幕末銃姫伝―京の風 会津の花/藤本 ひとみ
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山本八重(後の新島八重)の前半生の物語です。
日本テレビの、日本史サスペンス劇場「会津藩の女たち」では森三中の大島美幸が演じ、印象に残っていました。
幕末の会津。
八重は幼少の頃より、女ながら俵担ぎなどで男に負けたことがない娘。学問もしたい。
しかし当時のことゆえ裁縫などを学ぶことしか許されない。
そんな中、兄覚馬より砲術を学び、ナポレオン伝から兵学を学び、射撃の腕も上げていきます。覚馬は新式の銃・砲による軍制改革を藩に建白するが容れられません。
会津は幕末、京都守護職となり、新撰組も配下に抱え、治安維持に努める。蛤御門の変でも長州を退けるが、そのため幕府側とされ、鳥羽伏見の戦い以降官軍による激しい攻撃の対象とされます。
戊辰戦争で旧幕府側が破られていく中、会津は籠城戦で最後まで抵抗を試みます。青壮年の武士がいない中、女性・子ども・老人が城に逃げ込んだ時、八重は官軍を砲と銃で攻撃するやり方を家老に伝えます。
砲を扱っていた老人とのやりとり。
老「どなたの指揮に従えばよろしいのか」
八「私です」
老「無礼な。この私に、女の指揮下に入れと言うのか。老いたといえども足軽玄武隊頭、女に命令されるいわれはない」
八「このお城の中で、もっともよく銃砲を扱えるのは、この私です。腕をお疑いなら、お目にかけます」
そして八重は官軍の兵をスペンサー銃で撃ち抜きます。
こうして八重は戦いの先頭に立ち、指揮を執ったようです。
そして2か月余りの戦闘の末、会津鶴ヶ城はついに落ちます。
小説は落城と、後日、鳥羽伏見で薩摩軍に捕まり戦死したと思われていた覚馬が生きていたことがわかるところで終わります。
女性が時代の枠を越えようと必死に生きた物語とも読めます。
もうひとつ、新技術が旧文化の中にいる人々に理解されないで苦闘する物語とも読めました。
肢体不自由特別支援学校で機器を導入しようとした時、知的障害特別支援学校でTEACCHを導入しようとした時。いろんなことが思い出されます。
新島八重