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※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年03月23日

闘う!ウイルス・バスターズ 河岡義裕 渡辺登喜子著

 図書館で借りて来ました。



 めっちゃ面白かったです。

 河岡義裕さんは東京大学医科学研究所の教授

 渡辺登喜子さんは、東京大学医科学研究所感染症免疫部門科学技術振興事業団研究員。

 この本って、中学生・高校生で理系で進路に迷っている人に読んでもらったらいい本かもしれない。

 で、何て言うか「やっぱり好きなんやなあ」と言うか「オタク」と言うのか、そういう種類の人たちなんだなあ(褒めてるんです)と思います。

 ウイルス研究者同士で結婚した人が居間にホワイトボードを置いてあって、帰って来たら今日の研究のことや思いついたことを書きながら話をするってエピソードとか。もちろんそんな人ばっかりじゃないでしょうが。

 OCRしまくって引用したいけど、返してしまったので記憶で書くと

 2009年4月にメキシコでインフルエンザが流行っているという情報が入ってきて河本さんたちがウイルスを手に入れたのが4月29日。でそれから夜を日についで手分けして(52人で!)実験し、論文を書き上げたのが約40日後。Natureに投稿し、査読を受けている間に「どんな点で戻されるか」を予測し対応する実験を先にしておいた。で戻された時点でほぼ実験は終わっていて再投稿。また戻されたけれどその時点では細かい直しだけ。で、結局60日くらいで論文に仕上げたのかな。それより早い論文もあるにはあったけれど、これほど短期間に包括的な論文は無かった、という評価だったとか。

 なんせ5月にあのおおごとでしたから、その最中にこれだけのことをしてはったんや。

 なお、渡辺さんは、実験中は細心の注意を払っていてインフルエンザにもかからなかったけど、論文が終わってから、たぶんお子さんが貰ってきてご自身もインフルエンザでダウンしたとか。そんなもんですね。

 また河岡さんは2009年の政府の対応は大筋では間違っていなかっただろうというご意見です。より厳しい事態を想定しておいて(あの時は強毒性鳥インフルエンザの時の対応でまず行った)その後ゆるめていく、みたいなの。

 またワクチンは、たまたまあの時は1回接種で抗体ができたけれど、基本は2回接種だろう、というご意見です。

 また後ろに様々な人との対談が載っています。お一人はHIVウイルスを増やさない薬AZTを見つけだした 熊本大学大学院生命科学研究部 教授満屋裕明氏。

 アメリカ時代にHIVに対応できる薬を研究しようとしたら同僚に大反対されたとか。危険だとして。奥様にやりたいと言うと「誰かがやらなければならないことだから」と賛成(?)されたとか。でまあ上司は認めてくれていたけれど、孤立無援という形で研究を続けていたそうです。そして、またAZTの薬効を見つけたあと、製薬会社が価格を高く設定したことに我慢がならず新しい薬を発見しようとし、続けて2番目3番目の薬も見つけ、その薬を別の製薬会社が安く出したためにAZTの値段も下げざるを得なくなったとか。

 満屋氏自身は特許権を持っていない(つまり儲からない)そうですが、論文に開発者として名前が載ることは勝ち取ったとのこと。研究者としてはそこは譲れない一線なのでしょうね。


 ところで、農林水産省動物医薬品検査所長境政人氏との対談も載っています。この方は宮崎の口蹄疫の時、2010年4月20日に初めて確定診断がおり、4月27日に宮崎入りし問題の解決に尽力された方。

 こんなエピソードがありました。初日だったか、発生地の周囲何キロ圏にどれだけの数の牛や豚がいるかを報告しろという省からの問い合わせがあったとか。氏は本省時代に畜産農家がどんな種類の家畜を何頭飼育しているかを登録し、管理するコンピュータソフトの整備事業を全国的に実施し、補助金もつけていたので、たまたま部下が県に出向していたのですぐわかるはずと尋ねたら部下は「すぐには出せません」と答えます。それに対して氏はみんなのいるところで怒鳴りつけてしまった、とか。そのために県の職員から総スカンを食うことになります。

 部下は後で氏に怒鳴ると雰囲気が悪くなるから、と諌め、氏も反省したとのことです。

 という話なのですが・・・ここ、やはり中央官僚やなあ、という気がします。「管理するコンピュータソフトの整備事業をした」「補助金もつけた」「だからデータが出るはず」

 どれだけ簡単に集計できるソフトであり仕組みだったんだろうか。私、学校で現役の頃「学校にある情報機器のハード・ソフトを全て報告せよ」という文部科学省からの指示にどれだけ苦しめられたことか。しかも年度末・年度始めのすっげえ忙しい時期に来る。いえ優秀でよく勉強してはる人が指示を出しているのには間違いないんだけどね。まあ購入・整備の段階で入力しそれがすぐに教委・文部省に報告される簡単なシステムがあれば済むことなんだけど。

 でもそのシステムを作るのは私じゃないし、誰がそれをするのか、とか考えてはるんやろか。

 あと、口蹄疫蔓延の時、殺処分埋却などたいへんな現場を乗り切るのに苦労されたことは容易に想像できます。で、その時期のマスコミや「識者」からの批判についてのことですが

「批判や検証はすればいいが、喫緊にやらなければならない現実的な殺処分・埋却をやっている最中にしなくてもいいこと。士気にかかわる」

とおっしゃってます。確かにその通り。現場の士気ってものすごく大事です。

 で、全然関係ないことかもしれませんがこんな連想が湧いてきました。私もこのブログで特別支援教育担当教師や「専門家」を批判している部分が多々あると思います。また他の教師を怒鳴りつけたことが無かったわけでは無い。(あったってことね)

 まあ、当時は自分のこととして「自閉症の子が苦しんでいるやないか」「教師に苦しめられているやないか」「このままだと(私は)税金泥棒と言われても仕方ないやないか」という思いの中にいましたから。たぶん今だと教師に対してもにこにこしながら相談にのれることとは思いますが。少し「引き」かげんの位置から見ているし、「ま、いっかあ」って気分もあるし。

 でね、ひょっとしたら現場の教師は「喫緊にやらなければいけないことがいっぱいあるのに、何言うてんねん」みたいに思うかもしれない。でもそれってちょっと引いた位置から見たら「あらまあ無駄な努力して、しかも子どもを苦しめて、また教師が苦しんでる」みたいなとこないかなあ・・・

 まあとんでもない私の妄想ですけどね。




 

 



posted by kingstone at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・記事・番組など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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