※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2011年02月28日

ヒーローになることと現実との摺り合わせ

 もずらいとさんが「泣いてる子を蹴るお子さんにどう伝えるか・2回繰り返す」につけて下さったコメントが面白かったので、こちらに転載させて頂いて、エントリにします。

 私はソーシャルスキルトレーニングで、「ヒーローが、いいことをする、みたいな話で自閉症のお子さんに、していい行動、して悪い行動を伝えられないだろうか」みたいなエントリを続けていました。それに対してのもずらいとさんのコメント。

「特撮ヒーローが虚構の世界だと理解していない生徒を過去に受け持ったことがあります。「進路希望」に「ヒーロー」と書かれたときはどうしようかと思いました(^^;)。進路面談で「正義のヒーローになるには悪の組織に目をつけられるくらい優秀でないといけない。毎日50kmマラソンをして、これ(同僚の息子さんからもらった早稲田大学の入試対策問題集)を毎日2ページやりなさい」といいました。翌々日「僕はヒーローにはなれません」と涙ながらに言ってきました(^^;)。
 友達をバカにしたり、殴ったりする子もいます。kingstoneさんのいう「威圧と暴力の指導」を見てきたのかどうなのかはよくわかりませんが。それなりに言語理解がある子には「そんなことをしていたら、いつかあなたもバンバン殴られて顔は血だらけで手も足も折れちゃって助けてと言いたくても声が出なくなるほどボコボコにされちゃうよ」と言います。だいたい低減します。」

 私のレス。

「もずらいとさん、どうもです。

|「正義のヒーローになるには悪の組織に目をつけられるくらい優秀でないといけない。
|毎日50kmマラソンをして、
|これ(同僚の息子さんからもらった早稲田大学の入試対策問題集)を毎日2ページやりなさい」

ナイスですね(ニコ)

|「そんなことをしていたら、いつかあなたもバンバン殴られて
|顔は血だらけで手も足も折れちゃって
|助けてと言いたくても声が出なくなるほどボコボコにされちゃうよ」

これができる(有効な)お子さんは、もずらいとさんの書かれている通り言語理解がかなりあるお子さんですね。
私がいた頃の知的障害特別支援学校にはいなかったな。」

 もうちょっと、あれこれ、書きます。

 通常学級でも小学生なら客観的に見て体力・技術どちらから見ても絶対無理とわかっていても「プロ野球選手になる」「Jリーグ選手になる」という夢を持っていても全然OKですよね。肢体不自由の寝たきりのお子さんだってOKだと思います。

 で、実際に学校の部活や地域のクラブなどで活動し、少なくとも中学3年くらいで「あ、こら無理や」と自分で気づく。まあ、気づかない場合もあって、その場合はまじで何らかの発達障害があると思ったほうがいいと思います。いくら何でも高3では気づくと思うけど、高3で気づかなければ、あの手この手で「無理」を知らせてあげる必要はあるかもしれません。(ただ「ダメ」「無理」とか言うのじゃなく、もしあれば「本物のトライアウトを受ける」とかがいいと思う)

 特別支援学校高等部(ここはいわゆる「かしこい」生徒が多かった)で進路に関わっている先生に、例えば「学力的、また認知的に絶対無理なのに警察官になりたいと思っている子がいるんですけど、どうしたらいいですか?」と尋ねたことがあるのですが、「大丈夫。職場実習とかいろいろやっているうちに自分がどんなことができるか、気がついていくよ」とおっしゃっていました。

 この「いろいろやっているうちに」というのが大事ですね。実際に採用試験を受けて落ちるのもいいだろうし。

 それから、ここで話題になっているヒーローは虚構世界というかファンタジーの世界なわけですが、ファンタジーはファンタジーであって全然OKなものだろうと思います。「ここでウルトラマンだったらどうするだろうか?」とか「ここで伊達直人(タイガーマスク)だったらどうするだろうか?」とか考えるのはいいことかもしれない。

 でも「自分がウルトラマンになる」と言い出したらちょっと困る。ヒーローはどうか??

 で「正義のヒーローになるには悪の組織に目をつけられるくらい優秀でないといけない。毎日50kmマラソンをして、これ(同僚の息子さんからもらった早稲田大学の入試対策問題集)を毎日2ページやりなさい」

 なかなかおもしろい。

 しかし、ヒーローだと

・100m全力疾走30本。
・柔道の乱取り連続1時間。
・空手の組み手連続1時間。
問題集に加えて
・英独仏伊露中韓の雑誌記事を見開き2Pずつ訳す

なんてえ課題をこなすこと、みたいなのがあってもいいかもしれない。

posted by kingstone at 10:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 進路指導に「ヒーロー」と書いた生徒は今で言う高機能自閉症児だったのでしょう。彼は実際に10数km走ったようです。個人が特定されても困るので,詳細は書きませんが。そして「挫折感」と同時に「現実」を知ったようです。まだ平成ライダー以前の話ですから「悪の組織に改造されて洗脳される前に逃げ出す」というストーリーはリアルだった時代です。
 また,彼はカレンダー・サバンで「○○先生は丑年」とか「2011年は卯年」とか的確でした。なので「2010年は何年?」と尋ねると「寅年」と正しい答えが返ってきます。しかし私は「甘いな。21世紀からはパンダ・ラッコ・キリン...の新十二支が始まるんだ」と言い放ちました。当然「嘘だ」と言い返します。そこであわてず「考えても見ろ。昨年昭和が平成に変わっただろ?世紀が変わるんだぞ!変わらない方がおかしくないか?」と言いました。彼は「先生は嘘をつつかないですか?」と尋ねるので,しめたと思い「先生が嘘をつくと思うか?」と問うと「先生は嘘をつきません」と言いました。
 後日「先生は嘘つきだ」と言ってきたので「先生はお前の質問に『先生が嘘をつくと思うか?』と言っただけで『先生は嘘をつかない』なんて言わなかったぞ。勝手に信じたお前が悪い」と言ったら,納得しました。
Posted by もずらいと at 2011年02月28日 21:11
もずらいとさん、どうもです。

「先生も嘘をつく(間違ったことを言う)ことがある」

を伝えるにも「書いて伝える」と結構簡単だったんではないか、とも思いますねえ。

Posted by kingstone at 2011年02月28日 21:27
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