知的障害特別支援学校にいた頃。
今日は地域の特別支援教育の研究会でした。
私はある分科会に参加すると同時に、まあボランティアでいろいろお手伝いしました。
この先生、お子さんと最初は体力勝負の凄絶な戦いをしてはったのですが、TEACCHを知り、絵カードやなんやかんやいろんな手段で「わかる」ようにしたところ、いったいあれは何だったのだ、という
状態になった、という発表です。
会場のたぶんあまり自閉症とかについては詳しくない先生方からは
「言葉の出る子に何で絵カードなの」みたいなFAQが出てました。
私は最後の「指導助言」が出る前くらいに司会の方に発言させてね、とお願いしていました。でこんなことを話しました。
○言葉の出る子といっても、ほんとうに言葉を頭の中で道具として使えているのかどうか、一度ちゃんと調べてみる必要があるかも。またできたとしてもすごく苦手なことを強いている可能性もあります。
○絵カードなどを使って「よくわかる」と言っても、管理のためだけに使うのは最低。発表された先生のように常に子どもの気持ちを知ろうとすることが必要。
○発表を見て「なんや障害の軽いお子さんや」と思うかもしれません。でも以前のことはビデオなどには出てきていません。ひょっとしたら以前のままだったら「特別支援学級は無理です。特別支援学校です」と言われていた可能性もあります。またあなたの担当しているお子さんの障害が本当に「重い」かもしれません。であるならば、よりシンプルでわかりやすい方法をあれこれ考える必要があると思います。
○たまたまこの発表では絵カードが使われました。しかし絵カードを使うことがTEACCHではありません。話の中にもお子さんに合わせて試行錯誤をされた様子がよく出てきています。TEACCHとは私の考えるところひとりひとりに合わせることです。
○XX年初め頃はTEACCHの勉強をしようと思っても京都や大阪に行かないと勉強できませんでした。今は地域でも勉強会を始めましたので良かったらどうぞ。
○本で勉強するのもなかなか難しいですが「自閉症のひとたちへの援助システム」500円を持ってきてますので良かったらどうぞ。
話し終わったらすかさず自閉症児教育に詳しい先生(?)が「低学年の時はことば(音声言語)が大事です」というご意見を出して下さいました。また似たようなご意見が他からも出ました。
もちろん私も音声言語の重要性を否定しませんし、発表者も否定していません。ですから反論はしませんでした。
本は8冊くらい売れました。やったあ。
また帰路、道ばたで会った先生二人にも売りつけてしまった。
うほほ5000円の売り上げやあ。(掛け売りもあるのだが・・)
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追記
音声言語について、反論はしなかったのですが・・・・
言ってもご理解して頂くことは難しかったろうし。
しかし、確かドナ・ウィリアムさんも日本に講演に来た時、あれだけ講演できるような人でさえ、講演後、声をかけてもらうのがつらく、文字で「Thank You」と書いてくれた人に嬉しかった、みたいなことを書いてはりましたし
目に見えると安心する
とか
顔をわかってもらう話
とか、いう話もあるし、それで
威嚇することと無表情で伝えることと1
と考えるようになったわけです。確かに
自閉症の人に音声言語で話しかける
ということであったわけですが、これもほとんど「褒め言葉」だけだったと思います。また相手の年齢が高くなり、大人になったりしてくると、褒める、というのも変かもしれない。「できた!」とかいう感じは、本人さんがもう自分で感じてはることなのだから、他人が褒めるようなことでも無くなってくるような。
まあ、ほんと、自閉症の人とわかっている場合、教師や支援者は音声言語で語りかけるのは、よほど気をつけたほうがいいと思います。
過去logを見ていたら、どっかでsyunさんが、勤務されている成人施設で意図して「無言」の日を週2日ほど作る、と書いてはったのを見つけました。なるほどなあ、と思います。