであるか(人と違う意味で使っている) 思い知らされます.

講座もこのまま進むと,私の粘着的な器質が勝っていたく退屈な話題になるか,それとも無責任な性格が勝って講座を途中休講するか,どちらかになりそうです.最初のキーワードがいかに当てにならないかを,気分転換も含め,次回から新しい事例で紹介したいと思います.
この記事へのコメント
当時「中間管理職養成講座」はまともには見ていなかったのですが、こうして改めてみてみると「ヌルい」というか「現実離れ」というかお花畑ですね。組織をまとめる手本は近代以降は軍隊です。中間管理職というと下士官に当たります。少し下限を拡大したとして「優秀な上等兵、伍長となるには」と考えれば良いんです。
 このクラスで重要なのは「本人の実績」です。勲章も取れないような奴の命令なんか誰も聞きません。そして、同時に対して必要なのは「上官の信頼」です。「彼なら中隊規模でもまかせられる(伍長クラスだと普通は5人程度の分隊長)」というものです。軍人の心理というのは不思議なもので、士官の中佐以上になればまず前線で指揮を執ることはなくなるのですが、それが嫌なのと兵と近い位置にいたいからと、あえて士官を拒否する軍人が多数いるのです。
 教員もそうですね。管理職試験を受けないどころか、あえて校長に敵対する発言をしてせいぜい「学部副主事」どまりで学担を望む教員はいっぱいいます。かくいう私は幸か不幸か「主事」と名の付くポジションについたことがありません。学年主任すら未経験です。たぶん管理職は「主事にしたら何するか分からない」と不安なのでしょう(^^;)。

 ミーティングなんてよほどの熟達者でないと意味あるものになりません。で、それくらいの人材なら「俺についてこい」で事足ります。つまり、この講座は根本の認識が間違っているのです。
Posted by もずらいと at 2011年04月28日 19:17
もずらいとさん、どうもです。

私がこの「中間管理職養成講座」に学びつつ、非常にうまく運営できたと思える1998年度、新人さんたちから私は「隊長」と呼ばれてました。

まあ、確かに援護なしでも「真っ先駆けて突撃」はしょっちゅうしてました。

でもって「俺についてこい」じゃないけど、「俺の思う通りやらせてくれ」って言ったら「私ら何もわかりませんしついて行くしかないですぅ」と言っていた新人さんたち・・・いやあ「反論」してくるわ「五月蝿い」わ、大変でしたけど非常に楽しかったですね。

|伍長クラスだと普通は5人程度の分隊長

へえ。こんな小さな単位があったのか、とWikipediaを見てみたら、なるほど

「小隊の下位となり、下士官たる分隊長によって指揮される10名前後の小部隊をいうことが多い」

「陸上自衛隊の普通科連隊普通科中隊の分隊は規模として班よりも人員数は若干少なく小規模である(約7名ないし8名、班編制は10名)」
ってことで思ったより小さな単位で動いているんですね。

Posted by kingstone at 2011年04月28日 20:38
 普通の行動単位として10名では多すぎます。敵に発見される可能性が高くなるのです。偵察任務は5〜8名程度が標準です。「プライベート・ライアン」「最前線物語」「コンバット」などに見られるものが現実です。班としての編制は10名でもチョイスがされると言うことでしょう。
 カリスマがあれば別ですが、普通の人間にとって中間管理職レベルで掌握ができるのは10名未満でしょう。それを超すと異分子の統制が制御できません。

>いやあ「反論」してくるわ「五月蝿い」わ、大変でしたけど非常に楽しかったですね。

 「ベテラン(元の意味は「退役軍人」。つまり実戦経験豊富な人)」だとそれでもなんとか掌握できるわけです。相手(部下)はそれだけの経験を有していませんから。

 私は「独立愚連隊西へ」の左文字少尉みたいな役回りです。「いけ好かない部分はあるけど実践の実績は確かだし、なにやら全国レベルでも有名みたいだし」という。役付ではないのに、本来の分掌を飛び越えていろいろ相談されます。

 まぁ、私は零細事業主の息子ですから、中間管理職養成講座なんて「ヌルい」ものは必要としないという現実はあります。取引先がどんなに理不尽でも頭を下げ時には土下座もいとわないのが私の実家です。中間管理職ごときにそんな覚悟あるとは思えません。「お前の親父のおかげで散々な目にあってさぁ」という取引先に「うちの親父が至らないばかりにご迷惑をおかけしまして息子として成り代わりお詫び申し上げます」なんて大学生の経験ないでしょ?私は、しょっちゅうありました。
Posted by もずらいと at 2011年04月28日 21:01
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