ゼンメルワイスは最近名前を知りました。
19世紀に出産時に多くの妊婦が産褥熱で死んでいた(そして当時はそれが当たり前だった)のを、何とかできないか、と考え、手の消毒といいう対処法を考えだし、しかし当時の世に受け入れられず、精神を病んで死んでいかれた医師です。
短いのはWikipedia
イグナーツ・ゼンメルワイス
ちょっと詳しいのはこちらから
再掲ゼンメルワイス物語
ゼンメルワイスが観察し、対処法を考え、実行してみた頃は1846年〜1848年。
コッホが炭疽菌が炭疽病の原因であることを証明したのは1876年。
パスツールがのちに低温殺菌法(パストリゼーション)として知られる最初の実験を行ったのが1862年。
つまりまだまだ細菌などが病原体になることがわかってなかった頃。
ゼンメルワイスはデータを取ることと、推測し、実行することで成果を上げていきます。しかし実のところ彼は「臭い」が原因ではないかと考えその臭いを取る「脱臭作用のある塩素水で手を洗う」という方法を考え、たまたまその方法が効果があったようです。(私の推測。「死体の断片」という記述もありますが)
で、効果を上げますが、その結果
「晩年、彼は著述のなかで「私は良心に従って告白します。当時の私はどの医師よりも多くの解剖をおこなった者です。この私の汚れた手で若い身空で墓場に送られた婦人達の多はただ神のみが知りたまうところです」と述べています。」
と苦しんだとのことです。これはゼンメルワイスだけでなく、ゼンメルハウスの言うことを「なるほど」と思った他の医師でも自責の念にかられて自殺した人が出たとか。
また当時の多くの医師がゼンメルワイスの言うことを信じなかった理由のひとつに「おいおい、俺らが原因やと言いたいのかあ」という反発もあったとか。
これね・・・私が自閉症の人へのTEACCH的取り組みをあれこれ勉強しはじめて、納得し、そして地域の特別支援教育担当教師の研修会で少々意見を述べたことがあります。たぶんその時、運動会の練習で苦しんでいる自閉症の人がいることも伝えたのでしょう。
会が終わってから、肢体不自由特別支援学校時代に同僚だった、当時特別支援学級担当の先生、子どもたちのことを考えて、すごくいい実践をされてた方、が私に話をしに来てくれました。
「kingstoneさんの言うことが正しいとしたら、私らが自閉症の子を苦しめて来た、ということになるのん?」
私は
「・・・そうかもしれんなあ」
と答えました。当時の私は「あの手この手で参加できるようにして当然」と考えていた頃でしたが。今は、「あの手この手を考えて当然。でもいざとなったら参加しなくてもええやん。たかが運動会」と考えていますが。
みんな愛情豊かで熱心な先生であることは間違いないねんけどね。
で、自分が、まさにそれゆえに自閉症の子どもたちを苦しめてきた、ということは認めにくいやろなあ・・・
まあたぶんノースカロライナのTEACCH部の人は決してそんな教師も責めないと思いますけどね。責めずにどうしたら自閉症の人を理解できるか、対処法はどうしたらいいかを一緒に考えるとは思います。
ゼンメルワイスが精神を病んだ理由はわかりませんが、周囲から理解されなかったこと、もひとつの理由にはなっているのでしょうね。