※このブログに書いていることは、私の関わりある法人の意見ではなく、
 あくまでも、私個人の意見です。

2010年10月01日

「発達障害8歳男児の胸骨折る 小学校教諭書類送検」のニュースについて

発達障害8歳男児の胸骨折る 小学校教諭書類送検 

というニュースがありました。とりあえず転載(していいよね?)して私の意見を付け足します。

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 発達障害の傾向がみられる小学3年の男児(8)を押さえ付けて骨折させたとして、淡路署は傷害の疑いで、淡路市内の小学校の男性教諭(32)を1日、神戸地検洲本支部に書類送検する。同市教委は「男児がパニックを起こしたのでその場から離れさせようとした。対応は適切だった」として、教諭の処分は見送る方針。しかし、兵庫県教委は「重傷を負わせたことはおかしい」と問題視している。

 送検容疑は、6月3日の授業中、教室にいた男児の手首とあごをつかんで背中を棚に押さえ付け、胸の骨を折る約4カ月の重傷を負わせた疑い。

 同署や学校などによると、教諭は、男児が宿題を忘れたことを理由に課題を追加したが、男児がすぐに「終わった」と答えたためしかったところ、パニックを起こしたという。教諭は保護者に「両腕を持ったら棚と自分の体の間に挟まった」と報告していた。

 しかしその後、男児が日記に「首を絞められて苦しかった」と書いていたのを保護者が見つけて学校に問いただしたところ、棚に押さえ付けたことを認めたという。学校側は「男児が鉛筆を持って震えだしたので、周囲の児童から引き離した。苦しめたことは謝罪した」と説明している。

 男児は注意欠陥多動性障害(ADHD)とみられるが、これまで大きな問題はなかったという。保護者は「やりすぎだ。学校の対応次第では訴訟も考える」と憤る。

 一方、県教委特別支援教育課は「障害の有無にかかわらず、子どもにけがをさせたこと自体、問題だ。宿題を忘れた罰で課題を増やすという指導方法もおかしい。障害の影響で宿題を忘れていたのなら、それに応じた支援の必要がある」と指摘している。

(2010/10/01 09:00)
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 もちろん、昨今のいろいろな事件の報道を見ていると、事実を正確に伝えられていない記事もまま見られますが、記事の範囲でわかることと推測できることを書きます。

 まず、県教委が「重傷を負わせたことはおかしい」とコメントしているのは、ここだけ取り上げれば「違うぞ」と思います。教育活動ではケガを負わさせてしまうことはありえますから。例えば

私と動作法3

 しかし、上のニュースの場合は、やはり不適切だったと思われます。

 この児童は小学校2年生か3年生。通常学級在籍か特別支援学級在籍かは書かれていません。

「注意欠陥多動性障害(ADHD)とみられる」と書かれています。

 しかしADHD「だけ」で、通常学級に在籍しているお子さんなら「音声言語」で叱られただけで、パニック(ここでは「「男児が鉛筆を持って震えだした」と書かれていますが)を起こすだろうか?馬鹿にされたと誤解して思わず友だちを叩いてしまったお子さんなら知っていますが。

 他の障害は併存していないのだろうか?

 また、もともと「宿題」はそのお子さんに適切であったのか?「忘れた」ということは、「課題がそのお子さんにとって難しすぎる」「やらなければならないスケジュールが頭に入っておらず、何らかの支援が必要であった」などの問題はなかったのか。しかも本来、教師側が宿題に問題が無かったか考えるべきところを、「課題を追加」という方法を取っている。


「教諭は、男児が宿題を忘れたことを理由に課題を追加したが、男児がすぐに「終わった」と答えたためしかった」

については、昨日のエントリ「音声言語について問われて全然違う回答になる(アスペルガー症候群のお子さん?)」にもつながってきます。このエントリは高機能自閉症やアスペルガー症候群のお子さんについて書いたものですが、いわゆる定型のお子さんだって同じ事。「終わった」というのは「はやく解放されたい」という意思表示でしょう。

 自尊心や自己評価を下げさせてどないすんねん、という話です。

「周囲の児童から引き離した」とのことですが、「震えだした」だけで何故引き離す必要があったのか。それとも周囲にも危険なような相当大きなパニックを起こさせてしまったのか。

「両腕を持ったら棚と自分の体の間に挟まった」これは映像が浮かんで来ません。「教室にいた男児の手首とあごをつかんで背中を棚に押さえ付け」こちらなら映像が浮かんできます。

 市教委の「男児がパニックを起こしたのでその場から離れさせようとした。対応は適切だった」は理解できません。

 すごく疑問の湧くニュースです。


posted by kingstone at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 特別支援教育や関わり方など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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